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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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魔族のイメージ

仕方なくアンネを連れて行くことになったあと、私たちは森の中を進んだ。


そんなに深い森ではなかったらしく、しばらくするとすんなり森から抜けた。


その瞬間、陽射しが私たちを照らす。


「…ここって本当に魔界ですよね?」


隣を歩くアンネが私に問いかける。


「そうだよ。間違いなくここは魔界だよアンネ」


クスッと笑いながら答えた。


「魔界ってもっとこう暗いイメージがあって…きっと日が昇らないのかと思っていました」


アンネの言葉に前方を歩いているオーリュウが小さく笑った。


「…もし、そうなら私たち魔族はとっくに滅びていますよ。それか光を求めて人間界を征服していたでしょうね」


オーリュウの冗談に私は思わず笑ってしまう。


「大抵の人間の魔界や魔族に対するイメージは一方的だからね…魔界は恐ろしい場所で魔族は人を襲う凶暴な種族だ。本当はそんなことはないんだよ」


…そうだ。


自分と違う種族のイメージなんて大抵はそんなもんだ。


よく知らないで決めつけて勝手に嫌悪感を抱いている。


「…でも、タオカモイを襲って来た盗賊たちや偽者の勇者だったアイリーンさんは自分たちの村を魔族に襲われたんですよね?さっきの魔の森と呼ばれる森の近くに村があったせいで…」


アンネがやや辛辣な表情で言った。


それを私が答える前に前を歩くオーリュウが口を開く。


「…たしかにそういう魔族がいるのは事実です。勝手に人間界へ行ってはそういう風な残虐なことをしでかす輩が…でも、逆も然りです。魔界に勝手にやって来た人間たちが魔界の町や村を襲って魔族狩りを行う。魔族の私にとって、そういった事実もあることは人間のあなたにも知っておいて欲しい」


オーリュウが背中を向けながら、アンネに語った。


「…あと、人間たちは同じ人間界に住むエルフに対して差別だけではなく、時に金目当てで傷つけたり連れていったりもする。魔族はエルフを同族と思っているので、まずそういったことはしない。私はエルフに対する行為だけは人間をよく思っていません…」


オーリュウがやや感情的になる。


たしかオーリュウは魔族だけど、厳密に言えばエルフだ。


昔、どこかでそのことを聞いたことがある。


「…ごめんなさい。私…そうとは知らずに一方的に魔族が悪いように言ってしまいました…」


アンネがしゅんとしたトーンでオーリュウに言った。


するとオーリュウが慌てて、こっちを振り返る。


「わ、私こそつい感情的になってしまい申し訳ありません。私が言いたいのは人間にしろ魔族にしろ悪い行いをする者がその種族のイメージを悪くしているということなんです…でも、あなたのように心の綺麗な魔族もたくさんいますよ」


オーリュウの言葉にアンネの隣で私は黙って頷いた。


「是非、そのような魔族の方とお話ししてみたいです」


とアンネスマイルが炸裂する。


ああ…やっぱりアンネはしゅんした表情よりも笑顔が一番だ。


何より推しの笑顔は癒しを得られる。


「話をしている間にどうやら町が見えてきましたね」


オーリュウの言葉にすぐ前方を眺める。


すると、前方に小さく町が見えてきた。


「クナモテアです。すぐに城へ行くつもりでしたが、変更してしばらくあの町でゆっくりしましょう。私の家もありますので」


オーリュウがそう言ってニコリと笑った。


ああ、町に温泉でもあるといいなぁと思うも、口には出さない。


あくまで私はオーリュウの依頼を受けて来たのだ。


七魔衆を倒すという目的で…


…でも、温泉くらいは入りたい。


出来れば推しと一緒に…


とオーリュウとアンネと共に町へと歩みを進めながら、一人でそんなことを考えていた。

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