金色のエメ
私はすぐに教会には戻らず、ミレイと共に人がいない狭い路地へと移動した。
「まさか、こんなところでアンタに会うとは思わなかった…」
きっと、わざと私のロザリオを揺らしたに違いない。
「私はエメの噂を聞いていたから、この近くにいるのは知ってたわよ。まあ、ここで再会するとは思わなかったけどね…」
ミレイの言葉に思わず苦虫を噛み潰したような顔をした。
「なんか暴れてるみたいね。レッドドラゴンに漆黒の魔女?ちょっとやり過ぎじゃない…?」
ミレイが私に冷たい視線を向けた。
「それは成り行き上、仕方なく…」
ミレイから視線を逸らす。
「まっ、くれぐれも気をつけることね。レッドドラゴンに漆黒の魔女となると、どうしても人間側に加担していると思われても仕方ないわよ?私たちセブンシスターズはあくまで調律者でなくてはならない。そこんとこ肝に銘じて置かないと取り返しのつかないことになるわよ金色のエメさん」
ミレイが私に近づいて、私の顔を覗いた。
「…勿論、心得ておりますよ緋色のミレイ殿」
と顔を背ける。
「じゃあ、私はこの辺で」
ミレイが踵を返して、私に背を向けた。
「…ミレイはどこの教会に厄介になってるの?」
ミレイの背中に訊ねる。
「西側にある教会。と言っても、西側だけでもたくさんあるから西側の教会とは呼べないけどね」
ミレイが立ち止まって、顔だけこちらに向けて答える。
「…ミレイは勇者殺しの事件をどう思う?」
更に質問を重ねる。
「さあ?そりゃあ、まともに考えたら勇者様が減って喜ぶ奴らの犯行なんじゃない?」
ミレイがサラリと答えた。
「…となると魔族?」
「どうだろうね?可能性は高いけど、そうとは言い切れない。もしかしたら、私たちみたいな存在が世の均衡を保つ為に勇者様を減らしたのかもね」
ミレイがそう言って、不気味に笑う。
「…まあ、私としてはあまり巻き込まれずに今回の事件が解決することを祈っているよ」
私の言葉にミレイが同調するように頷いた。
「違いないわ。私たちはあまり目立つ訳にはいかない立場だからね…」
ミレイがそう言い残して、狭い路地から去っていく。
残された私は狭い路地から、赤く染まる空を見上げた。
…勇者殺しか。
最近の私の行動を考えると、今回こそは大人しくしていたい…
…でも、嫌な予感しかしない。
誰もいない薄暗いこの空間で、私は大きな深いため息をついた。




