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教会のシスターですが何か?  作者: おきゆむ
第五章 推しのためならたとえ火の中水の中精神のシスターですが何か?
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以後、お見知りおきを

「エメさんの知り合いですか…?」


隣で私同様に温泉に浸かる魔族の女性へと視線を向けていたアンネが私に訊いた。


それに首を横に振る。


「いや、知らないよ…でも、向こうは私たちのことを知っているみたいだね」


と冷静に答える。


あの魔族の女性が私たちのことを認識していることはなんとなく想像がつくからだ。


「綺麗な方…魔族の方でもあれほど美しい方もいるんですね?」


「そりゃ、そうでしょ?魔族に美人がいないなんてそれこそ偏見だよアンネ」


とクスッと笑う。


「…すみません」


アンネがしゅんとして謝る。


「ごめんごめん…責めてるわけじゃないんだよ?まあ、どうせしばらくは魔界にいると思うし、その間に少しは魔界に対してのイメージも変わるでしょ。さあさあ私たちも早く湯の中に入ろう」


と何一つ身に纏っていないアンネの肩に優しく触れた。


アンネはこくりと頷き、私と一緒に湯に浸かる。


足から上半身へと一気に熱さが伝わっていく。


一瞬、熱いと感じるも、やがてそれが快感へと変化した。


…ああ、いい湯だな。


ほんと、生き返るわ…温泉サイコー!


と一人で幸せを感じていると、隣でアンネが歓喜の声を上げた。


その声にアンネの方を見ると、アンネが遠くを指差して私に何かを訴えている。


何…?


とアンネの指差す方を見上げた。


すると、湯煙の奥に素晴らしい絶景が広がっていたのだ。


まるで、標高が高い山頂から見下ろす景色がそこには広がっていた。


思わず驚きの声を上げてしまう。


「…どうゆうこと?この屋敷ってそんな高い場所にあったっけ?」


と首を傾げた。


すると、近くからクスクスという笑い声が聞こえてくる。


あの、綺麗な魔族の女性だ。


「魔法ですよ」


その容姿にピッタリなくらい綺麗な声が耳に届く。


「へぇ…魔法なんだ。とてもリアルに思える…流石は魔王幹部様のお屋敷だわ」


二度頷いて感心する。


「こんな魔法もあるんですね…」


アンネが驚きの表情で魔法で作られた絶景を眺めていた。


「オーリュウ様の城でしたら、もっと素晴らしい魔法が拝めますよ」


と先客の魔族の美人女性がにこやかに言う。


さっきまでは湯煙で気づかなかったが、彼女の首筋には小さな刻印があった。


あれは魔力を抑える刻印だ。


なるほど…そうやってオーリュウに自分は敵意がありませんと意思表示をしているのだろう。


…となれば、この女性は一体何者なんだ?


少なくとも刻印で抑えるほどの力を持っているのは確かだ。


「気になりますか?」


まるで私の心の声を読んだように魔族の女性が私に訊いた。


「…そうですね。あなたはどうやら私たちのことは知っているみたいなんで…」


と少し核心に切り込んでみる。


すると彼女がクスッと笑った。


「まあ、オーリュウ様がわざわざ自ら人間界に足を運んで連れてこられた方々に興味が湧かない訳がありませんわ」


その言葉にそりゃそうだわなと納得する。


いくら隠密でオーリュウが人間界に行っても、オーリュウほどの者が人間を連れて歩いていたら、バレるに決まっているか…


オーリュウもそれはどこかで分かっていた筈だ。


だから、私たちを隠したり、変装させたりはしなかった。


「…あなたも私たちのことが気になりますか?」


さらに核心に迫る。


「ええ、とても。でも、気になるというよりは興味があります」


とにこやかに笑う。


…それにしても美人だ。


しかも、身体も素晴らしいものを持っていらっしゃる…


ちょっと羨ましい…


私と魔族の女性の会話に隣のアンネが少々戸惑いを見せていた。


「大丈夫だよアンネ」


とアンネを安心させた。


「そうですよアンネさん。私はオーリュウ様が連れてこられたあなた方に少し興味があるだけですのでご安心ください」


魔族の女性が私の言葉に付け加えるように言った。


その言葉にアンネが安堵の表情を浮かべる。


…本当に安心出来るのかよ?


と内心疑いながらも、顔は笑顔を作る。


「それに今の私には何も出来ないことは、そちらの金(・)色(・)の(・)髪(・)のシスターの方がよくご存知の筈です。そうですよね?」


魔族の女性が更に笑顔を見せた。


…なるほど、私の素性はなんとなくお見通しというわけね。


「…まあ、魔族の刻印にはある程度知識がありますので」


魔族はよく自身の溢れる魔力を抑えるために刻印を入れる。


刻印にも色々とあるが、あれは自分で付けたものではなく、おそらく誰かが解除しないと消えない刻印だ。


「さて、挨拶も出来ましたので、私はこの辺でそろそろ失礼致します。とても良い湯なのでゆっくりと浸かっていってくださいね」


と言ったあとで、彼女は立ち上がった。


彼女の身体が完全に顕になる。


そして、私たちの横を通り過ぎて脱衣所へと向かって歩き出した。


やっぱりいいカラダしてやがる…


その背後に視線を向けた時、彼女の尻ら辺にあるものが見えた。


アレは…?


と思った時、彼女が湯から上がったタイミングでこちらを振り返った。


「私は七(・)魔(・)衆(・)のリーダーをしているファーシルです。以後お見知りおきを」


と言い残して、彼女は脱衣所へと姿を消した。


「……は?」

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