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ただ咳をする  作者: haremame
廻編 第一章 星に願いを 月に幸せを
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愚者は何時でも間違える

少しちょっとした伏線回収です。先代勇者の死因は、とある女魔族との戦闘と言われています。彼女と戦った勇者の死体は見つからず、そのかわりに彼女の手には小さなナイフがあったとか。

「ごめん、悔菜⋯⋯俺、あの時のことずっと悔いてて⋯片時も忘れたことはないんだ。ごめん、本当にごめん。謝って済むことじゃないけど、本当にごめん。許してくれ」



彼は本当に謝っている。その目に、涙を浮かべながら。



「こんな俺を、惨めで情けないこの俺を、どうか許してほしい⋯⋯!」



彼は後悔している。



「⋯⋯⋯⋯わかったから顔を上げてよ」



「悔菜⋯!」



ならば私は、この怒りすらも投げ出そう。



「ありがとう。ありがとう!」



彼は今、どんな気持ちなのか。私もそれを理解しなくちゃいけない。



「生きたい?」



「あぁ⋯⋯あの時、お前にあんなことしちまったが、俺は⋯まだ生きたい」



そうかぁ、生きたいのか⋯⋯。よし、じゃあ彼とは純然な気持ちで会話をしなくちゃいけないな!









シュウサ・グレイスは勘違いをしていた。

彼女は、薙峰 悔菜は己を裁きにきた神なのだと。



「ねえ!私が仮面を外したの何時だった?」



「⋯⋯へ?」



それは、神という部分を見たら正しいのかもしれない。



「片時も忘れたことのない相手の顔を見たってことはすぐに気付けるよね、君が気づいたのは何時?」



「それは⋯⋯」



神とは畏怖され、禍福や賞罰を与える絶対的な存在のことを指し示す。



「まあ、別にそんなことはどうでもいいんだけどね」



また、慈悲深く思慮深いものを指し示すこともある。薙峰 悔菜は後者に当てはまる。だがしかし。



「もう一回聞くよ、生きたい?」



「あぁ!」



「よしわかった!じゃあ君を"武器"にしよう!」



彼女はただの神ではない。



「は?」



「勇者の呪いはまだ作用しているし、君はまだ私を敵と認識しているよね」



「そんなことは!」



「あるよね、そんなこと。事実君は私の血が体内に入っても死んでいないし、武器を手元に転移させようとしてるよね」



「!?」



「最初見たときはわかんなかったけど、それ物質を魔力に変換させてるんだねぇ。すごいなぁ、あの時生き延びてなきゃ生まれてない技術だね」



ましてや、畏怖される存在でもない。



「おお、この状態でも反撃してくれるんだね。やっぱりすごいや」



「黙れ黙れ黙れぇ!!」



ただ彼女は優しいのだ。



「がっ!?」



「う〜ん本当に喉を刺しても死なないなぁ。でもね、知ってるかい?勇者の呪いは私の【錬成】による武器化は防げない」



すべてを許せる優しさ、それ故に恐ろしい。



「見たところ君は生きたいっていう思いが強いみたいだ。生き物を武器にするときにね、その生き物が生きたいって強く思うと武器はより強く、より軽くなるんだよ」



「⋯やめろ、やめてくれ」



人の域を超越する、過ぎた優しさ。



「じゃあね、偽物さん」



「やめろぉぉぉおおおおァァアアア!!?」



人でありながら、神へと至らんとする彼女はその手を、喚く勇者の頭に優しく乗せる。そして呟くのだ。



「【錬成】」



彼の運命を。





[個体名薙峰 悔菜の種族が虐殺者から邪神へと進化しました]







彼女が認められることは、決してない。

















これ判断間違えたかなぁ。


あれから少し時間が経った今、一番最初に思ったのはそんなことだった。理由は、偽物を武器にしてできたものが原因。まさかこんなのができるなんてねぇ。いやぁ人生驚きの連続だねぇ。


私が手に持っている赤い球体。それが、偽物もといシュウサ君を武器にして出来上がったものだった。




〘赫イ成レノ果テ〙

後悔を殺せど未練が嘲笑う

繋がれ、蒼灰に染まりし成れの果てと


能力:

なし




絶対これ他の素材がないと能力発動しませんよタイプのやつじゃん。っていうか⋯⋯。



「あんまり美味しくないな」



イティサのヤツの方が美味しかったなぁ。

やっぱり人が悪いと心臓の味も落ちるのかな?



[シュウサ・グレイス【殺尽讐たり】を入手しました]

[シュウサ・グレイス【破滅の星々】を入手しました]

[【勇者】を入手しました]



ん。スキルね。え〜っと⋯⋯何だこれ。【勇者】ってなんだ?いや、勇者はわかるんだけどスキル【勇者】がよくわからないな。




【勇者】

転生者が一定の条件を満たすと所持が可能になるスキル群




あーよくわかんないけど、なんかスキルがもらえたってわけね。

でももらったスキルを鑑定しても閲覧権がないって表示されるんだけどぉ?どうゆうことぉ?


あとさぁ!さっきから手に持ってる赤球が一方向に真っ直ぐ光の線を出してるんだけどさぁ!これどうゆうこと!?


私こんなにいっぱい情報出されても対応できないよ!?


っていうかこの光が指してる方向ってあそこだよね!?

それにフレーバーテキスト的にもそういうことだよね!



「あーマジないわー。カルマを更に背負わせるとかないわー!!」



はあ、全く。



「殺るか」





悔菜の血は【龍血】という高濃度の毒です十三話でイティサが苦しんでいた毒もこれ。イティサは鎧があったからなんとかなりましたが、もし鎧がなかったら細胞分裂を起こしすぎて内側から破裂しちゃいます。常人が1gでも摂取したら破裂するんだけど。


気をつけてください。





あと、光が指し示したのは魔界です。あの日死んで生き返った二人がいます。

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