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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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クナモテア

森から抜けたあと、しばらく歩いてクナモテアの町に到着した。


この陽の当たる町は人間界の町と変わらぬ雰囲気を醸し出している。


それを見るアンネの表情が明らかに「ここは本当に魔界なの?」と物語っていた。


だが、町の中を歩く者は人間界とは違う。


一見、人間に見えるが肌の色が薄紫で明らかに人間とは違い、頭から角が生えている魔人と呼ばれる者。


顔や身体は獣だが、普通に二本足で歩いている獣人と呼ばれる者。


人間のような体型をしてはいるが、目がひとつしかなかったり、三つあったりする悪魔と呼ばれる存在。


あと、どの種類も背中から羽を生やしていたり、そうでなかったりと様々だ。


それに魔族に括られている部類はまだまだいる。


おそらく魔物か魔族かよく分からない種類もいるので、私も実際のところはどこからどこまでが魔族なのかはよく知らない。


まあ、魔界において個々の種類など正直言うとどうでもいい。


何であったとしても、異分子扱いを受けることはまずないだろう。


ただし、それは人間を除いての話だ。


エルフやドワーフが魔界の町を歩いていようと、あまり目立たない。


だが、人間だけは魔界において普通にいてはおかしい存在であって、いれば一際目立ってしまう。


なので、先程から私とアンネに向けられる町の者たちの視線が痛い。


まあ、オーリュウの先導なので、皆すぐに何かを悟って視線を逸らす。


オーリュウは依然、人間の姿のままなのに、町の者にはしっかりオーリュウと認識されているようだ。


それを思うと、この町におけるオーリュウの威厳が窺える。


「あと少しすれば、この町での私の家に着きますので、居心地はあまり良くはないとは思いますが、もう少し辛抱してください」


魔族の者たちの視線を感じ取っていたらしく、オーリュウが気遣って私たちに声を掛けた。


「いえ、別に居心地は悪くありませんよ。初めは見たことのない方々が歩いていらっしゃるので、少々驚きはしましたが、もう慣れました。とてものどかな町なので、今はここが魔界じゃなくて人間界なんじゃないかと疑っています」


アンネがにこやかに答えた。


「…なるほど、流石はアンネさん。ドシーと入れ替わって魔界に来るだけのことはありますね」


とオーリュウがクスッと笑った。


オーリュウの言う通り、アンネの度胸はなかなかのものだ。


魔界に何度か訪れている私ですら魔族たちにじろりと見られて居心地はかなり良くないというのに、アンネはその視線が気にならないんて凄い。


私は今すぐにでも人間界に帰りたいわ…


オーリュウの後をついて町の中を歩くこと数十分、オーリュウがある建物の前で足を止める。


私はオーリュウの後ろから、その建物を見上げた。


大きな御屋敷が目の前にそびえている。


オーリュウが先程、私(・)の(・)家(・)と言ったから、普通に頭の中で家を想像したが、最早これは家ではない。


御屋敷…いや、城と呼べるほどのデカさだ。


たしかに町の外から城みたいな建物があるなとは思っていたが、まさかそれがオーリュウの個人的な家とは思わなかった。


流石は魔王の幹部様…


隣のアンネはぽかーんと口を開けて、オーリュウの家を見上げていた。


まあ、そうなるわ…


でも、こんなにデカいと温泉も期待出来そうだ。


「ちゃんと大きな温泉もありますよ。安心して下さいエメさん」


オーリュウはそう言って、御屋敷…いや城の大きな外壁の中央にある門の前に立っている二匹の魔人に近づいていく。


…ん?心の声が漏れていた?


と思わず怪訝な表情になる。


オーリュウは魔人と何やら話していた。


おそらくこの城の門番だろう。


すると、しばらくして大きな門がゆっくりと開き始めた。


そして、オーリュウが再び私とアンネのところへと戻ってきた。


「さあ、中へどうぞ」


オーリュウがそう言って、私たちを外壁の中にある庭園へと誘(いざな)う。


その庭園の真ん中をオーリュウのあとについて歩いて行き、再び門の前に辿り着く。


敷地内へ入るための外壁の門と建物の中に入るための門…


何が私の家だ…?


最早、これは城だろうがい…!


と心中で叫ぶ。


すると門がひとりでに開いたあとで、中から誰かが現れる。


メイドの格好をした人型の女の魔族だ。


「おかえりなさいませオーリュウ様。そちらが例のお客様ですね?」


「ラストア。この方々を丁重におもてなしするように。私は少し自分の部屋へと戻る」


オーリュウが頭から二本角を生やしたメイド姿の女魔族に指示を出した。


オーリュウにラストアと呼ばれたメイドは分かりましたと頷く。


「すみません。用事があるので少し失礼します。とりあえず、今日はここでゆっくりとして下さい。また、明日以降に私の城へと案内しますので」


と言ってオーリュウが私たちに会釈をし、私たちから離れていった。


…おいおい、私の城に案内するって、ここも城じゃねーか?


なら、私の城っていうのは一体どんなにデカいんだよ…


と心中で呆れていると、長い黒髪のラストアというメイドが私たちの前に立つ。


「本日は遠いところからお越し頂きありがとうございます。先に今夜お泊まりいただく部屋へと案内しますので、私について来てください」


そう言って、メイドが城…いやオーリュウにとっては家か…?まあ、その家の廊下を歩き出した。


私とアンネはそのあとを黙ってついていく。


すると、急にラストアがピタリと止まって、私たちの方に振り返った。


「…失礼ですが、何でお二人いるのですか?事前に聞いた話ではお一人だと伺っておりましたが…あと、ドシー様は一体どこへ?」


ラストアの質問に私とアンネは思わず顔を見合わせた。


…ん、これは私たちが説明するのか?


おーい、メイドに説明するのを忘れてるぞオーリュウ様…

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