タオカモイ到着
馬車に揺られること半日、目的地であるタオカモイの入り口の前に到着した。
すっかり辺りは真っ暗になっている。
道中、何度か馬の休憩を入れても予想以上に早い到着だ。
「ありがとうございました」
馬車から荷物を降ろして御者にお礼を言う。
「いやいや、こちらこそありがとうだよ。久しぶりにいい仕事だったからね」
と御者の言葉になるほどそういうことかと納得する。
王国による直接の依頼だ。
きっと結構な額を貰っているのだろう。
そりゃ無理してでも、私を早く送り届ける筈だ。
やはりお金の力は偉大だな。
私の元から走り去っていく馬車を見送りながら、そんなことを思った。
「さてと、行きますか…」
そう独り言を呟いて、町の入り口へと向かう。
とはいえ、もうすぐ日が変わるこんな時間に教会へ行っても快く迎えてくれるかどうかは怪しいところだ。
…今日は宿にでも泊まるかな?
と思っていると、町の入り口には守門が二人立っていた。
町に守門とはなんとも厳重なことだ。
…もしかしたら、町にすら入れない恐れがある。
恐る恐る入り口に立つ見張りの守門たちに近づいていく。
「…今晩は。あの…町の中には入れますか?」
少し遠慮気味にそう訊ねる。
「シスター?見かけない顔だね?どこから来たんだい?というか、こんな時間に女性一人で歩いているなんて危険だよ」
守門の一人の中年の男に割と笑顔でそう訊かれた。
どうやら門前払いと言うわけではなさそうだ。
「そこまでインナリィ城下町から馬車で乗ってきました。私はこの教会に新たに配属されたシスターです。よろしくお願いします」
「そうだったのか。分かったよ、教会に確認を取りに行ってくるから少しここで待っていておくれ」
守門の一人がそう言って、町の中へと入っていった。
すると、もう一人の守門が私に話しかけてくる。
さっきの人よりも少し若く見える男性だ。
「すまないね。本当ならすぐに入れてあげたいところなんだけど、最近はこの辺りで色々とあって…きちんと確認しないと町に入れない決まりになっているんだ」
男性の言葉にいえいえと右手を左右に振った。
「…まっ、この町は勇者様がおられるから安心なんだけどさ」
その言葉に思わず、町の中へと視線を向けた。
…勇者様か。
この前みたく最低な勇者じゃないことを祈った。




