盗賊のアジト
あれから私たちは盗賊らによって捕まり、盗賊団のアジトである洞窟へと連れて来られた。
暗い洞窟内は所々に壁掛けの松明が設置されていて、この洞窟が長いことアジトとして使われていることが分かる。
私と姫様、あと中禿げオッさんは盗賊に剣を突きつけられながら、両手首を背中側で縄で縛られて、洞窟の奥へと連行されていく。
そして、洞窟の奥へ辿り着くと、割と広い空間へ出てきた。
その空間の真ん中へと固まるように座らされる。
「しばらくここで大人しくしておくんだな。まあ、痛い目に遭いたいのであれば、暴れてくれて構わないが」
盗賊の一人の男が私たちを見下ろしながら、そう忠告をする。
さっきから、私たちに話しかけてくるのは決まってこの男だ。
おそらく、この男がこの盗賊団のリーダーなのだろう。
「…私は構わないけど、姫様くらいは手首の縄を解いてあげてもいいんじゃない?見張りがいれば、姫様一人くらい自由でも問題はないと思うけど?」
リーダーの男を見上げて、そう発言する。
「…ダメだ。もしかしたら、見張りの目を盗んで、お前やクラリス姫の付き添いである大臣の縄を解く可能性があるだろ?」
盗賊団のリーダーの言葉に思わず、イダジンと姫様に呼ばれていたオッさんに視線を向ける。
…アレってインナリィ王国の大臣だったんだ。
というか、クラリス姫はともかく中央禿げの素性も知っているということは、これはかなり計画的な誘拐なのだと悟る。
「まあ、無事に王国と交渉が完了した暁にはちゃんと解放してやるから安心しろ」
リーダーの男のその言葉に何の信憑性がある?
コイツらは躊躇うことなく御者のおじさんを殺した。
王国から身代金を頂いたあとの命の保証などありはしないだろう。
「俺は少し休んだら次の作戦に移る。しっかりと監視しておけよ」
リーダーの男が数名の部下にそう告げて、この空間から離れていった。
しかし、馬車の時とは違って、えらく大人しい大臣に視線を向ける。
「…違う……ない」
俯いた状態で何かぶつぶつと言っている。
あまりの恐怖に頭がおかしくなったか…?
それに引き替え、姫様は毅然としている。
「…怖くはないのですか?」
姫様に顔を近づけて小声で訊いた。
すると姫様は小さく笑みを浮かべる。
「勿論、怖いですよ。でも、一人ではありませんから。それにきっと王国の誰かが助けに来てくれる筈と信じていますから」
姫様の返答に思わず私も笑みを浮かべた。
「…ええ、助かりますよ。きっと」




