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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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あなたの力をお借りしたい

魔王軍幹部のオーリュウ。


幾度となく勇者たちと戦い、魔王軍を守ってきた男。


その気になれば王国の一つや二つ簡単に滅ぼすことが出来るだろう。


まあ、話を聞いただけで、こうして会うのは初めてだ。


「あなたほどの方に名を覚えて貰えてるとは、とても光栄です」


魔王軍幹部のオーリュウがそんなことを言う。


「…単刀直入に訊きます。魔王軍の幹部ともあろう方が私に何の用ですか?」


オーリュウほどの者だと分かった以上、あまり悠長に話すつもりはない。


私は早く結論が知りたいのだ。


それをやや態度に表した。


「そうですね。簡潔に言えばあなたの力をお借りしたい。それが私たちがここに訪れた目的です」


オーリュウがそう答える。


「…私の力を?」


思わず訊き返す。


「ええ、調律者であるあなたの力を我々は必要としているのです」


オーリュウの言葉に首を傾げた。


「…話が見えませんね。それは魔王軍のために勇者と戦って欲しいということか何かですか?」


私の問いにオーリュウが首を横に振った。


「いえ、戦って欲しい相手は魔族です」


オーリュウの返答にますます頭が混乱する。


魔族が魔族を倒す依頼を私に?


それも魔王軍の幹部が?


話がよく分からない以上、どうやらまずはオーリュウの話を聞かないことには始まらない。


「…詳しい説明をお願いします。お受けするかの返事はそれからでもいいですか?」


私がそう訊くと、オーリュウが笑みを浮かべた。


「勿論です。でも、良かった…門前払いではなくてホッとしました」


オーリュウが安堵の表情でそう言った。


「あくまで私は調律者ですので、必要とあれば動きます。それが本来の私の使命でもありますから…」


…そうだ。


セブンシスターズの使命は世の均衡を保つこと。


もし、オーリュウの依頼がそれに関係あるのであれば、私は断ることは出来ない。


「そうですか…分かりました。では、お話し致し…」


オーリュウが語り始めようとしたタイミングで扉を叩く音が聞こえた。


アンネだ。


「失礼します」


アンネの声が聞こえたあとで、扉が開いた。


アンネが丸いトレイの上にジュースの入ったコップを三つ持って、部屋の中に入ってきた。


私とオーリュウの座るソファの間にある長方形のテーブルにアンネがコースターを並べ、その上にジュースを置く。


すると、ドシーという魔族の女性が歓喜の声を上げた。


「ジュースだ!やったぁ!どうもありがと!早速、飲んでもいい?」


ドシーがジュースを手に持って、アンネを見上げた。


「ええ、どうぞ。遠慮なく召し上がって下さい。もし、おかわりが必要でしたら遠慮なくおっしゃって下さいね」


とアンネスマイルが炸裂する。


「ほんと?やったぁ!するするおかわりする!」


ドシーが手をバタバタとさせてはしゃいだ。


「こらっ、はしたないですよ」


堪らずオーリュウが注意をした。


「えっ?オーリュウ様がはしたないのか?」


ドシーの言葉にオーリュウがため息をついた。


「…あなたがですよドシー。もういいです。お好きになさい」


とオーリュウ様が諦めモードに入る。


「では、改めてお話し致します」


オーリュウ様がそう言うが、私は手を出してそれを止めた。


「すみません…少し待って下さい。アンネ…ごめん。少し席を外してくれる?」


オーリュウからアンネへと視線を移す。


「…分かりました。私、邪魔ですよね?」


アンネがそう答えて、早々と部屋を出て行った。


…ん?


…何か怒ってる?


思わずアンネが出て行った扉を見つめながら、少し心配になる。


「彼女には聞かれたくなかったのですね?申し訳ありません。配慮がありませんでしたね…」


オーリュウが私に謝る。


「いえ、個人的に聞かれたくないだけですから、気にしないで下さい」


とフォローする。


「そうだそうだ。オーリュウ様は配慮が足りないぞ」


ドシーがコップを手にしながら、オーリュウにづけづけとそう言う。


そのコップには既にジュースが無くなっていた。


「…あなたには言われたくはないですよ。全く…真剣な話をするので、少し静かにしておいてくれませんか?」


オーリュウがドシーにそう言うと、ドシーが空になったコップをこちらにぐいっと寄せてきた。


「おかわり」


その瞬間、私は半笑いになり、オーリュウは深いため息をついた。

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