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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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魔族の来訪者

私がタオカモイに帰還して、一週間が経った。


相変わらず、今日も町は平和で推しのスマイルは最強である。


「エメさん。さあ、早く行きましょう」


朝食を終えた直後、食堂でアンネが私の手を引いて笑顔でそう促した。


いつものようにアンネとペアになって町へと仕事に出かけるのだが、フレイリン領のチートーズから帰ってきてからというもの私と仕事に出かける時のアンネのテンションが以前と違う。


まあ、推しがこちらを見てくれるのは嬉しいので、私としては文句はない。


それに塩対応は苦手だ。


しかし、なんて顔をするんだアンネ…


そんな顔を見せられてしまったら、町の人の顔がすべてカボチャにみえてしまうではないか…


そのせいで既に神父様の顔にモザイクがかかっているのだから…


「分かったよアンネ。少し待ってて…すぐに支度をするから」


そう言って、急いで先に部屋へと戻る。


ドアを開けて部屋に入ると、そこは私の部屋に似つかわしくないくらいに整理整頓がされていた。


実は私が帰還して部屋に戻ると、散らかして出て行ったにも関わらず、部屋が綺麗になっていたのだ。


「…ごめんなさい。勝手に部屋に入って、掃除をしてしまいました。迷惑ですよね?」


自分の部屋ではないような部屋に唖然としていたら、後ろからアンネが私にそう言ったのだ。


迷惑な筈がないし、以前もミーナに頼っていた私からしたらウェルカムである。


…ただ、私がまた駄目になるだけだ。


それからというもの、毎日のようにアンネが私の部屋に訪れて、文句一つ言わず片付けてくれる。


そんなアンネに申し訳ないので、私なりにあまり散らかさないようにはしているのだ。


まあ、あくまで私なりに…


すぐに支度を終えて部屋を出ると、部屋の前でアンネが私を待っていた。


「お待たせ。さあ、行こうか?」


私がそう言うと、再びアンネスマイルが炸裂する。


「はいっ」


アンネの眩しすぎる返事にまた周囲が霞んでしまう。


ほら、そのせいで階段を下りたところにいた神父様の全身にモザイクがかかっているではないか…


教会をあとにして、私とアンネはいつも通りに町の人たちの家々を訪ねて回る。


私も随分とこの町に慣れて、今では町の人のほぼ全員の顔と名前を覚えたし、町の人のほとんどが私のこと知ってくれるようになった。


この先どうなるかは分からないけれど、少なくとも今はここが、私の帰るべき場所だ。


そう思いながら、アンネと共に次の家に向かうべく歩いていた。


すると突然、胸のロザリオが暴れ出す。


思わず、私はその場に立ち止まる。


急に歩みを止めた私に気づいて、少し先を歩いていたアンネも立ち止まり、私の方へと振り返った。


「…エメさん?」


アンネが首を傾げて、私を見ている。


が私はロザリオが反応したことに驚いていて、それどころではなかった。


…何かがこのタオカモイに来た?


ロザリオが反応するような力を持つ者が…


私の中で一気に緊張感が走る。


「あれ、神父様?」


アンネのその言葉にすぐに視線をそちらに向ける。


すると、いつの間にかアンネの先に神父様の姿があった。


しかし、その表情にやや陰りがある。


「…エメさん、あなたに来訪者です。一見、男性と女性の方ですが、おそらくアレは…」


神父様が恐る恐るといった様子で私にそう知らせた。


その言葉でなんとなく理解する。


どうやら、私を訪ねてきたその者たちは人間ではないのだと…


ロザリオが反応した…ならば、おそらく魔族だ。


目的は分からない…ただ、あまり良いことではないだろう。


せっかくこの生活にも慣れてきたところだというのに勘弁してくれ…


私は思わず心中でため息を漏らした。


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