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Witch Squadron  作者: Se-34gu-0
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FILE 013

FILE 013「五つの星が繋がる夜」



「――各員、全速上昇! 旋回半径をあと3ミリ絞りなさい!」夜明けの澄んだ上空に、セレーネ隊長の凛とした鋭い声が響き渡る。


新装備の飛行ユニットを纏った5人は、息を呑むようなハイスピードで雲海を切り裂いていた。


ルナの『ナイチンゲール』から送られてくる精密な立体座標データが、5人の視界へリアルタイムに同期される。


目視に頼らないその圧倒的な『索敵』の恩恵を受け、ミナの『ランサー型』ユニットが蒼い軌跡を描いて鋭く加速した。


新しい装備を纏ったバレリアが『格闘型』の装甲を輝かせながら笑い、空中を縦横無尽に跳ね回る。


「バレリアさん、少し左の気流が乱れてます! 私が魔力流を固定します!」イズモが瞬時に『解析・支援』の力を回し、ヴァレリアの急旋回を完璧にバックアップした。


「そこまで。全機、ブレイク(散開)して帰還モードへ。――合格だ、素晴らしい動きだったぞ」遥か上空から、特大の魔力狙撃ライフルを背負ったセレーネが満足そうに告げる。


新装備の力を全身で確かめた5人は、朝日に照らされた長い飛行機雲を引きながら、基地へと滑り降りていった。


「あー! 死ぬほどお腹空いた! やっぱり新型の燃費は激しいわね!」任務直後の食堂。


バレリアが山盛りの肉込みスープと焼きたてのパンをトレーに載せ、豪快に笑いながら窓際の席へ向かう。


その後ろを、ミナ、イズモ、そしてルナとセレーネが並んで歩いていた。かつては夕方の端の席で、一人で息を潜めていたミナ。


けれど今、一番朝日のあたる窓際の特等席に、5人が綺麗に並んで席を囲んでいる。


「みんな、今日の訓練は本当によくやった」セレーネがスープを上品に口に運びながら、ふっと表情を緩めた。


「セレーネもスープのおかわり、多めに貰ってきたから食べて」


「……バレリア、私はセレーネ『隊長』だ。それと、私の皿に勝手に肉を盛るな」


「いいじゃん、減るもんじゃないし」二人の遠慮のないやり取りに、いつもは淡々としているルナもパンを齧りながら小さく口元を緩める。


ミナは、スープの温もりを胸の奥で噛み締めながら、隣で嬉しそうに微笑むイズモと目を合わせた。


一人から三人、そして、五人へ。繋がっていく温かさが、スープの味をどこまでも優しくしてくれた。



そして、その日の消灯後――。




――コン、コン。


ミナの部屋のドアが、昨夜よりも少しだけ大きな音でノックされた。


鍵を開けると、滑り込んできたのは三人、ではなく、四人の人影だった。


「よっ、また来ちゃった。今回はメンバー増員ね!」バレリアが大きなクッションを小脇に抱えて先頭で入ってくる。


その後ろからネグリジェ姿のイズモ、そして――。


「ミナ先輩、お邪魔します……。ルナがどうしても、お菓子を食べたいってきかなくて」そう言って少し照れくさそうに、けれど私服のパジャマ姿で立っていたのは、セレーネ隊長だった。


「……セレーネだって、限定の焼き菓子持ってたくせに」ルナが特大のパジャマの袖から、こっそり持ち寄ったお菓子の包みを覗かせてぼそりと呟く。


「セ、セレーネ隊長まで……!?」ミナが驚いてパチパチと瞬きをする。


規則に人一倍厳しかったはずの隊長が、まさか消灯後のマイルームに、しかも可愛いパジャマ姿で現れるなんて夢にも思わなかった。


「お堅いこと言わないの、ミナ。ここでは『隊長』はナシ。ただのパジャマパーティーなんだからさ!」バレリアが手際よくミナのベッドの上に大きな毛布を広げ、みんなで座れるスペースを作る。


狭い部屋の中に、女の子が5人。


ベッドの上に車座になり、お菓子の包みを開けると、魔導灯の淡い光の下で秘密の時間が始まった。


「ねえ、ルナはミナ先輩のこと最初どう思ってたわけ?」


「……ただの、お人形。でも、ゴーグルを着けた時の魔力の収束が綺麗すぎて、ずっと私のセンサーでハッキングして、ログを眺めてた」


「ぶっ、ルナ、それただのストーカーじゃない!」


「……ストーカーじゃない。純粋な、データ観測」ルナの淡々とした、けれど少し照れたような白状に、部屋の中が小さな笑い声で満たされる。


セレーネもまた、焼き菓子を齧りながら、「私は最初から、ミナが最高のランサーになると信じていたぞ」と、少し顔を赤くしながら優しく微笑んだ。


窓の外では、まだ見ぬ敵の気配を孕んだ夜風が冷たく吹いている。


けれど、この狭い部屋の中だけは、5人の体温と笑顔で、どこまでも温かい。


頭の上のゴーグルをそっと撫でながら、ミナは心の底から思った。


この4人と一緒なら、どんな暗い空の向こうへだって、私は飛んでいける。月明かりの下、5人の特別な夜は、いつまでも賑やかに続いていくのだった。

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