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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第三章 時にサラッと嘘をつくシスターですが何か?
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58人の王国の魔術士

私の左手から光が放たれたあとすぐに、町の中からたくさんの光が一気に溢れ出す。


そして、町の中から幾つもの何かが町の外へと飛び出してきた。


襲いかかってくる盗賊たちと入り口を守る私たちの間へと…


突然、目の前に現れた何かを目の当たりにした盗賊たちが脚を止める。


「あれは…?」


隣のアンネが一体、何が起きたのだという表情を浮かべて、その者たちを見つめていた。


その者たちは皆、白い魔術士のローブを身に纏っている。


「インナリィ王国の魔術士たちの登場だよアンネ」


戸惑うアンネの頭上からそう説明する。


「…どうして王国の魔術士様たちがここに?」


アンネの言葉に思わず口角を上げた。


「そりゃあ、やっぱり神の御加護じゃない?」


私は現れた王国の魔術士たちが迅速に圧倒的な力で盗賊を制圧していく様を見ながら、そう答えた。


「…またお前の仕業かシスター!?」


剣を抜いたまま、味方が捕らえられていく様子をただ見ていたアイリーンが何かに気づいて私に噛み付いた。


「何のこと?これは神の御加護だって言ってんじゃん」


とすっとぼける。


「嘘をつくな!さっきお前は左手で何か魔法のようなものを唱えただろ!」


…よく見ていらっしゃる。


神の御加護の賜物でいいじゃないか…


「…まあ、もう勝ち目はないと思うよ。なにせ相手は王国魔術士様5(・)8(・)人(・)だからね」


と煩いから少しヒントをくれてやる。


私の言葉にアイリーンが驚愕の表情を浮かべた。


「…ま、まさか?」


「そのまさかだよ偽勇者。私はアンタの魔法陣を解除したんじゃない。書き換えたんだよ王国の魔術士様たちをここにワープさせるものにね」


鋭い口調でアイリーンに言い放つ。


「もしかしてエメさんが休暇を取ってインナリィ城に行ったのって…?」


私のアイリーンへの種明かしを聞いていたアンネが気づいたようにそう口にした。


「そう。この町の置かれている状況に気付いて、王国の力を借りに行ったのよ。一応、王国は私に貸しがあるからね。いくら私でも、理由なしにまともに一日も働いていない状態で休暇なんか貰ったりしないって」


とアンネに笑いかける。


「…でも、その間に町を襲われたら元も子もない。だから、少しアンネを利用させて貰った。ごめんねアンネ」


アンネの頭に優しく手を置いて謝る。


「えっ…?私?」


私の言葉にアンネはさっぱりの様子だ。


「…アンネを通じて私に嘘の情報を流したのか?王国が一週間この地域を巡回しているという嘘を?」


私の言葉を理解していたアイリーンが私に答えを求めた。


「正解。アンタはまんまとそれを鵜呑みにして、襲撃を控えた。まあ、まだ元から予定していなかったかもしれないけど。でも、襲撃がおそらく今日だということはなんとなく分かっていた」


アンネからアイリーンへと視線を移して答える。


「…魔物が現れたからですね?」


黙って近くで私とアイリーンの会話を聞いていた神父様が私に訊いた。


「はい、その通りです神父様。私の幻影魔法で出したエビルツリーが現れたことが王国に知れたら、それこそ王国がこの町を巡回しに来るかもしれない。だから、その前に必ず決行すると思っていました」


私の神父様への返事にアイリーンが実に屈辱的な表情で私を睨んでいた。


「一体、お前は何者なんだ…?」


アイリーンが私にそう訊ねる。


私はそれにニヤリと笑った。


「時にサラッと嘘をつくシスターですが何か?」

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