戦いの後
前世の小学1年生、桐斗に出会った。
第一印象は、デカッ!?と思った。
6歳で14歳くらいの身長で見るからに強そうで怖かった。
俺はその時、内気な少年、要は陰キャだった。おかげさまでいじめられていたっけ。
だけど、桐斗は優しく接してくれた。強面だったけど、優しかった。その優しさに甘えて―――
「あいつらを懲らしめてよ」
って言ったら。
「するかボケッ!」
って言われたっけ。
その時は子供なりになんてやつだって思ったけど、あいつはそういうことを言おうとしたわけではなく、強くなれって、立ち向かってほしかったんだと思う。それに気付いたとき嬉しかったっていうかなんかむずがゆかった。
まぁ、要は超いい奴ってことだ。そんな無二の親友はこの世界でもお世話になった。生まれたときに、混乱している俺達を落ち着かせてくれたのは君だった。
⋯⋯色々な思い出をしまうように手を合わせる。ゴルト・ザ・ロウトと彫られた石にむかって手を合わせる。みんなが生き返ってもしかしたらと思ったけれど、やはりゴルトは生き返っていなかった。塵は残っていた。
【ミコト】というものは、魂と呼ばれるものを消費し肉体以上の限界を引き出すスキルらしい。使えば最後、塵となり骨も残らない。火葬する前に塵とは、どんなジョークだよ。
⋯⋯笑えないな。
「お前、ここ好きだったよな」
俺達が、この世界で初めて会った場所。
どんなときでも、俺達はここにいた。
「絶対、忘れない」
じゃあな、桐斗。
その酒は俺の奢りだぜ。
どっかで、返してくれよ?
「みんな、ありがとう。おかげで、魔王を倒せた。1人⋯欠けてしまったが、少ない方だったと思う。できれば、みんなで祝いたかったけど、しょうがない。ゴルトの犠牲に、乾杯」
「「「乾杯」」」
夜はゴルトと魔王の話で溢れた。
思い出話は必然に、桐斗の愚痴に変わって、笑い話になって、泣いて、また思い出を話して。尽きることのない話が繰り返された。
「でも、ギイナは本当に何だったんだろうな?」
「ギイナ?」
俺の独り言に応えたのは悔菜だ。
そうだった。悔菜は最初に殺されてたからギイナを知らないのか。
「魔王のことだよ」
「げっ。私あいつ嫌い。顔も知らないけど」
「まあ」
「でもさぁ、可怪しくない?私を殺した後にご飯に誘ってきたんでしょ?」
「そうだな。断ったらそのまま戦闘になっちゃったからなにがしたかったのか聞けなかったし」
「え?あ、そうか。シュウサは気絶してたから聞いてなかったのか」
「何の話?ユーサ」
「いや、お前が気絶してたときにゴルトが魔王から話聞いて、それを聞いた感じ魔王は誰も腹が空かない世界を目指していたらしい。真意は知らないけどな」
「そう考えると、食事に誘ってきたのもそういうことだったのかもしれませんね。悔菜ちゃんを殺して私達だけ誘ってきたのは謎ですけど」
そういえば、ギイナは悔菜のことをこの世界にいちゃいけないと言っていた。どういうことだろうか?
悔菜は、そういうのわかるのかな?
そこのところ聞いてみた。
「知らないよ。私の種族だって鑑定すれば”ヒト”って出るし」
そうか。
まあ俺の種族も”人間”だし、まあいっか。
あれ、新しいスキルがある。【業羅鎧】?
内容は⋯ふむふむ。これ、すごいな!
説明には、魔王からの贈り物と書かれている。贈り物というのに違和感を覚えるが、効果は凄まじい。スキル使用時、勇者のスキルの威力が大幅に増加するだって?普通にありがたいね。
にしても、贈り物か。
〝「魔王討伐おめでとう。少しでもハッピーにするために、最後の餞だ」〟
これがその餞、なのかな?
まあ、受け取っておこう。
「使ってくれるとええな。久しぶりの外。どないなことになってんねやろ」




