最悪なペア
「よりによってお前か…?」
協会があらかじめ決めた勇者様とシスターの組み合わせが発表された。
その発表で勇者ロートが怪訝な表情を浮かべて、私にそう言ったのだ。
いやいや、それは私の台詞だ馬鹿野郎…
…どうやら神は私を見放したようである。
落胆する私にミレイが私の肩をポンポンと叩く。
「私の勇者様はエメの勇者様と組んでいるみたいだから、自ずと私と組むことになるね」
ミレイの言葉に終始嫌な表情を浮かべていたソフィアの姿を見つける。
…ああ、なんかダブル…いや、トリプルショックか?
悲しげな表情でウィルさんに視線を向けると、ウィルさんはレックさんと共にペアに選ばれたシスターと楽しそうに会話をしていた。
その二人のシスターに目を向けると、どちらも私より若く見える。
クソッ…今すぐ協会に文句を言って、ペアを変えて貰おうか…?
と心の中で野望が生まれる。
「おい、女」
背後から声が聞こえた。
「…ん、もしかして私ですか?」
勇者ロートの方を振り返って訊いた。
「当たり前だ。お前以外に誰がいる」
勇者ロートの偉そうな口調に苛立ちを感じる。
苛立つ私を近くでミレイが笑いを堪えていた。
アイツめ…他人事だと思って…!
人知れず左拳をわなわなさせた。
「…私にはエメという名前があります」
勇者ロートにそう言い返す。
「フン。いちいちシスターの名前なんぞ覚えていられるか…馬鹿らしい」
勇者ロートの言葉に苛立ちがマックスになる。
何なんだコイツは…?
「…で、何ですか?」
無愛想に言ってやる。
「簡潔に言う。お前は何もするな。そして、くれぐれも俺の邪魔をするんじゃないぞ?俺は回復も得意だ。だから、回復のサポートなんぞ俺には必要ない。この事態が終息するまで、寝泊まりしている教会で大人しくしていろ。分かったな?」
勇者ロートが一方的に私にそう言い放つ。
「…勇者様はそれで良くても、私たちは教会から勇者様をサポートするように仰せつかっているのです。はい、そうですかとはいきませんよ」
そう反論するも、勇者ロートは聞く耳を持たない様子で踵を返して離れていく。
「無駄よ。ロートは昔からあんなんだから、人の話なんか聞きやしないわ。私の言うことだって聞かないのに、アンタみたいなシスターの言うことなんて聞くわけないでしょ?」
女勇者ソフィアが私と勇者ロートの間に入るように立ち、私に言った。
…後半の部分いらなくね?
そして、勇者ソフィアがミレイの方に視線を向けた。
「私もロートと同じ考えだから、あなたも必要ないわ。この勇者殺しの事件の終息まで、大人しく教会で燻っていなさい」
そう吐き捨てて、ソフィアがロートのあとを追うように、この会場から出ていく。
その様をミレイと並んで呆然と見ていた。
「…何だありゃ?」
思わず口に出す。
「いきなり私たち仲良く用済みになったわね?楽で良かったじゃない」
ミレイが私の肩に手を置いて言った。
「…まあ、そうだけどさ。でも、これからどうするのよ?本当に事が終息するまで教会でゆっくりしてていいのかよ…?」
思わずため息が漏れた。
でも、勇者様がああ言っているのなら、私たちは本当に用済みでいいのだろう。
どうやら、今回は暴れる必要はなさそうだなと心中で少し安堵した。
「…それにしても同じグループにセブンシスターズが二人もいるなんて凄いことなのにね?いやいや、ほんと勿体無いわ」
ミレイが小さな声でそう言った。




