家に帰る。(スケルトンと犬の……)
グラジャの人気は町を出るときに人垣が出来るほどだった。
『我は、いつか帰ってくる!その時も頼むぞ』
なでられ、引っ張られ、服を着せられたりするのにヘキヘキしていたはずだが、出て行く時は、格好つけていた。………声は聞こえて無いがな。
スケルトンは木の陰からこちらを見てハンカチを噛んでいる。………ちなみに豚骨味だそうだ。
町を出てしばらくすると、包丁を舐めまわしているスケルトンが、危険な光をやどす目でグラジャを見ていた。
たぶん、『今なら、殺れる』とでも考えているのかもしれない。
グラジャは一定の距離を取り、警戒している。
2人が命のやりとりをするのも時間の問題だろう。
『主、これから何処へ行くのだ?』
スケルトンとの間に俺を入れるようにして、グラジャが聞いてくる。
俺を間に入れるな!スケルトンも舌打ちしない!
「一回、家に帰ってから近くの迷宮の情報を集め直す。新しくできた迷宮なら、簡単に制覇出来るかもしれないからな」
ついでに核を潰せるなら、いいな。
『家までは、どれ位かかるかな?』
「歩きなら、5日はかかるか?」
『5日……』
グラジャはスケルトンを見る。
『殺るか、殺られるか……』
そこまで、覚悟することか?そう、考えながら、野宿をする事になった。
――1晩目
スケルトンが料理を作っている。お袋の手伝いをしていたので腕は確かだ。俺、スケルトン、グラジャの順に料理を渡される。
俺のは、昼間仕留めた長角シカの肉。
スケルトンは、その骨。
グラジャは蹄。
………蹄?
グラジャは置かれた蹄に鼻を近づけ、臭いを嗅ぐ。
そして、噛みついた。
――コリコリコリ………。
『嘘やろ!?』
オメーが驚くのか!スケルトン。
しかし、スゴいな。硬い蹄をなんこつ感覚で食ってやがる。
スケルトン、下手するとカジられるぞ。
――朝。
頭だけになったスケルトンをサッカーボール代わりに蹴りながら道を急いだ。
――2晩目。
スケルトンが復活したが、扱いが悪かったので……拗ねた。
グラジャが捕ってきた羽耳ウサギを丸焼きにして食べる。
スケルトンが物欲しそうな目で見ている。――やらんぞ。
グラジャが哀れに思ったのか、スケルトンに分け与えている。
――刈った毛を。
しばらく、それを見てスケルトンは落ち込んでいた。
――朝。
スケルトンがリーゼントをキメている。クシで髪型を整える姿が……滑稽だ。
リーゼントの材料は分かるよな。
『スケルトンの奴……』
グラジャも昭和風味の頭は戦慄を覚えているようだ。――分からんでもない。
『シブいじゃないか!!』
違った意味で戦慄を覚えていた!
そんな趣味なの!?今は、グルメ格闘マンガにもキメてるじーさんがいるが……流行ってんの!?
スケルトンがグラジャに対して得意げだ。グラジャも股の間に尻尾を丸めてスケルトンを見ている。
何故か分からんがファッションセンスの格付けがすんだようだ。
お前ら、嵐マネキンで売れ残れ!
――3晩目
グラジャが沼でジャイアント蛙を捕まえる。見た目に反して肉は旨いんだよな。
黒い皮を剥いで、捨てる。それをグラジャとスケルトンが持って何処かへ消えた。………飯は?
一体と一匹はその夜は戻ってこなかった。
――朝。
俺は他人のフリをしながら歩いている。
時折、すれ違う人が端に避けてこちらを見ている。――視線が痛い。
なぜなら、スケルトンとグラジャの頭がリーゼントになり、黒が主体の族の特攻服になっているからだ!
お前ら生まれる時代間違えただろ!
なに、周りを威圧しながら歩いてんの?みんなどん引きしてんだろ!?
何があっても知らないからな!
――4晩目。
調子に乗ったスケルトンとグラジャは、なぜか、俺をパシらせて飯を作らせようとする。
………飯くらい作ってやるよ。
――非常食のカンパン。
一体と一匹は食べて寝ました。
ちなみに俺は木登り猪を焼いて食べました。一人で。
――朝。
一体と一匹は、木をかじっていた。カンパンだけでは足りなかったようだ。
だが、昨日と同じように周りを威圧するのは変わらん。――死ねばいいのに!
――5晩目
現在、スケルトンとグラジャはグレっ熊にからまれています。
5匹ほどに囲まれて逃げ場は無さそうだ。
時折、こちらに助けを求める目線がくる……仕方がないな。
火にかけられるグレっ熊を俺は食べている。残りは土産だ。
スケルトンの土下座、グラジャの服従のポーズ。分かったから止めて食ったら早く寝ろ!
明日には家に着くから。
家の事は――キンググリムゾン!――跳びます。




