循環
私は悔菜、薙峰 悔菜。高校生。
地震によって引き起こされた津波に飲み込まれて、私達は転生した。
冷たさと痛みに襲われるなか、目を開けたら知らない人たちがいた。私はとある理由でラノベが好き。よく読んでいたのもあって、すぐに気づいた。転生キタコレ!!ってね。私以外にも四人転生していて、みんなすごいんだけど⋯。
勇者パーティーとして活動を続けて、ギイナとやらと戦った⋯⋯⋯らしい。私は瞬殺されているからわからなかったけどそのあと戦いがはじまり、シュウサ君以外が死んだがギイナが蘇生。
その後、ギイナは光となって消えたらしい。
だが、ゴルト君だけは生き返らなかったそうだ。
そして今、魔族が復活しその殲滅のため私達が行動していた時。
バランと名乗る魔族と交戦していた。
「シュウサ君ッ!?」
あの体格、理解していたつもりだけどやっぱり凄まじいパワーだ。考えるまでもなく、私は一撃で殺られちゃいそう。それに戦いの年季も違うなぁ、次の行動までの組み立てがすごく早い。
今だって、カキアちゃんの魔法を避けながらユーサ君の潜伏場所を潰している。
地面から生えている大地の根みたいなやつはスキルかな?本体の性能も加味すると、近中距離がバランの得意かな?
以前の私なら避け続けるのキツイかもだけど⋯⋯なんでだろ。
すごくゆっくりだなぁ。
腕を切る。太く、筋肉質なその腕を。
私の手には包丁。スキル【錬成】で生み出した私特製の武器だ。本当だったらダガーとかのがいいんだけど、片手サイズの刃物って包丁のがイメージしやすいんだよなぁ。
「二人とも、シュウサ君の方に行ってあげて。バランは私がやるよ」
なんだか、負ける気はしないんだよね。
「ちょッ⋯⋯⋯いや、任せた!今回は死ぬなよ!」
「悔菜ちゃん、無理しちゃだめだからね!」
やっぱり二人とも優しいね。
「任せとけ!」
こりゃ負けられないね。
「おいおい、ひとりでいいのかぁ?」
「まあね」
「随分と余裕そうだなおい、だったら―――」
ボコリとバランの足元の土が盛り上がり、そこから重厚な鎧を身に着けそれぞれ様々な武器を持った俗に言うゴーレムのような巨人が姿を現した。
「後悔すんなよ!【地創兵】!」
バランが私を指差すと、巨人は一斉に各々の武器を用いて私の命を奪おうと突撃を仕掛けてくる。
大剣を躱し、大槌を手に持つ包丁で真っ二つに切断する。
かなりの硬度、速度だ。普通に戦うと厳しそうだなー。ま、普通に戦う気ないけどさ。思った通り、バランと私の相性はいい。具体的にいうとスキルがだけど。
「【セクション】」
視界内に収めたものを切断するスキル。切るためにはその数分腕を振る必要があるんだけど。要は必中の斬撃を出せるスキルだ。威力は右手に持っている武器に依存するけど、さっき槌切れたし問題ないでしょ。
巨人の数は4体、それぞれ2回ずつ切りたいから8回腕を振ればいいのか。シャシャッと巨人の胴に2つの光の筋が通り一瞬の硬直の後、巨人は砂塵と化して消えていった。
「マァジィッ!?」
⋯⋯⋯なんかチャラいな?
「おいおいマジかよ⋯そんなに柔いはずがねぇんだけどな」
呆けているのか?
このままじゃ私の包丁が首を切り落とすぞ?死ぬというのに何考え事をしているんだ!私が読み間違えた?こいつを警戒しすぎたのか?
「ま、いいか」
バランは興味なさそうに、そんな言葉を発する。
そして私は、私の読みが間違っていなかったことを知った。
「!?」
首をとらえていたはずの包丁が空を切る。目の前にはすでに何もいなくなっていた。だが、肋から鳴るミシリという音だけはバランが下にいるという真実を教えてくれた。
「鈍いな〜、一人で十分じゃないんだっけか?」
私は命を削る戦いが好きなのだろう。
何故って?
「ちょっと違うね」
「⋯⋯⋯へぇ」
だって今こんなに⋯⋯―――
「私一人でも可哀想だって言ったの」
ワクワクしている!!




