風神雷神の舞
私は馬鹿デカいロザリオを持って、真っ直ぐレックさんへと向かっていく。
ミレイもウィルさんへと攻撃を仕掛ける。
暗闇の中でレックさん目掛けてロザリオを振り下ろした。
レックさんがそれを右に躱す。
続けてロザリオを真横に振って、レックさんへと連続攻撃を仕掛けた。
躱されてはまた攻撃を繰り返していく。
攻撃は当たらないが、レックさんに攻撃の隙は与えない。
「…素晴らしい。そんなデカい得物を簡単に振り回すとは…」
レックさんがロザリオの攻撃を全て避けながら、私を褒め称えた。
それを全て避けている癖によく言う…
決して手を抜いてはいないが、やはりこの暗闇ではなかなか相手の動きを捉えにくい。
少し目が慣れた程度ではやはり当てるのは難しいのが本音だ。
レックさんがロザリオを剣で受け止める。
その瞬間、力で押し込もうとした矢先、レックさんのグリフォンの剣から突風のようなものが放たれて、ロザリオごと後方へと流された。
それと同時にミレイもウィルさんのライジングソードから放たれた雷撃を受けて、堪らずに後方へと退がってくる。
すると、タイミングよく私とミレイが横に並んだ。
一瞬、敵の二人と間合いが出来る。
それをレックさんとウィルさんが見逃さなかった。
「巻き起これ大旋風!」
レックさんがグリフォンの剣を翳して、高らかに叫んだ。
すると、私たちに向かって勢いよく風が吹きつける。
しかし、真空の刃のように直接攻撃してくる類いではなかった。
風に押し流されて身動きが取れないが、ダメージはない。
と思いながら前方へと視線を向ける。
すると、ウィルさんが剣を振るうのが見えた。
その瞬間、嫌な予感が頭を過ぎる。
この風はあれが狙いか…!?
ウィルさんがレックさんが巻き起こす大旋風の背後から雷撃を放つ。
「迸れ雷撃」
ウィルさんがそう言うと同時に風の中を稲妻が走った。
私とミレイが悲鳴を上げる。
風で身動きが取れない私たちに雷撃が襲ったのだ。
全身に痛みが駆け巡り、身体中が感電する。
やがて、風が止むと自ずと雷撃も止まった。
その瞬間、私とミレイが真っ暗な地面に倒れ込んだ。
グリフォンの剣の風とライジングソードの雷撃…
最強の組み合わせである。
「風神雷神の舞。チートーズでこの技を使わせたのはモヨモートとイズラーしかいなかった…まさか、あなた方に使うとはね」
レックさんが剣を鞘に収めながら、そう語る。
「…出来れば殺したくはなかったけれど、仕方なかった。ごめんなさい…」
ウィルさんが謝りながら剣を鞘に収めた。
…おいおい、勝手に殺すなよな。
感電の痺れが取れてきて、ようやく手をピクリと動かす。
それに気づいたレックさんが驚きの声を上げた。
「…なっ、まだ動けるのか?」
私は倒れた際に手放した大きなロザリオ拾い上げて、ゆっくりと立ち上がった。
ミレイも同様に落としたロザリオを拾い立ち上がる。
「風神雷神の舞を受けてまだ戦えると…?勇者でさえ、この技で死ぬというのに…あなた方は一体、何者何ですか…?」
ウィルさんがやや冷静さを欠いた様子で私に訊いた。
私は痛む身体をなんとか奮い立たせて、ロザリオを前へと向ける。
そして、ニヤリと口角を上げた。
「…勇者殺しの犯人にされたシスターですが何か?」




