インナリィ王国の魔術士たち
インナリィ王国の象徴である白色のローブに身を包んだ魔術士たちが一斉に現れ、すぐさまイダジンは王国の魔術士たちによって捕らえられた。
「クラリス様、ご無事で何よりです。お怪我はありませんか?」
その魔術士たちの一人の男が姫様に話しかけた。
他の魔術士たちと比べて、若干ローブが派手に施されていることから、この男がここにいる王国の魔術士たちのリーダーなのだと悟る。
「…ええ、怪我はありませんよカリオス。あのシスターが私を守って下さったので、この通り私は元気です」
姫様が手で私を示した。
「貴方がクラリス様をイダジンの企みから守って下さったのですね?ありがとうございます。本来ならこうなる前に我々がイダジンの陰謀を阻止しなければならなかったのですが…」
カリオスと呼ばれた魔術士の男が私の前に来てそう話す。
まだ、そんな歳を取っているようには見えないのに、この中で一番偉くて姫様にも名が通っているのは正直言って凄いと思う。
何より顔が良い。
「…まあ、イダジンはクラリス様に信頼されていた男ですし、それはなかなか難しかったと思いますよ」
と失礼ながらフォローする。
すると、姫様が私とカリオスさんのところへとやってきた。
「ところでカリオス。どうしてここが分かったのですか?」
クラリス姫が不思議そうな表情でカリオスさんに訊ねた。
それをやや烏滸がましいとは思いながらも、私が代わりに答える。
「馬車でインナリィ城に向かっていた筈の姫様が突如、行方不明になったことでおそらく城中が大騒ぎしていた最中、次は漆黒の魔女の封印が解かれたことで更に騒ぎは大きくなっていた筈です。そんな中、私がホーリーインパクトを使ったから、ここに姫様がいると王国の魔術士様たちは思われたのでしょう」
私の説明にカリオスさんは頷くも、姫様はちんぷんかんぷんといった感じだ。
「ホーリーインパクト級の魔法を王国の領土内で使用したら、王国の魔術士であればそれに気づかない筈がありません。それに漆黒の魔女の封印が解かれたあとに聖魔法とくれば、関連性は充分ですから」
と付け加える。
「いやいや、初めは何かの間違えだと思いましたよ。あんな魔法力を察知したのは初めてでしたし、闇魔法ならともかく、それに対抗する力を持つ者がここにいるとはとても思えなかったもので…それが来てみればこんなか弱そうなシスターだったとは…未だに私は信じられません」
カリオスさんのか弱そうなシスターというフレーズに思わず照れて顔が熱くなる。
「くそっ!離せ!私を誰だと思っている!」
幸せに浸っていると、少し離れた場所からイダジンの叫び声が聞こえてきた。




