私の推しは頑固者
アイリーンに全ての種明かしをしている間に王国魔術士たちによってほとんどの盗賊たちが捕まっていた。
「もう終わりだ。アンタも観念して大人しく捕まるんだな」
もはや逃げ場のないアイリーンに引導を渡す。
「…フン、私一人でもやれるさ。いくら王国魔術士がたくさんいようがそう簡単に私は捕まらない」
アイリーンが自信たっぷりにそう言い放った。
「…神父様、人払いをお願いします」
私のお願いに神父様がこくりと頷いて、私とアイリーンのいる場所から離れるよう周囲の町の男たちに呼び掛けてくれる。
町の男たちが神父様に促されながら、町の中へと避難していく。
しかし、アンネは動かずに私の隣に立っていた。
「ほら、アンネも早く町の中へ避難して」
そう促すもアンネは動かない。
「…エメさんはどうするんですか?」
アンネが私を見上げて、私に訊いた。
「アイリーンと戦う。アイリーンの言う通り、王国の魔術士相手でもアイリーンなら逃げ切れるかもしれない。だから、私がここで止める」
アイリーンに視線を向けて、アンネに答えた。
…アイリーンをここで逃したら、また犠牲者が出る。
赤子まで容赦しない奴らだ…
「私と戦う?お前がかシスターエメ?たしかに私は偽勇者だ。でも、実力は勇者に劣らない…いや、それ以上だという自信がある。だから、シスターごときに負ける訳がない」
アイリーンが剣先を私に向けた。
「…アンネ早くここから逃げて」
アイリーンとの戦いにアンネを巻き込む訳にはいかない。
「嫌です!エメさんが戦うなら、私も回復魔法でサポートします。お願いですから私も一緒に戦わせてください」
アンネが私に懇願する。
どうやら、私の推しは頑固な性格のようだ。
「分かった。なら、少し後ろで待機してて。回復魔法が必要になったらお願いするから」
私の返答にアンネが嬉しそうに返事をして、少し私から離れた場所へと移動した。
…よし、いい子だ。
そう心中で囁き、私は首からロザリオを外した。
「大いなる神よ…我に力を与えたまえ…」
そう唱えると、ロザリオがいつものように馬鹿デカいサイズへと変化する。
それを両手でしっかりと持った。
「…それがお前の得物かシスターエメ。随分と重そうなロザリオだな?そんなものでこのドラゴンスレイヤーに敵うと思っているのか?」
アイリーンが自身の剣の自慢をする。
「ドラゴンスレイヤーねぇ…でも、私は人間よ?ドラゴンじゃないわよ?それドラゴン殺しに特化している武器でしょ?逆にそんなんで大丈夫?」
アイリーンのドラゴンスレイヤーを見て、ため息を漏らす。
「…相変わらず苛つく女だ。なら、身をもってこの剣の素晴らしさを知るがいい!」
アイリーンがそう言って、ドラゴンスレイヤーで勢いよく斬りかかってきた。
アイリーンとの戦闘開始の合図だ。
私はロザリオを持つ手にグッと力を入れた。




