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ただ咳をする  作者: haremame
廻編 第二章 月下日昇 災禍は来たる
36/50

昔は違ったその人

「お前ら!何の話してんだよ!」



「おっと。忘れてた」



ぼろ切れを着てる男の子たち。



「君たちの話をしてるのさ。(めぐる)くん、来人(らいと)くん」



「っ!?」



オールバックのお兄ちゃん、廻くん。マッシュの弟くん、来人くん。まだちっちゃいねえ、その金髪は地毛かい?地毛なんだろうなぁ。



「んで名前知ってんだよ⋯⋯!!」



「なんでって言われてもなぁ⋯⋯。まあ、そんなことは置いといて」



「置いとくんじゃねえ!」



おお、ツッコミの才能ありだな。廻くん。芸人やらない?コンビで。



「子供だからってナメてると痛い目見るぞ⋯⋯!」



スチャッと廻くんが取り出したのはよくあるハンドガン⋯⋯⋯えっ銃!?あれここ日本だよねぇ!?お巡りさんこのコ銃刀法違反です!



「モデルガンはしまいなさい」



そう。ここは取り敢えず落ち着いたふりで優しく諭すんだ。私は大人だからね、子供の冗談は笑って受け流すんだ。



「偽物じゃないぞ⋯⋯。あのクソジジイから奪ってきたんだ」



クソジジイ?⋯⋯⋯あーお父さんのことか。



「撃てねえと思ったら大間違いだ⋯⋯」



「兄さん駄目だ!あの人達こっちと争う気はないよ!」



お、弟くんナイス!流石に子供が撃つと反動とかすごいだろうしお兄さんのためにも止めてくれ!



「だったらなおさらだ!母ちゃんも死んじまった、金がねえんだよクソジジイのせいで!」



「でもだからって!」



「うるせぇ!」



廻くんの拳が、来人くんの鳩尾を的確にぶち抜く。子供とは思えない、人の殴り方。⋯⋯⋯こりゃ止めなくちゃ。



「廻くん」



「っ!?動くな!う、撃つぞ!」



威圧を出しておこう、大丈夫さ。殺気は出さない。大きい熊に出会ったみたいな感じだよ。歩くだけ、ゆっくりと。そう、ゆっくりと歩くだけさ。



「く、来るな!」



「しっかり頭に照準を合わせて」



「は?」



どうしたんだいそんな顔して。君が言ったんじゃないか、撃つぞって。



「何を躊躇うんだい?しっかり狙いな。撃ち方はわかるかな?」



そうだよ。引き金にしっかり指をかけて、まっすぐ腕を伸ばして。



「撃て」



人は緊張していたり何をしていいか分からなかったり焦っていると意識外からの”第三者”の声に敏感になることがある。


ナイス、ギイナ。


廻くんはすでに撃つまでの工程を終えている、そして引き金に指をかけていて少し力めば銃弾は飛ぶ。その力みをギイナは与えてくれた。


ドンッと大きな銃声が、洞窟内に鳴り響く。銃口からは硝煙が、私の額からは鮮血が噴き出す。いい狙いじゃないか。


さぁ〜て、見せてあげようか。




こっちの世界を。

















< ー廻目線ー >


撃っちまった。銃を撃って、人を殺した。その事実を俺は血が滴り落ちる音と倒れ込む音を聞いて初めて理解した。



「う、おえっ!?」



喉に感じる違和感に耐えきれず、ゲロを地面に吐き出す。


人を、撃って、殺した。

撃った。

殺した。

クソジジイと一緒。

撃った。

殺した。

撃った。

撃った。

殺した。


ジンジン痛い。手が、痛い。


殺した。


殺しちゃった⋯⋯⋯。



「⋯⋯あ゙ー。思ったよりも痛いなぁ」



「え?」



嘘だ。俺は撃ったんだ。死んでる、絶対。




「ばぁっ!!」




さっきまで2mは離れていた女の死体が視界から消える。それを理解した時。目を見開いた満面の笑みの女の顔が視界全体に叩きつけられる。


驚きたかった。というか驚いた。どれくらいかっていうと意識が崩れ落ちるほど。だけどその間際に、俺の心を支配したのは安心感だった。








< ークイナ目線ー >


⋯⋯⋯気絶しちゃった。



「やりすぎだボケ」



「イテッ!」



ギイナよ、たしかに私もやりすぎたとは思う。

だが殴るためだけに◯ルヴァリンみたいな爪を生やす必要はないと思うんだ。お陰様で流血がひどいんだけど。まぁいっか。



「来人くん」



「はっ、はい!」



「お兄ちゃん運ぶからついてきて」



「わ、わかりました」



うーんすっごい怖がられてる。

何故だ?



「血が出すぎてんだよ」



「あ〜そういうことか」



確かに、子供って血を嫌うよね。治しとこ。来人くんは何だかオドオドしてるな。



「よいしょっと」



廻くんを所謂お姫様抱っこ。



「来人くんどうしたの?なんか聞きたいことある?」



「あっ⋯⋯いや、逆に聞きたいことが多すぎて戸惑ってるんです」



「ありゃ。なんかごめんね、聞きたいことあったら聞いてね。なんでも答えるから」



「ありがとうございます」



そして訪れる無言の時間。


私の歩行は殆ど音がしないし、日ノ出ちゃんはギイナに託しているからもうそろそろ家についているだろうし。結果、洞窟内には水滴が滴り落ちる音と来人くんの足音のみが響き渡るわけ。


う〜ん気まずい!



「⋯⋯死なないんですか?」



そんな空気を切り裂いたのは来人くん。悪口に聞こえるけど、それは間違い。⋯⋯⋯⋯だよね?



「そうだね。⋯⋯ほぼほぼ不死身、かな?」



「ってことは、死んじゃうこともあるんですね」



「うん。まあでも拳銃ごときじゃ死なないよ」



「そう⋯⋯ですか」



そして訪れる無言の時間Part2!気まずいったらありゃしないよ。やはり陰の者は静かにしておくべきなのかも。



「ありがとうございました」



「どういうこと?」



「いや、えっと⋯⋯その⋯⋯。兄さんに、人を殺させないでくれて」



「あー⋯⋯そういうことね」



そっかぁ。日常だから忘れてたけど、死って普通怖いしあってはならないものなのかぁ。学びですねぇ〜。なんかこう悲しい気分。



「あ、扉だ」



現世と試作を繋ぐ世界の扉。簡単に言っちゃえば別世界に行けるど◯でもドアです!(私が作りました)多分この扉は試作の家に通じてるだろうし、さっさと入っちゃおう。



「ただい―――」



さあ〜てみんなに問題を出しま〜す。扉の先にあったのはもちろん私の家。ですがそこにいたのは誰でしょ〜うか!


正解はぁ〜!!



「ん?」



「お?」


                                   

私の作った林檎料理一式を食い散らかして酔っ払ってるバラン(馬鹿1号)イティサ(馬鹿2号)でした〜。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。



「おどりゃぶち殺すぞぉ!!!」



「やっべ!逃げろ!」



「今日は帰ってこないっちゅう話やったろ!?なんで帰ってきてんねん!?」



その言い草的にギイナ(馬鹿3号)も関与してるっぽいなぁ⋯⋯?全員うちの林檎の肥料にしようそうしよう。


そしてそんな光景をみて来人くん一言どうぞ。



「⋯⋯なにこれ」



なにこれいただきましたよいしょぉ!!





テンションが高いって?これが彼らの日常です!

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