21 卒業
2月に町内の5つある小学校が参加する『球技交流会』があり、男子サッカー部と女子ミニバス部が試合をした。私達6年生にとってそれが最後の試合だ。
秋季県大会ではベスト4まで勝ち残ったので目標は達成していたけど、やはり最後のは優勝したい。もちろんどこも考えることは同じで、いつも以上に気合いが入っていた。
観客席には6年生の女子が全員応援に来てくれていて、点が入るたび盛り上げてくれる。差をつけて勝った試合もあれば、接戦だった試合もあった。
特に最終戦は最後まで勝負がもつれた。しかし大賀さんのリードが冴えたうえに、私もチーム全体の動きも良く、私達の学校が優勝した。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間ベンチと観客席から歓声があがり、部員全員がコートに駆け寄ってお互いに抱き合いながら喜んだ。
「中学でも一緒にバスケやろうね!」
「うん!」
手荒い歓迎を受けながらも大賀さんが言ってくれたので、私は大きな声で答えた。
卒業式では『よびかけ』というのがある。6年間の思い出や感謝の気持ちなどの言葉を、一人ずつリレーのようにつなげていくのだ。在校生は代表者だけだったけど卒業生は全員一言あって、卒業証書授与よりも緊張するくらいだった。
毎年その時にかかる音楽はレコードを使うが、今年はレイ君の生演奏に変わった。しばらく前から先生に頼まれていてけど、レイ君は全然迷わずに受けていた。
レイ君は練習の時から全部を演奏していて、その時点ですでに聴き入ってしまうほど上手だった。一度は自分の言葉を言い忘れそうになり、後で「ボーッとしてたな」とレイ君に笑われた。
(誰のせいよ)と言い返したかったけど、さすがに押さえた。
卒業式当日は教室下級生が書いてくれた寄せ書きが黒板に飾られていて、今まで自分達も同じことをしたのに感動してしまった。
そして本番になると何度も練習していたはずなのに色々な思い出が浮かんで、壇上が涙でぼやけてしまった。
卒業式が終わるとあちこちで泣いている人を見かけたが、そのなかで大賀さんはケロリとしていた。私ですら式の途中で涙ぐんだくらいなのに。
「だってほとんど同じ中学校だし」
「そうだけど、マンガの主人公なら涙の一粒でもこぼすよ?」
「卒業の寂しさより、中学校の期待のほうが大きいもん」
「ふふっ……」
大賀さんらしくて笑ってしまう。そんな会話の後、大賀さんは「またね~」と笑顔で帰って行った。
私も他の友達に挨拶をすませ、お母さんが待つ校門へ急ぐ。
もうすでにカズ君とレイ君も一緒にいた。これからレイ君のお家で、卒業祝いとレイ君の誕生祝いを兼ねたお食事会をするのだ。
校門を一歩出るともう戻れないような気がして、思わず立ち止まって振り返った。
「どうしたの?」
先を行くカズ君が聞く。
振り返っても仕方が無い。もう行かなくちゃ。
「なんでもない!」
私は元気良く答えると心の中で校舎に別れを告げ、先を行くみんなを追いかけた。




