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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第六章 もし転生するなら逆ハーレムを所望するシスターですが何か?
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勇者アルテガ

黒い影たちが露わになる。


ゴブリンの集団だ。


数十体はいるだろう。


手には短剣や鉄のオノが持たれている。


…ゴブリンにしてはやや武器が立派だ。


どうやらゴブリンがインナリィ城を襲撃したのは本当のようである。


「…どうします?」


オーリュウが小声で私に確認した。


「…少し出方を窺います。すぐに襲って来ないようなので…」


と周囲を警戒しながら、オーリュウに告げた。


アンネが私の修道服の裾をギュッと握る。


「ギギ…」


ゴブリンたちが威嚇するような声を出していた。


ゴブリンたちは私たちを取り囲んだにも関わらず、すぐには襲いかかってこない。


…どうやら何かを待っている?


その時だった。


ゴブリンたち目掛けて、炎が放たれたのだ。


ゴブリンたちが炎を受けて悲鳴を上げる。


炎は上から飛んできた…


と上を見上げると木の太い枝の部分に立っている人物がいた。


ん、なんか見たことがある気が…?


ゴブリンたちが炎の攻撃を受けて逃げるように森の奥へと走っていく。


すると、木の上の人物が高笑いを上げた。


「ハッハッハ!見たかゴブリンどもよっ!勇者アルテガ様の魔法の威力を!」


と木の上の人物が名乗る。


…勇者アルテガ?


はて…?どっかで聞いた名前だな?


と首を傾げた。


「…よく分かりませんが助かりましたね?」


オーリュウが小声で私に言った。


「…うーん、私としてはもう少しゴブリンの出方を窺っていたかったですね。余計な邪魔が入った感じです…」


と返答する。


…ゴブリンたちは間違いなく何(・)か(・)を(・)待(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。


おそらくはゴブリン集団を指揮する何かがここ来る可能性があったのだろう。


ゴブリンは知性があまり無く魔法は使えず、更にゴブリン同志の意思疎通は出来ても、対人間との会話が出来る種族じゃない。


そんなゴブリンがインナリィ城を占拠したなんてことがどうしても理解出来なかった。


だから、その要因となるものの存在が確認出来たかもしれないというのに、木の上の馬鹿たれ勇者が余計なことをしてしまったのだ。


思わず大きなため息を吐く。


…ん?


勇者アルテガ…ってもしかしてあのなんちゃって勇者!?


と思わず木の上に視線を向けた。


間違いない…なんちゃって勇者…いや、胸糞勇者だ。


胸糞勇者アルテガが木の上からジャンプして、私たちの前に着地する。


が思ったより飛んだ位置が高かったのか、よろけて尻餅をついた。


…間違いないアイツだ。


せめて登場シーンくらいは決めろ馬鹿たれ…


と冷ややかな視線を勇者に向ける。


胸糞勇者が何事もなかったかのように立ち上がり、私たちに偉そうな顔を向けた。


「運が良かったな諸君。私がたまたま通りかからなかったから、今頃はゴブリンたちに連れて行かれてしまっていただろう」


と胸糞勇者アルテガがドヤ顔を私たちに披露する。


「ありがとうございました勇者様」


アンネがご丁寧に胸糞勇者なんかに頭を下げた。


「助けて頂き、感謝します」


オーリュウも胸糞勇者に頭を下げる。


一方、私は真っ直ぐ胸糞勇者に冷ややかな視線を送り続けていた。


「いや、礼には及ばない。この勇者アルテガ。勇者として当然のことをしたまでだよ」


と調子こいた胸糞勇者がオーリュウに歩み寄り、馴れ馴れしくオーリュウの肩をポンポンと叩く。


コイツ…オーリュウが魔王幹部だと知ったら、きっと腰を抜かすだろうな。


続いて胸糞がアンネに視線を向けた。


そして、アンネに近づこうとした矢先、私と目が合う。


胸糞がその瞬間、固まった。


「お久しぶりですね勇者様」


とアンネやオーリュウには見せたことのない笑顔を作った。


きっと胸糞が私を思い出して、慄くと思ったからだ。


しかし、胸糞の表情がパッと明るくなる。


えっ…!?


「姉御っ!」


と私の手を握って歓喜の声を上げたのだ。


「…はっ?誰が姉御じゃい!」


と思いっきり足を上げて、靴底をアルテガの顔面に炸裂させる。


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