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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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闇の炎を纏えしドラゴン

…何だあのドラゴンは?


ラストアを守るように闇の炎を纏えし紫色のドラゴンが立っていた。


ヴィアレタンの水竜ほど大きくはないが、その半分くらいの大きさはある。


ロザリオの動きをピタリと止めて、ドラゴンの動向を窺う。


クソッ…ここに来て増援かよ…


しかも、どう見てもただのドラゴンの類いじゃない。


魔力もほぼなく、しかも手負い…更に奥の手を使って精神的にも既に限界だ。


満身創痍の状態であのドラゴンと戦うのは無理だって…


流石に詰んだか…?


と思ったが、ドラゴンがなかなか反撃をしてこない。


とりあえず今のうちにロザリオたちを私の元へと素早く戻す。


戻ってきたロザリオたちが私の周りをクルクルと回り出した。


離れた位置でドラゴンを観察する。


何やらラストアと会話しているようにも思えた。


…喋れるドラゴン。


ヴィアレタンが水竜になった時は喋ることができなかった。


あの姿で話せるということは間違いなくヴィアレタンのレベルより上ということだ。


…まあ、ロザリオたちの光線を難なく防いだ時点でただ者ではない。


さあ、鬼が出るか蛇が出るか…


ラストアとの話が終わったのか、ドラゴンの顔が私の方に向いた。


…来る!


と身構える間もなく、気づけば目の前に大きなドラゴンが立っていた。


なっ…!?


一瞬でワープしやがった…このドラゴンは喋るだけでなく、魔法も使えるのか!?


…間違いなく竜神級の類いだ。


どうするエメ…?


残りの魔力と相談しながら、次の手を考える。


ロザリオたちを操れるのもそう長くはない…


やっぱり、万事休すかな…?


と珍しく弱気になった直後、ドラゴンが動いた。


ロザリオたちを展開させて身構える。


…とにかくやるしかない!


がドラゴンが見る見るうちに小さくなっていったのだ。


「へっ…?」


そして、ドラゴンがヴィアレタンのように人型へと変化する。


すると、ある人物がそこに立っていた。


「オーリュウ様!?」


私が見慣れている人の姿をしたオーリュウが目の前に立っていたのだ。


「えっ、オーリュウ様がドラゴン!?変化(へんげ)魔法の類いですか?」


魔法の中にはドラゴンに変化出来る魔法もあると聞いたことがある。


すると、オーリュウが首を横に振った。


「いいえ、違いますよ。私は正真正銘のドラゴン一族ですから、あれが本来の姿です」


とオーリュウが素性を暴露する。


「えっー!?オーリュウ様ってエルフじゃないんですか!?」


思わず驚きの声を上げた。


「はい、私はエルフとは無関係です。そういう噂があることは知っていましたが」


そうだったんだ…オーリュウの真の姿はドラゴンだったのか…


とようやく頭が理解したところで、オーリュウが私に向かって深々と頭を下げた。


「申し訳ありませんエメさん!私の不在にまさかラストアたちがあんな暴挙に出るとは…完全なる私の監督不行き届きです!私に出来ることなら何でも致します…ですから、どうかラストアたちの命だけは助けて頂けないでしょうか…?」


オーリュウが必死になって私に懇願した。


…それだけ、部下を大事にしているんだなと思わず笑みを浮かべる。


「…オーリュウ様が止めて下さった以上、私が彼女たちの命を奪うようなことはしませんよ。まあ、オーリュウ様が止めに来るのがもう少し遅ければ、私は立場上そうするしかなかったですけどね」


と本音を告げる。


「…エメさんの寛大なお心に感謝致します」


頭を下げるオーリュウ目には僅かに涙が光った。


主(あるじ)にこんな思いをさせるなんて、手のかかる部下だまったく…


と小さくため息を吐く。


「彼女たちは彼女たちなりに考えて主のためになると、命を賭けて私に牙を剥いたんです。私としては災難でしかありませんが、オーリュウ様にとっては主思いの良い部下を持って幸せだと思いますよ」


とフォローする。


「ありがとうございます」


オーリュウが依然、私に頭を下げたままだ。


…まあ、オーリュウからしたら部下の失態は自分の責任だろうから、気が済むまでさせておく。


「…にしてもですよオーリュウ様?私はあなたの正体を知らないんです。私の攻撃をドラゴンの姿で防ぐしかなかったのは分かりますが、早めにその姿に戻るか、私に自分がオーリュウ様だということを教えてくれないと、私は新手が現れたと思って生きた心地がしませんでしたよ?」


と文句を言う。


すると、オーリュウが顔を上げた。


「…いや、申し訳ありません。そうですよね…一度ドラゴンの姿に戻るとすぐにはこの姿にはなれなくて…」


と再度、オーリュウが私に謝った。


すると、私は突然その場に座り込んだ。


それと同時にロザリオたちが一つに重なり、元の小さなロザリオに戻って、私の左手に収まる。


「どうしました?大丈夫ですか?」


オーリュウが心配そうに私を見下ろす。


「…ホッとしたら一気に気が抜けて、もう立てません。ほんとドラゴン姿のオーリュウ様が現れた時はもう終わったと思ったんですからっ」


と素直に気持ちを曝け出した。

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