やっぱり死んでくれる?
いつも「教会のシスターですが何か?」を読んで下さり、ありがとうございます。
明日、9月11日の投稿は休載します。
すみません。
「…オーリュウの屋敷でわざとかは知らないけれど、ファーシルは七魔衆の仲間のことをペラペラと喋っていたよね?その時のファーシルがなんだか私には楽しげに思えたんだよね…なんというかとても大切な仲間のことを語るように私には映った」
と今のファーシルに必要な言葉かは分からないが、思ったことを正直に口にする。
「…分からない。私はもうどうしたらいいか分からないんです。今の今まで復讐のために生きてきた筈なのに…ずっと仲間の演技をし続けていた筈なのに…どうしてこんなにも辛いの…?」
ファーシルの眼から涙が溢れ出す。
…仕方ない最後の仕上げといくか。
とゆっくりとファーシルの元へと歩いて行く。
そして、瓦礫に座っているファーシルを見下ろす。
「…悪いけど、やっぱり死んでくれる?ファーシルの遺体がないと、オーリュウは納得しない可能性があるからさ。そうなれば、私が他のセブンシスターズに消され兼ねない…本当はこのまま見逃したかったんだけど、ごめんね」
とスッとファーシルの顔に右手を翳す。
もう、自分の目的を見失ったファーシルは抗う様子もなく、私の攻撃を受け入れている様子だ。
「じゃあね、バイバイ」
そう言って、右手を光らせる。
その瞬間、右手が黒い炎に包まれた。
咄嗟に右手を引っこ抜いて回避し、左手で黒い炎の主へとライトニングボールを放つ。
離れた位置にいた黒い炎の主、ベルバブゼがライトニングボールの直撃を受けて悲鳴を上げた。
次に何か気配を感じて、咄嗟に左へと身体を回転させる。
さっきまで、私が立っていた場所を黒い塊が飛んでいった。
タサンのなんとかショットだ。
「ち、ちくしょう…」
遠くでふらふらと宙に浮いていたタサンが悔しそうな表情を浮かべて、最後の悪あがきだったのか、スッと力が抜けて地面へと落ちていった。
「危ない危ない」
と言った矢先、背後にモデウスアスが立っていた。
モデウスアスが、私に向かって至近距離で炎を吐いた。
今回、炎を吐いたのは牛の頭だ。
あっ、どれでも吐けるのね…と感想を抱きながら、素早くブレス無効化の魔法を自分にかけて、その炎の中へと突っ込んでいく。
そして、少々抵抗があったが、牛の顔の口へと右手を突っ込んだ。
「ブリザード」
モデウスアスの口の中で吹雪の魔法を放った。
堪らず、モデウスアスが後方へと倒れる。
それと同時に黒い霧が私の身体を覆い始めた。
…がすぐに小さくなっていく。
マンモが私を攻撃しようとしたが、どうやら不発に終わったようだ。
すると、今度は脚に何か当たる感触がする。
足下に視線を落とすと、小さくなったルーゴフェルベが一生懸命に私をポカポカと殴っていたのだ。
「ええい、鬱陶しいわっ」
とルーゴフェルベを蹴り飛ばす。
ルーゴフェルベがファーシルの横へと転がっていく。
「先にそれから片付けようかな?」
と地面に転がるルーゴフェルベの方へと歩み寄る。
すると、その間に両手を広げたファーシルが立ちはだかった。
「…そいつはアンタを騙して、家族や村の者たちを根絶やしにするためにアンタを人質にしたゴーレムだぞ?」
冷ややかな眼をファーシルに向ける。
「…分かってます。でも…ルーゴフェルベはいつも私といてくれたんです。幼い時に修行が嫌でよく泣いていた時もずっと側で慰めてくれた…何を喋ってるかは分からないけれど、きっと慰めてくれていたんです」
ファーシルが涙しながら語った。
それでも、私は構わずに今度こそファーシルを仕留めようと、彼女の顔に右手を翳す。
ファーシルが覚悟を決めたのか、思いっきり目を瞑った。
「待ってください!」
後ろから声が聞こえる。
顔だけ振り返ると、そこには人型に戻ったヴィアレタンが立っていた。
「…私たちは殺してくれて構わない。どうせロクでもない集団です…ですから、その子だけは見逃してください…」
ヴィアレタンの懇願に首を傾げた。
「…何で?アンタたちはファーシルの力を利用するためにファーシルの生まれ育った村を滅ぼしたんだよね?なら、アンタたちが死んで、ファーシルだけを生かす理由なんてないじゃない?それにファーシルはアンタたちを欺いて復讐をしようとしていた。それでもファーシルの命を守りたいって言うの?」
と七魔衆全員に向かって問いかけた。
すると、倒れていたタサンやベルバブゼ、モデウスアスが必死になって立ち上がる。
あと、マンモの霧が少しだけ増えた気がした。
その瞬間、私は口角を上げて、ファーシルの顔へと翳していた右手を下げる。
「…どうやら情が芽生えたのはファーシルだけじゃなかったみたいね」
…ったく世話が焼ける連中だな。
と私は軽くため息を吐いた。




