女勇者様
「…町と村が?それは魔族か魔物によって?」
道を歩きながらアンネに訊いた。
「…いえ、魔族ではないようです。でも、魔物の仕業という噂があったり、盗賊の仕業だという噂もあるので、実際にはどちらの仕業か分からないみたいなんです」
アンネの説明に思わず首を傾げる。
「…でも、襲われた町人や村人に聞いたら、何に襲われたかくらいは分かるんじゃ?」
私の質問にアンネが沈んだ表情を見せた。
「…襲われたあと、話せる町人や村人が誰もいなかったようです。いえ…まだ話せない赤子までも容赦なく…」
アンネが思わず手で口を押さえた。
「皆殺し…なんていうことを…」
思わず顔を顰める。
「どちらも魔物によって襲われた形跡はあるようなのですが、それと同時にお金や宝石などが全て奪われていて…もしかしたら、魔物によって襲われたあとで誰かが町や村の家々を荒らしたのかもしれません」
「…でも、魔物の仕業なら、誰か生存者がいてもおかしくはない。全ての家に押入って、皆殺しとなるとやはり盗賊の線が濃厚なんじゃない?」
私の言葉にアンネが不安な表情を浮かべた。
犯人がどちらにしても恐ろしい出来事には変わりない。
「…私は魔物の仕業ではないかと思うのです」
とアンネが根拠があるような話し方をした。
「実は一ヶ月くらい前に突然、魔物がこの町を襲って来たのです」
「それは魔物の群れ?」
アンネの話に思わず質問をした。
「いえ、魔物は一匹でした。でも、大きなキマイラでしたので、たちまち町はパニックに陥りました」
アンネの話にふと昨日の守門の男性の言葉を思い出す。
この町は勇者様がおられるから安心だと言っていた。
「…もしかして、それを勇者様が退治してくれたとか?」
「…えっ?ご存知だったのですか?」
私の言葉にアンネが少し驚く。
「…ううん、昨夜に守門さんがこの町には勇者様がおられるからと言ってたから、ひょっとしてそうなのかなと」
どうやら当たりのようだ。
「そうです。勇者様がキマイラから町をお救いになられたのです。勇者様がいなければ今頃はどうなっていたか…」
アンネがそう言って頭を左右に振った。
「…なるほどね。で、それ以降、その勇者様は町に滞在しておられると?」
「はい、またいつ魔物が襲ってくるか分からないと町にいて下さってます。幸いそれ以降はまだ魔物は現れてないですが…」
アンネの言葉にこの町の人々の勇者様に対する期待がなんとなく窺える。
「あっ、今から勇者様に会いに行かれます?」
アンネが思い付いたようにそう訊いた。
「…いいの?私なんかが突然、勇者様に会いに行っても?」
心配そうにアンネにそう訊いた。
「大丈夫です。あの方はとても優しい勇者様ですから、それにエメさんと同じくらいの年齢ですし、女性同士で気が合うかもしれませんよ?」
アンネが嬉しそうに話す。
「えっ、勇者様って女なの!?」
女とはイメージしていなかったのでつい驚く。
「はい、勇者様は女性です。しかも、とても綺麗な方ですよ」




