魔界七魔衆
クナモテアのお祭りが終わるまでは仲良くして欲しいという魔界七魔衆のリーダーであるファーシルの頼みを聞いて、私とアンネはほぼ毎日のようにファーシルと行動を共にしていた。
約束した日から数えてもう七日が経過ので、いよいよ明日がお祭りだ。
オーリュウはファーシルのことについては私に任せると言っていた。
オーリュウ的にはそもそもファーシルを招き入れてしまった時点で失敗だったと責任を感じているようだ。
まあ、この先どうなるかなんて分からないが、仲良くなるにつれて少なくとも後味は悪くなるのは間違いない。
ただ、私が戦うことについては差し支えはないだろう。
レッドドラゴンや漆黒の魔女のように私の意思で戦う場合には私情を挟んでも一向に構やしない。
…でも、今回はセブンシスターズの私を知ってオーリュウが依頼してきた案件だ。
万が一、私がファーシルの討伐を躊躇えば、私は他のセブンシスターズによって処分されてしまうだろう。
まあ、そんなことは起こり得ないし、セブンシスターズの歴史の中でそうなったことは一度もない。
そもそも使命と責任を重んじれる者しかセブンシスターズにはなり得ないのだから当然といえば当然だ。
珍しく朝早く目覚めた私はベッドの上で仰向けになり、天蓋を見つめながら、物思いにふけていた。
アンネはまだ寝ている。
本当は屋上でも上がって朝日を見ながらと思ったが、例え部屋であってもアンネを一人にするわけにはいかない。
なので、こうしてアンネが目覚めるか、それともファーシルが迎えに来るまで一人で考え事をしていたのだ。
この七日間の間にファーシルの生い立ちを聞いた。
ファーシルは物心ついた時には七魔衆のメンバーと共に行動していたらしい。
なんでも、他の魔族によって滅ぼされた村にポツンと立っていたようだ。
そこを七魔衆のメンバーに引き取られ、育てられたと言っていた。
始めは力無き集団だった七魔衆は町や村、そこそこ地位の魔族を討伐してどんどん力をつけていったらしい。
見た目はエルフタイプのファーシルは魔力が豊富で、魔法と知能を屈して戦い、様々な活躍を見せていたため、いつしか七魔衆のリーダーになったとオーリュウが言っていた。
だが、本人いわく他にやる者がいなかったからとぼやいていたのを思い出す。
七魔衆の他のメンバーについてもファーシルはペラペラと喋っていた。
私は敵だぞ?と何度も心中でツッコむくらいに…
身体が岩でゴーレムのルーゴフェルベ。
基本無口で無感情だけど、無闇に相手を殺したりはしない。
よく、鳥や小動物がルーゴフェルベの身体に寄ってくるほど根は優しく、ファーシルも幼い頃はルーゴフェルベにくっついていたそうだ。
全身真っ黒の身体に羽を生やした悪魔タイプのタサン。
七魔衆の中で最も残虐な性格でしかも短気で頭が悪いし、口も臭い…とファーシルの口からは悪口ばかり出ていたっけ…
でも、仲間想いではあると、そこだけ唯一ファーシルが褒めていた。
続いて霧男のマンモ。
霧で身体を形成するエレメント系統の魔族らしい。
実体がないくせによく喋るとファーシルが嘆いていた。
話を聞く限り、コイツが一番厄介だなと思った。
その次に顔は蝿で身体は人型の蝿男のベルバブゼ。
…顔が蝿な時点で会いたくない。
七魔衆の中で一番冷静沈着な性格らしく、ファーシルが私じゃなくてベルバブゼをリーダーにした方がいいのにと文句を言っていたが、私が思うにやっぱりリーダーになれなかったのは顔だろうと思った。
そして、人と牛と羊の三つの頭を持ち、尾は蛇という情報量の多い悪魔タイプの魔族モデウスアス。
何でも炎を吐くらしい。
一体、どの顔から吐くのかめちゃくちゃ気になる。
まあ、人間の頭からは吐かんだろうと、ファーシルから話を聞きながらそう思っていた。
あと、モデウスアスについて色々と言っていたけれど、見た目の印象が強すぎて忘れてしまっている。
…てか、身体はなんだっけ?
最後に見た目は人型のヴィアレタン。
その正体は水竜らしい。
でも、人型の時はファーシルが言うにはイケメンらしく、それなら少し会ってみたいなって感想を抱く。
ファーシルは七魔衆全員から戦いを学んだが、一番教えてくれたのはヴィアレタンと言っていた。
今回、堂々とクナモテアに乗り込んで行けと指示したのも、ヴィアレタンらしい。
とこれらがファーシルが自らペラペラと喋っていたアンネも私と一緒に聞いていた魔界七魔衆の情報だ。
まあ、それが真実なのかは定かではないが、嘘をついているようには思えなかったし、ある程度は鵜呑みにしても構わないだろう。
そう思ったあとで深いため息を吐いた。
クナテモアのお祭りまであと一日…
その事実にため息をつかずにはいられなかったのだ。




