盗賊たち
魔物が現れた翌日、町は既に平穏を取り戻していた。
そして、私とアンネは朝早くから魔物が暴れた時に破損した家や道の修繕のお手伝いをしている。
「…いやぁ、本当にこれくらいで済んで良かったよ。勇者様がこの町におられなかったら、完全にアウトだったね」
家の修繕をしていた大工のおじさんが私たちを見てそう言った。
「そうですよね。誰も怪我人が出なかったのはいち早く勇者様が駆けつけて魔物と戦ってくれたおかげですし」
いつものようにアンネの女神スマイルが炸裂する。
隣で私はにこやかにそれを堪能していた。
家と道の修繕は午前中で終わり、一度教会へ戻る。
皆で食堂に集まり、昼食を頂く。
そして、再び各々の仕事へと向かおうとしたその時、教会に町人の一人が大慌てで教会へと駆け込んできた。
「大変だ神父様!盗賊だ!たくさんの盗賊が現れて町を取り囲んでいる!」
息を切らした町人の男性が大声で私たちにそう知らせる。
「なんですって!盗賊が!?」
神父様が急いで男性に駆け寄った。
私と他のシスターの四人も同じく町人に駆け寄る。
「…ああ、まだ町を取り囲んでいるだけで襲っては来ていない。でも、いつ襲ってくるかは時間の問題だ…」
男性の言葉で教会の中に一気に緊張が走る。
「魔物の次は盗賊ですか…勇者様はこのことをご存知なのですか?」
神父様が教会の入り口にしゃがみ込む男性に視線を合わすように屈んで訊いた。
「他の者が知らせに言った。あと、老人や子供を建物の中に早く避難させるよう呼びかけに行ってくれている者もいる。男手のほとんどは武器を持って入り口へと向かったよ…」
「分かりました。我々もすぐに向かいます」
神父様がそう男性に告げると、男性は再び走り出していった。
きっと、盗賊と戦うために入り口へと向かうのだろう。
「エメさんとアンネさんは私と共に町の入り口へ。エレンさんとマリアーナさんとローザさんは子供やご老人の避難を手伝いに行って下さい」
神父様が真剣な面持ちで私たちシスターに指示を出す。
すると、まだ若いのに四人のシスターは毅然とした返事をして、すぐに行動に移していく。
…よく教育が行き届いている。
と人知れず口角を上げた。
…さあ、ここまでは予定通りだ。
あとは向こうの出方次第である。
そう心の中で思ったあと、私は神父様とアンネと共に町の入り口へと向かった。




