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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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距離感バグってね?

朝、目が覚めた。


いや、ベッドから窓を確認することが出来ないため、確実に朝かどうかは分からない。


ただ実際、私が寝た時間はほんの僅かだ。


なので、起きていた時間を考えればおそらく大体、朝になっているだろうなという見立てである。


…自分の寝相が悪いのを気にして全く寝れなかったわ。


とすぐ側にある寝顔に目を落とす。


すやすやと寝息をたてて、上品に眠るアンネの姿があった。


寝返り一つ打たず、実に大人しく寝ていたアンネに笑みを浮かべて賞賛する。


流石は私の推し…イメージを覆すことなく更に上を行く可愛さだった。


アンネがたまに「んっ…ん…」と寝言のような声出していたのだ。


その度に愛しさが溢れてしまい、ただでさえ寝相を気にしてこちらは寝れないのに、興奮してますます寝れなくなった…


正直言って、かなり寝不足である。


と大きな欠伸をしながら、左手で覆う。


…眠い。


とりあえず少し寝よう…寝相なんて気にしてる場合じゃないぞエメ…


とゆっくり目を瞑る。


その瞬間、部屋の扉からベルの音(ね)が鳴った。


どうやら、この広い部屋ではノックの音も聞こえないので、外側の扉にベルが設置されていたようだ。


朝食の用意が出来ましたとラストアが迎えに来たのだろうか?


もうそんな時間か…


…閉じたばかりの瞼を開けて、上体を起こす。


すると、アンネも目を覚ましたようで、目を擦りながら私に「おはようございます」とアンネスマイルを炸裂させた。


うぉぉー!!朝から眩しすぎるー!


と思わず目を逸らす。


あまりに純粋すぎる推しのその笑顔は少々薄汚れた心を持つ私にはあまりに眩し過ぎた…


「…おはようアンネ。ラストアさんかな?どうやら朝食の準備が整ったみたい。ちょっと出てくるね」


と逃げるようにベッドから出て、扉の方へ歩いていく。


すぐに辿り着かない距離にある扉を疎ましく思う。


寝衣のままだけど、まっいいかと扉のノブに手を掛けて扉を開ける。


すると、そこには思い描いていた者は違う者が立っていた。


「おはようございます」


と整った顔で挨拶をする七魔衆のリーダーであるファーシルがいたのだ。


相変わらずの美人だ。


…ラストアじゃないんだ?


えっ?…ていうかどうゆーこと?


「…お、おはようございます。どうかなされました?」


こちらとは寝衣姿で寝起き顔を引っ提げているというのに、堂々と敵さんのとこに来るなんてどういう神経してんだこの魔族は?


という顔をしてみせる。


「朝日があまりに素敵なので、一緒にどうかと。ここの屋上から見るとまさに絶景ですよ」


ファーシルの言葉に思わず怪訝な表情を浮かべた。


「朝日…?えっ…朝食じゃなくて?」


私の質問にファーシルが笑顔でこくりと頷く。


「はい、まだ朝食の時間には少々早いと思います。ですから、それまで朝日を見に行こうと誘いに来ました」


にこやかな表情でファーシルがそんなことを言う。


「おはようございますファーシルさん」


数秒ファーシルの誘いを断るか悩んだ時、後ろからいつの間にか修道服に着替えているアンネが顔を出す。


「おはようございますアンネさん。あらっ?私の名前を覚えてて下さったんですね?嬉しいです」


とファーシルが喜んだ。


…そりゃそうだ。


アンネのいるところで堂々とオーリュウとファーシルの名前を出して話していたのだから…


「エメさんにここの屋上に行って朝日を一緒に見ませんか?とお誘いしていたんです。アンネさんもご一緒に如何です?」


とファーシルが部屋の中に顔を入れてアンネも誘う。


えっ…私たち敵だよね?


…距離感バグってね?


ファーシルは私の素性を知っている。


なら、オーリュウがセブンシスターズの私に自分たちの討伐を依頼したことは分かっている筈だ。


なのに、なんで近づいてくんの…?


隙を見て攻撃してくる気か…?


とあらためてファーシルの首筋を見る。


昨日と同様にしっかりと魔力を抑制する刻印があった。


「…どうしますエメさん?」


アンネが私に伺う。


アンネはずっと隣で私とオーリュウの話を聞いていた。


だから、どうしたらいいかを私に聞くのは当たり前だろう。


「…支度するから少し待っててください」


とファーシルに答えて、一旦扉を閉めた。


そして、修道服が置いてある自分のベッドへと向かった。


すぐ後をついて歩くアンネが心配そうに私に近づく。


「…大丈夫なんですか?」


アンネの質問に私はきっとなんとも言えない表情を浮かべていたに違いない。

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