君たちの言う通りだ
私の声に目の前で剣を構えていたウィルさんが驚きの表情を浮かべた。
「どうしました?もしかして、もう私の声をお忘れですかウィルさん?」
驚きのあまり言葉を失っている様子のウィルさんに続けて話しかける。
「…エメさん?」
ウィルさんがようやく私の声を理解する。
まあ、姿は勇者ロートなので無理もない。
「生憎、あなたたちが探しているこの姿のお二人はあなたたちが向かおうとしている場所にちゃんといますよ」
女勇者ソフィアの姿でミレイがウィルさんとレックさんにそう告げる。
「その声はシスターミレイですか…?」
ウィルさんがソフィアの姿をしたミレイを見て言った。
「…どういうことです?何であなたたちが二人の姿に…?」
ウィルさんが信じられないと言った顔で私に訊ねる。
「いやだなぁ、ウィルさんの得意な変化の魔法ですよ。あなたが変化の魔法で私の姿になって私を嵌めたように、私たちも変化の魔法を使ってロートさんとソフィアさんの姿になってあなたたちを嵌めさせて貰いました。えへっ」
ロートの姿でペロッと舌を出す。
「あなたが私に近づいたのは私の姿に化けるため…ある程度は自分が認識しないと、その相手には化けられないですもんね?」
私の問いにウィルさんは何も答えない。
「そうそう、エメなんかにイケメンが寄ってくる筈がないのよ。私は初めからそれが信じられなかったから、今はそれが分かってスッキリしてる」
ミレイがソフィアの姿でうんうんと頷いた。
「…ちょっと、それいらなくね?」
ロートの姿でミレイを睨む。
ミレイは睨む私を無視して話を続けた。
「あなたたちはこの姿の私たちを見てさぞ驚いたでしょうね?まあ、今から殺しに行こうとしていた相手が急に後ろから現れたら驚くのは無理もない。でも、どのみち二人を殺す予定だったあなたたちは剣を抜いた。最後の仕上げのために…」
ソフィアの姿のまま、ミレイが語る。
「何のことだ…?」
レックさんがしらを切る。
「惚けても無駄ですよ。さっき、あなたが自分で勇者殺しの最後の仕事だって言ったじゃないですか?ロートさんとソフィアさんを殺して、この一連の事件の犯人を二人に仕立て上げて、この事件に幕を下ろす計画だったんですよね?あとでロートさんとソフィアさんを殺したのは自分たちの身を守るために仕方なかったとでも言って…死人に口なしって言いますもんね?」
ロートの姿のまま、ニヤリと笑った。
「…違う!僕たちは何も知らない…エメさんたちはきっとロートさんとソフィアさんに騙されているんだ。あの二人は危険だという情報を僕たちは得た。だから、剣を抜いたんだ。自分の身を守るために…!」
ウィルさんが必死に私に訴える。
だが、それをレックさんがウィルさんの肩に手を置いて止めた。
「…もういいウィル」
「レック…」
レックさんの言葉にウィルさんが仕方なく俯く。
「…そうだ。君たちの言う通りだよ。私たちがチートーズで起きた勇者殺しの真犯人だ」
レックさんが開き直って、全てを認めた。




