商業都市チートーズ
私はチートーズの北の停留所で馬車を降りる。
チートーズに入った途端、別世界に来たような感覚に襲われた。
街は賑わいを見せ、どの道もしっかりと整備されおり、馬車が街の中を行き来している。
何より、見渡す限り店や家がぎっしりと並んでいて、以前行ったインナリィ城下町をも霞ませてしまう広さだ。
…正直言って、すぐに迷子になる自信がある。
とりあえず、タオカモイを出る時に神父様に言われた北の教会を目指すことにした。
その北の教会に行けば、今回の出張の全容を説明してくれるだろう。
北の停留所をあとにして、私はその北の教会を目指した。
タオカモイに転勤になった時よりは荷物は少ないものの、それなりには持って来ているので、なるべく早く到達したい。
…が数時間後、私はまだ街の中を彷徨っていた。
道中、街の中に設置してある地図を見たり、人に訊ねたりしたにも関わらずこれだ…
とはいえ、大都市ならではなのか、人に訪ねても割と対応は冷たかった。
それとどうやら、チートーズにある北の教会を目指すも、チートーズの北側だけでも、それなりの教会があるらしく、既に二箇所を訪ねるも空振りに終わっている。
…ああ、もう都会は嫌だ。
のどかなあの場所に帰りたいよ…
と目に涙を浮かべそうになった時、誰かがこちらを見ていることに気がつく。
青色の髪をした若い男性だ。
その男性は商人らしかぬ、剣を背負っていて戦闘向きの格好をしている。
…旅の戦士だろうか?
と思っていると、青色の前髪を真ん中で分けたその男性がこちらに歩み寄って来た。
優しそうな表情をしている綺麗な顔立ちの男性に思わずドキッとしてしまうも、疲労からかあまり喜びが湧いてこない。
「…もしかして、チートーズに収集されたシスターの方ではありませんか?」
「…へ?」
突然の質問に思わず変な返事をしてしまう。
すぐに慌てて繕おうとする。
「…は、はい、そうです。勇者様のサポート役としてタオカモイから出張に来ました。何故、それを…?」
青色の髪の男性が優しく笑みを浮かべた。
「実は僕、その勇者なんです。だから、迷っている貴方を見て、もしかしてと思って声をお掛けしました。宜しければ僕が貴方の探している場所へ案内しましょうか?」
「…えっ、勇者様!?」
思わず驚きの声を上げる。
「はい、勇者のウィルです。ようこそ商業都市チートーズへ」




