更なる脅威
…何かが来る。
しかも、ロザリオが反応するくらいの力を持つ者が…
「姫様、私から離れないで下さい!」
咄嗟に声を張り上げる。
「は、はい!」
姫様はそう答えて、私に近づいた。
洞窟の灯りがあるというのに、一気に黒い霧に包まれてしまい、辺りがまるで見えない。
「な、何だコレは!?さてはお前たち何かしやがったな!?」
私たちをトイレに連れて行った盗賊が騒ぎ出す。
大臣を痛めつけていた二人の見張りも急に現れた黒い霧に戸惑っている様子だ。
今なら逃げ出せる。
…と言いたいところだけど、おそらくその必要はなさそうだ。
最早、既に脅威なのは盗賊団ではなくなっているのだから…
「おい!この霧は何だ!?一体、何があった!?」
盗賊団のリーダーが洞窟内の異常に気づいて、この空間に戻ってくる。
「分かりません!急に黒い霧が…うわぁぁぁ!」
すぐ近くにいた盗賊がリーダーの質問に答えた瞬間、悲鳴を上げた。
黒い霧がモヤがかっていて、ハッキリとは見えないが、黒い霧が男を包み込むように濃くなって、たまたまち男の身体が消滅したのだ。
「…お、おい!どうした!?」
リーダーがあまりに異常な状況に狼狽え始める。
そして、大臣を痛めつけていた二人組も急に悲鳴を上げ始めて、すぐに声が聞こえなくなった。
…一瞬で三人の盗賊が消された。
明らかに闇魔法…
しかも上級魔法…いや、特級クラスか?
闇魔法を使うとなれば、おそらく魔族の仕業だろう。
「全員、奥の広間に集合しろ!敵襲だ!」
堪らずリーダーが通路に向かって叫ぶ。
すると、通路から多数の足跡が聞こえてくる。
たちまち広間に盗賊が集まった。
十人以上はいるだろうか?
しかし、それでも姿なきこの相手には勝てないことはよく理解していた。
ロザリオが反応するようなクラスの相手だ。
しかも、レッドドラゴンの時よりも強めに反応している。
「どこのどいつだ!姿を見せやがれ!」
リーダーが姿なき相手に向かって叫ぶ。
すると、急に黒い霧がパッと晴れる。
その黒い霧が一箇所に集まり出す。
大臣の割と近くの位置だ。
大臣が怯えた表情でその固まる黒い霧を見上げていた。
そして、やがて黒い霧のもやもやが落ち着いて、その黒い霧が人型を形成する。
いや、人型といってもそれは人ではない。
魔法使いのような全身黒ずくめの衣装に白き長い髪に灰色の肌の女。
…その出立ちをどこかで聞いた覚えがある。
「…ああ、待ちくたびれたわ。さあ、私の憎き相手はどこかしら?」




