私たちの意思です
「さあ、こちらです」
ラストアに案内されてた部屋へと入る。
私が先に部屋に入ってから、ラストアが後から入った。
そんなに広くないこの屋敷にしては珍しく普通の部屋の大きさだ。
この部屋で私に話でもあるのだろうか…?
「いいですよリベアル」
ラストアが突然、そう言った。
リベアル…?
この部屋には誰もいないじゃないか…?
と思った矢先、部屋が一瞬にして景色を変えた。
辺り一面、真っ白い光景が広がっている。
そこには何もなく、白い風景と同化している白い床だけが存在していた。
…亜空間か?
ようやく状況が読めてきた…なるほどね。
この亜空間には私とラストア…そして、いつのまにかリベアルとズズバの姿があった。
そして、部屋の扉も消されている。
「…随分と手荒いもてなしをするんですね?これはオーリュウ様の命令ですか?」
おそらく違うとは思うが、一応確認をしておく。
「…違います。ここにあなたを誘き寄せたのは、私たちの意思です。オーリュウ様は関係ありません」
と無表情でラストアが答えた。
「…そう、なら良かった。ちなみに理由を聞かせてくれたりします?」
冷静にラストアたちに訊いた。
その際、首から下げているロザリオのチェーンを解く。
「…あなたはオーリュウ様の大事な客人です。こんな無礼な愚行をオーリュウ様に知られてしまえば、私たちの首は一瞬で飛ぶことでしょう。ですが、あの魔界七魔衆をいとも容易く倒したあなたはいずれオーリュウ様の障害になりかねない…魔王の座にオーリュウ様がつく日を私たちは今か今かと待ち続けていた。魔王の事情はあってないようなもの…なら、あの方が魔王になるべきだと思うのです。だから、調律者であるあなたを今排除しなければ、きっと近い未来であなたの存在が邪魔になる」
ラストアが長々と私をここに誘き寄せた理由を語る。
「今のあなたは魔界七魔衆との戦いで、魔力をかなり消費している。なら、あなたを倒せるのは今しかない…」
ラストアたちが私に殺気を向けてくる。
「…オーリュウ様は魔王になんてならないと思うけど?バランスの取れた今の体制が魔界には一番良いと考えているお方で、そこに野心なんてないでしょ?もし、オーリュウ様に野心があったなら、世の均衡なんて気にせずにとっくに魔王になっている筈よ?」
と無駄だと思うが彼女たちを諭す。
「…だとしてもです。私たちは常にオーリュウ様のことを考えて行動しています。たとえ、オーリュウ様がそれを望まなくとも、私たちは命を捧げてあの方の脅威を少しでも取り除かなければなりません。あなたがいずれオーリュウ様の敵にならない保証はないですよね?」
ラストアが私に訊いた。
素晴らしいオーリュウ愛だこと…これは何を言っても無理だわな。
「まあ、たしかにね。私は調律者。必要とあらば例え相手が魔王幹部だろうが、容赦なく排除する。それが私たちセブンシスターズの役目だから」
私の返答かにメイドたちが攻撃態勢に入る。
…にしても、七魔衆との戦闘のあとを狙ってくるなんてえらく卑怯なやり方だな。
まあ、アンネを人質に取らなかっただけ褒めてやるか…
「大いなる神よ、我に力を与えたまえ…」
と右手に持っていた小さなロザリオをデカくした。
そして、ロザリオを両手で構える。
その瞬間、メイドたちが私を囲むように分散した。
正面にラストア。
右にリベアル
左にズズバだ。
…魔力が残ってない訳ではないが、あまり魔法は使用したくない。
仕方ない…物理攻撃でいきますか。
と動こうとした矢先、何かが私の動きを押さえつけた。
すると、ズズバが何かを唱えていたのだ。
そして、身動きが取れない理由が修道服だと分かる。
「…なるほど。やけに着心地が良いと思ったら、ちゃんと裏があったって訳ね?とんだおもてなしだわ…」
どうやら、ズズバの魔法がこの修道服にかけられていたようだ。
…いや、魔法なら流石に私なら気づく。
さては呪いか?
「…卑怯だと思ういます。ですが、我々はオーリュウ様のためなら手段を選びません。申し訳ありませんが、ここで死んでください」
とラストアの手には突如、大きな棍棒が出現した。
右のリベアルは大きな鎌。
左のズズバは私に両手を翳している。
どうやらズズバのこの呪いは常にかけていないと効果がないらしい。
なら、実質は一対二か…
と思考を巡らせていると、ラストアが凄い速さで私にどデカい棍棒を振り下ろした。
それを瞬時にロザリオで受け止める。
がその隙にリベアルが距離を詰めていた。
真横にリベアルの鎌が私を一閃する。




