不死身な私の殺し方 Ⅰ
「よっす」
「おかえりぃ」
「いやーなんか懐かしいね」
真っ暗でなんにもない空間だけど、この少女がいるだけで何度も帰りたくなるような、そんな不思議な感覚だ。
「お前、お前なぁ⋯⋯!!」
「え!?なんで泣いてるの!?大丈夫!?」
「大丈夫に見えるかぁ⋯⋯⋯!!」
そういえば、初めて会ったときも泣いてたっけな。
ああ、なんだか。
安心する。
「⋯⋯⋯いいや、取り敢えず神様就任おめでとうございます」
ありがとうございます。って、私もう神様なの?
「そうだよ。アナウンス聞いてないの?」
アナウンス⋯⋯そういえば偽物を【錬成】したときになんか言ってた気がするな。あれが神様になったときのアナウンスだったのかな。
「というわけで、貴方に”ギフト”を授けたいと思います!正式名称【貴方への贈り物】、君は何を望むのかな?」
何を望む?どういうこと?
「じゃあまずはギフトについて説明しよう。ギフトは、世界から送られるその人のみの唯一無二の能力のこと。実際は神にならなくても、条件を満たすともらえるんだけどね」
条件って言うと?
「強さだね。世界で一番強くなること、それがギフトを得るための条件さ」
ってことは私はもうあの世界で最強になったってこと?
「そういうことだからもう悔菜はもうギフトをもらえるんだよ。因みに、どんな能力が欲しいの?」
ん〜そうだなぁ。強いて言うなら⋯⋯⋯。
「骨⋯⋯かな」
「骨?」
「うん、骨」
「Bone?」
「Yes bone」
「Osso?」
「ナニソレ」
「イタリア語で骨」
知らねー。
「ちなみにイタリア語でせーのは⋯⋯」
!?
まじで!?
「おおまじ」
やば。日本の掛け声やべーんだけど。っていうかそんなくだらないことを私の脳に刻まないでよ。
⋯⋯⋯他には?
「気になっちゃってんじゃん⋯⋯。えっと、さっきのはちょっと固めの言い回しでテッテのほうがより近いっぽい」
うわぁ⋯⋯。
「◯◯はテットネ、◯◯はテッティネっていうらしい」
恐るべしイタリア。
「で、話を戻すけど骨がいいの?」
そう。骨を操りたい。
「なら強く自分が骨を操っている様を思い浮かべな。そうすればギフトはもらえるよ」
そんなもんか。
よしじゃあいくぞぉ!!
骨⋯⋯骨⋯。骨と言ったらなんだろう。やっぱり、まる4つと棒1本のアレかな。それとも、骨格標本みたいなアレ?餓者髑髏とかああいうでかいやつもあるよな。
地面から骨をばっと生やして攻撃したり、相手の骨を操ったり。
武器だったりの素材にもなりそうだな。あとは何ができるかな、楽しみだなぁ。
[個体名薙峰 悔菜が支配者に認定されました]
[個体名薙峰 悔菜に【貴方への贈り物】を進呈しました]
[能力名を設定してください]
お、できた。
「ナイス」
能力名、これってスキル名みたいな感じ?
「そ。好きに決めな」
それじゃあ。
「オッソ」
[【貴方への贈り物:オッソ】を登録しました]
「へえ⋯、テッテじゃなくていいんだ」
「変態」
「ひでぇ」
あれ、この能力どうやって使うんだろ。
「ギフトっていうものはイメージをカタチにするもの。だから、使いたいときは能力を使っている自分をイメージするんだ。そして、ギフトは使えば使うほど使用者に馴染んでいってより強力になっていくんだ」
なるほど。イメージすればいいんだな。
それじゃあ、大きい骸骨!
「最初の方は目も当てられない弱い力なん⋯だ⋯け⋯⋯ど⋯⋯⋯⋯」
えーと、急に視界が暗くなったんだけどこれどうなってるの。
「えーっと悔菜、それ大丈夫?意識はある?」
あれ聞こえてないのかな。
「vaaaaaaaa⋯⋯⋯」
「だめだ介錯してあげないと」
なぁにこれ?今大丈夫だよって言おうとしたのにヴァアアって声しか出ない。
しかもこれ普通の喉じゃないよな。なんというか、こう、ただ振動させて音を出してるだけな気がする。
そっと、自分の頬を撫でる。
「va?」
「ん?」
頬を撫でたときの感触。そこにあったのは、柔らかくも弾力のある人肌ではなく叩けばコツンと響く硬い感触。見えないからなんとも言えないけど、これ骨だよね?
⋯⋯⋯え、骨?
「vaaaaaaaaa!!!???」
「ぎゃああああああ!!??」
なにこれなにこれなにこれ!?私骨になってるんだけど!?おかしい、流石におかしい。確かに最近死ななくなったり再生したりするようになったけど流石に骨には変化しない。
⋯⋯⋯⋯よね?
ちょい待ち!ちょっと整理しよう!
えーと、多分今の私だけどイメージした通りの大きい骸骨になってるのかな。だけど、流石に肉を全て弾き飛ばして骨だけになることは無いだろうから、
どっかに私の本体があるはずなんだけど、
いかんせん何も見えないから探すことすらできない。それに耳も⋯⋯⋯⋯なにこれ。なんかすっごいドクンドクンって音がするんだけど。
ふと耳があるであろう場所を触るが、何の感触もないし耳をふさぐようにしても音は聞こえてくる。まるで拍動のような⋯いやこれ拍動だな。心臓の音だ。
つまり私の本体は骸骨の心臓の中にいるってこと?
「なniそれどうiうkoと」
あれ、ちょっと喋れるようになってきた。
というか段々視界が明るく⋯⋯⋯。
「あれ、ちょっとどうしたの!?」
「ふぎゅぅ⋯⋯⋯」
視界がひらけ、視線を下に向けるとそこでは少女が白目をむき、耳を抑えて気絶していた。
「というかこれって」
手のひらを見る。手首のあたりから徐々に再生しているが、どちらの手も白骨がむき出しになっている。胴体も、肋のあたりまでは肉があるがそれより下は骨のみだ。
ついに巨人になったのか私。
「⋯⋯⋯はっ!?」
「あ、起きた」
がばっと少女は勢いよく目を覚ます。
そして、こちらをみて開口一番に。
「早く能力を解け!死ぬぞ!」
私の死を予言した。
心臓に囚われた不死身分身パーカーJK(神)。




