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ただ咳をする  作者: haremame
廻編 第一章 星に願いを 月に幸せを
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不死身な私の殺し方 Ⅳ

助けたい理由?

特にないけど⋯⋯強いて言うなら⋯。





「⋯⋯やっぱりすごいなぁ悔菜は、思いついても普通やらないよ相手の武器を魔力に変換するなんて」



なんか、雰囲気が変わったな。



「そりゃどうも。いつでも頭がお花畑だから奇想天外なこともやっちゃうんだよね」



「なるほど。つまり私はそのお花畑に出し抜かれたってわけね」



「⋯⋯⋯⋯⋯⋯あのー有菜さんや」



「なんだい?」



「怒ってます?」



今の有菜は魔力をほぼほぼ持っていないはずだ。だから本人のプレッシャーしか私は感じないはずなんだけど⋯⋯⋯なんだかすごく足が震えるんだけどぉ、なんでかしらぁ⋯⋯?



「怒ってないよ」



「⋯⋯⋯⋯さいですか」



ほぼノータイムでの返答。これってつまり。


ガチギレ(ブチ殺す)”ってことですか?


そんな馬鹿なことを考えてたらよくわからん速度で首が飛んだ。



「はえ?」



なんで首が飛んでんだろ。


よく見たら私の首切ったの〘シュヴェルト・ワルツ〙じゃん、私が消したのに。っていうか私の体が〘シュヴェルト・ワルツ〙を持ってない。盗られたの?あの一瞬で?


まずい。このままじゃ再生するまで飛ぶ一瞬の意識のうちにまた刻まれる。なんとか再生を助けるための何かを⋯⋯⋯。


血ハ黒ク(ツミ)】?それとも【業羅鎧】?肉体の再生に使えるもの⋯⋯血は何とかなるとしても大部分の骨が⋯いや、あるじゃん!



「【オッソ】!」



イメージを構築しろ!どんなものを望む!この能力に何を求める!



Heeeeelp(ヘェェェェェルプ)!」



意識したことがなかった。自分の骨がどんな構造で、どんな順番で、どうやって繋がっているのか。



「できたじゃん」



「できたね」



「じゃあ、もう遠慮はいらないね」



さあ、こっからは全力じゃ足りない。

本気でいて当たり前。


持ってくれよぉ、私!







「無理だぁーーーー!!これ無理だぁーーーー!!」



なんだあのクソエネミー!


完全に攻撃を赫喰に一任して安全圏から永遠に【コーチェス】やら【セクション】、【悪は正義の名のもとに】で四肢のどれかを捥がれる!!


それに加えて赫喰の飽和攻撃も厄介だ。今私は武器が持てない。なんでかって?全部有菜に奪われるか分解されるからだよ!何回も武器を作ったって全部持ってかれるか有菜の魔力に変換される!


だから何とか【オッソ】で食いつなぐしかないんだけど、まだ不慣れのこの能力じゃできることは限られてる。



「骸骨!」



【オッソ】で生成した骨を起点に巨大な骸骨を生み出す。


一番最初のあれは、私の本体の骨をパンプアップさせたから何ていうか破裂したみたいな感じになったし再生しちゃった。


でも、私が起点じゃなければ!


虚空から突然巨大な骸骨が出現する。

その目に意思の光どころか目そのものも無くした眼窩が地にいる赫喰を睥睨する。


振り上げられた骨のみで構成された腕は、這いつくばる敵を薙ぎ払う。


あれぇ【オッソ】使えるぅ⋯⋯⋯⋯。自動で攻撃してくれてるぅ。しかも創られた骸骨は生物じゃないからか赫喰に噛まれたり触れても麻痺したり毒に侵されることもない!


あれ?コイツ超優秀じゃね?


そうと決まれば!



「獣骨!」



赫喰は〘嬉鬼血華〙が使えないから発生させられない。というか別のことに使ってるから使えない、蒼喰も同様だ。


だからといってそういうオプションパーツが無いわけじゃないことはさっきの骸骨でわかった。


これもイメージだ、想像しろ。群れで相手を喰らい尽くす獣の姿を。鋭い牙と爪、俊敏な動きをするために最適解の姿を!地上最速の獣、その名前は!



猟豹(チーター)



有菜、お前が赤い犬のバケモノを操るなら私は白い猫のバケモノを操ろう。



「GO」



私の号令と同時に骨のみで構成された大猫が赤い獣に襲いかかる。そして、そのまま砕け散る。


⋯⋯あれぇ?



「なにがしたかったの?」



「いやね。実験さ」



別に砕けないと思っていたわけじゃない、逆に砕けるように作ったもの。でも砕け方が想像と違ったのだ。もっとこう、氷を地面に叩きつけたみたいな感じで割れると思ってたのに砂みたいな感じで本当に灰のように風に流れていってしまった。


でもまあ、こっちの方が良かったからいいや。っていうか流石にこれは無理だろって思ってたんだけどできちゃった。



「赫喰は主成分は私の血液と一緒。私の血液って実はとんでもない酸性なんだよね」



ギイナと戦ってたときに知ったんだけど、鋼鉄の甲殻を持つアイアンビートルを溶かしたんだよねぇ。初めて見たときにびっくりしたよ。ギイナに待ってもらったもん。


まあ、何が言いたいかっていうと⋯⋯。



「拡大」



骨を溶かし、その身に取り込んだ赫喰がビクンと体を大きく跳ねさせる。泡立つように膨らみ、空気を入れすぎた風船のように、その身を敢え無く破裂させていく。



「原理は一緒さ。一番最初、私がやったのと一緒。内側から破裂させるんだ」



「できると思ったなら何でもやれる。これがギフトのいいところだけど⋯⋯」



さぁ〜て有菜、君は残り何体の赫喰を出せるんだい?どんどんいこうか。



「自由な人が持つとえげつないね」



全部破裂させてあげるよ。



「しょうがない、【蒼イ者ヘト】!」



有菜が自ら刃を己に突き立てる。〘嬉鬼血華〙の赤い刀身は、血を啜ることにより蒼く染まっていく。


海を彷彿とさせる深い蒼へと刃が染まりきるのとほぼ同時のタイミングで、赫喰も蒼に染まり、”蒼喰(ブルゥディ)”へと変わっていく。


赫喰と蒼喰の見た目における違いは色だけだ。ただ中身が違う。


赫喰が知性なき獣だとするならば、蒼喰は狩りをするためだけに生まれた生物だ。



蒼喰の数は合計で5体。対して、こちらの猟豹は10体だ。数の利はある、攻めさせるべきか?蒼喰の身体能力は赫喰を大きく上回る、約二倍の差があると言っていい。


だが、チーターの突進は躱せない。


蒼喰共はこちらを見定めるようにゆらゆらと彷徨いながら、されど武器たる口をこちらに向けている。


赫喰、蒼喰はどちらも目も耳も鼻もない。だから外敵を察知するための手段は振動のみになる。赫喰と相対したときに最も効果的な手段は他の場所に物を投げることだ。


それであいつらはこちらから注意を外す。


だけどこの蒼喰からは、”見られてないのに視線を感じる”。


蒼喰の1体が吠えるような動作をする。喉がないんだ、声を出そうと思ってもブクブクとしか鳴らないだろうよ。


でも、その動作のお陰で意識を再度研ぎ澄ませることができた。改めて敵を見るんだ。目の前にいるこの4体を⋯⋯⋯⋯4体?



違和感に気づいたのと左腕の操作が不可能になったと感じたのは同時。私の手には、グズグズに溶けた蒼い牙が突き立てられ、肉を、骨を溶かして奪い去った。


吠えるのと同時に後ろに回ってやがったな!?



「行け!」



猟豹が蒼喰に突っ込んでいく。その体は再度砕け散り、吸収されていく。そして私はその骨を巨大化させる。さっきやったことと一緒だ。


内側から弾き飛ばす、それだけだ。それだけなのに⋯⋯!



「ぐぬぬぬぬ⋯⋯⋯!!」



動⋯かない!確実に骨は大きくなっている。そのはずなのに!単純な力で押さえつけられている!大きくなる力よりも小さくする力のほうが強い!



「なら、追加だ!」



猟表は蒼喰の2倍いる。1体で駄目なら2体で今度こそ成功させる!

まずはテメーだ吠えてたやつ!踏ん張って力んでるんだったら、力まなくてもいいように全身爆破してあげるよぉ!!


蒼喰へと走っていく猟豹。

その頭蓋が蒼喰に激突し、”霧のように通り抜けた”。


その光景に私が驚愕し動きが止まっている最中、左腕を奪った個体が右足を。他の2体が残った手足を捥ぎ、1体が傷口に強力な酸性の自身の体液を付着させる。



「さながら、”王手(チェック)”といったところかな?」



有菜はあの吠えた蒼喰を優しく撫でる。ドロドロとした蒼い液体が地面に落ちるのを見届けた後、私の意識も落ちていった。













そんな光景を遠くから見ていた私(本体)、SAN”チェック”です。





1D/20かな?


赫喰、蒼喰、黎喰のデザインは、某量産型を赤青黒に染めた感じですよ。四足歩行だけど。

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