希望の光
ウィルさんはこの亜空間の中で自由自在に移動出来る…?
そんなもの反則もいいとこだ…
「さあ、これで終わりだ」
レックさんが頭上から私にそう告げて、私の首の横に伸ばした剣を私の首を目掛けて振るう。
が、それを何かが阻止する。
「なっ!?ロザリオが勝手に!?」
突然の出来事にレックさんが驚きの声を上げた。
私の可愛いロザリオがひとりでに動き、グリフォンの剣を弾き飛ばしたのだ。
私のロザリオによって弾き飛ばされた剣を追って、レックさんが私から離れた。
その隙に立ち上がり、ロザリオを両手で掴んだ。
…ありがと。
ロザリオを優しく撫でて、心中でそう言った。
どうやら私のロザリオだけではなく、ミレイのロザリオも自らの意思で動き、ウィルさんの意表を突いて攻撃し、主人を助けたようだ。
各々のロザリオの攻撃でウィルさんとレックさんが離れている隙に私はミレイと合流した。
「…大丈夫?」
細長いロザリオを手に私の横に立つミレイに訊いた。
「…なんとかね。流石に電撃二発喰らうとキツいわ…次もらうともう無理かもね」
ミレイの弱気な発言に珍しいなと感想を抱く。
「…どうやら、向こうさんはその次の準備をしてくれているみたい」
暗闇の先を見ながら、ミレイに報告する。
私とミレイが合流したように、レックさんの隣にウィルさんがいつの間にか移動していた。
…そういや、自由自在なんだっけ?
そして、再び風神雷神の舞とやらを繰り出そうしていた。
どうやら絶体絶命の大ピンチのようだ。
…まあ、このまま普通に戦っても、ウィルさんが自由自在に移動出来るなら、こちらの不利は変わらない。
なんとか、あの技を防ぐか…もしくは耐えて反撃を喰らわせるほか私たちの勝機はないだろう。
…ああ、せめて魔法が使えたらなぁ。
「巻き起これ大旋風!」
レックさんがグリフォンの剣を翳して、剣から突風を発生させた。
さっきみたいにロザリオを投げて防ぐ気力はもう残ってはいない…
目もまともに開けていられないほどの風が私たちの動きを止めた。
…すぐにこの風にウィルさんのライジングソードの稲妻が乗ってくる。
打開策を必死に頭で巡らせた。
きっと、隣にいるミレイもそうしている筈だ。
しかし、浮かんでくる策は全て魔法ありきのものばかりで、魔法が封印されている現状では稲妻を阻止出来ない。
どうやら詰んだか…
仕方なく私は打開策を諦め、この技を耐え切ることに集中する。
突風に逆らい、なんとかロザリオを前へと出す。
ミレイも同様にロザリオを自分の前に出した。
ロザリオで雷撃を防ぎきれはしないことは分かっている。
…だけど、最善の手がこれしかない。
風が発せられる奥でウィルさんの剣が光った。
ライジングソードの剣身に雷撃が帯びる。
…来る!
覚悟を決めて、身構えた。
だが、その時だった…
ウィルさんがいる方向とは別の方向から、突如光が差し込んできたのだ。
まるでこの暗闇に逆らうように、その光はどんどん広がっていく。
一体、何が起きたかは分からなかったが、どうやらこの光は私とミレイにとって、希望の光であることは間違いないと確信した。




