人を叩く;『借金』;見た目で人を量る畜生 その二
この五人組のチンピラを倒したあと、秉核は「雑魚」どもが落としていった装備を調べた。
手慣れた手つきで帝国領030式拳銃を弄り、残弾が二十五発あることを確かめる。
秉核は興味深そうに、音波系魔法で調べてみた。
そして気難しい顔で口を尖らせた。軍工家族の出であるプロの目から見れば、この拳銃の手入れはひどいものだ。銃油も塗られておらず、一部の部品のネジもきちんと締まっていない。秉核はつぶやいた。
「銃の手入れがこんな状態じゃ、家の学堂なら先生に手のひらをぶたれるな」
……
その時、地面の上で、小頭目が転がるのをやめ、ひれ伏して謝り始めた。
ちょうど戦いの最中、秉核の目の上には幾何学模様の光の帯が現れていた――照準システムの魔法だ。
両足と手首には力溜めの術の光の帯が浮かび、体には強力な音波系魔法の束が幾つも纏わりついていた。この音波術はあまり目立たないが、周囲の空気がそれに触れると、薄い白い霧が現れる――そのすべてが、秉核が職業者であり、しかも極めて高レベルの職業者であることを示していた。
……
小頭目は、秉核が銃を調べていて、まだ敗者をどう始末するかに気を取られていない隙に、地面に跪いた。
素直かつ素早く、自分たちの所持品をばらばらと並べた。
騎士のような職業は、れっきとした貴族である(秉核は今、騎士だと誤解されている)。
聖ソークの田舎では、貴族へのこれほどの冒涜は命取りになりかねない。この頭目は秉核が処罰を言い渡す前に、すかさず許しを請うた。
刑の執行を猶予してもらおうとしてのことだった。
しかし、彼は物品を投げ出したあと、慌てて許しを請う言葉を言い間違え、秉核を怒らせてしまった。銃を構える手が、止まる。
「騎士のお嬢様、私は目が節穴でした。無礼を……」
小頭目は自分の頬を叩きながら言った。
秉核はこの馬鹿野郎を蹴り倒した。
銃を突きつけて怒鳴る。
「目が節穴なら黙ってろ!お前がお嬢様だ!お前の家族全員がお嬢様だ!もう一言でも喋ったら撃ち殺す!」
蹴り飛ばされて転がったあと、小頭はハッと悟った。
すぐに頭を下げる。
「少、若旦那様、どうかお許しを」
卑俗な言葉で罵ったあと、秉核は冷ややかに、この連中へ問いただした。
なぜここで魚を買うのか。魚を買って、何をするつもりなのか。
……
銃を手にした今、秉核の口調はかなり強硬になり、態度も横柄で、悪辣さを増していた。
もちろん、さきほどの暴行劇で、自分の中の『暴力因子』が幾分目覚めたような気もしていた。
飼い慣らされた虎が鶏を殺して野性に目覚めるように、少年は喧嘩のあとに爽快感を覚えるものだ。
――ちなみに以前は、姪との取っ組み合いで一度も勝ったことがなかった。
……
二分後。
秉核は、ほぼ事情の経緯を理解した。
この御苑家の手下どもは、魚を買いに来ただけだった。
大きな魚を買って酒の肴にしようというだけで、何か陰謀があるわけでもない。『逃亡者』を探しているわけでもない。
しかし、この愚連隊どもは、魚を買うのにたった十五銅貨しか払うつもりはない。
それなのに釣り針爺さんは、その金額でにこにこ承知し、川でいちばん危険な中洲まで魚を獲りに行こうとしている。
――貧しい者ほど、わずかな金のために危険を顧みず、命を懸ける。
労働力、いや命懸けの労働力さえ、どんどん値崩れしていく。
……
その金額を聞いて、秉核は心のなかでつぶやいた。
「十五銅貨で大きなサバを買うつもりか?こっちから百五十銅貨やるから、お前らを川に放り込んでたらふく食わせてやる」
帝都の外城区のレストランでは、五キロの大きなサバが一リラ(千銅貨)もした。
帝都の魚売りの屋台では、同じ五キロのサバが三百銅貨だった。
そしてこの御園家の食いしん坊どもは、釣り針爺さんから少なくとも十匹分、ひと籠まとめて買おうとしていた。
そして、彼らの口調を聞いて。
秉核はおびえる貴族の私兵を見た。
息を吸い込み、低く嘆息する。
「元からお前たちの道徳に期待するべきではなかった」
その後、秉核は釣り針爺さんを見た。釣り針爺さんは秉核の目を見るなり、すぐに謙虚な態度に変わった。
以前のような気安さは、もう消えている。
二人の間には、見えない壁が降りていた。
……
秉核は現状を見渡した。
しばし考えを巡らせ、段取りを整える。
秉核は、地面に伏した手下どもが命乞いに差し出した金を、釣り針爺さんに渡した。
「おじいさん、ここ数日は世話になりました。私はおそらく、これからここで暮らすことになるでしょう。
今日は荷物をまとめて、明後日には三番バス停へ行き、三リラでバスに乗って、帝都の北新領へ行ってください。帝国では毎年、月隠山脈から帰ってくる人々が、そこに集まるのです」
(注)この後の話は嘘である。帝国北興駅は毎年、帝国軍学校の試練から帰還する者が集まる場所で、月隠山脈の農奴たちが帰ってきたことは一度もない。秉核は、ただこの老人に希望を持たせて、ここを離れさせたかった。
老人がここに留まっているのは息子の帰りを待つためで、十分な理由がなければ、彼をここから離れさせることはできなかった。
……
その後、秉核は、さきほどまで威張っていた親分の前に歩み寄った。
少し間を置いてから、比較的穏やかな口調で言う。
「明日、百リラを釣り針爺さんに届けてくれ。私はしばらくここにいるつもりだ。二ヶ月後には百五十リラを返すから」
秉核の声は優しく、表情には一抹の懇願さえ浮かんでいた。
それがひどく欺瞞的で、震え上がっていた手下たちは一瞬で有頂天になった。
(注)秉核は返すつもりなど毛頭なかった。二ヶ月後に百五十返すと言ったのは、この悪党を釣り上げるためである。
この男が二ヶ月のあいだ、釣り針爺さんに復讐しないようにするためだった。
こうした小悪党は、一度人の弱点に付け込むとつけあがる。彼ら自身も、利益の前でびくびくしながら得たり失ったりする。この二ヶ月は、借金した側が偉い。二ヶ月後、釣り針爺さんはいなくなり、秉核が金を返さずに姿をくらましたところで、彼に何ができるというのか?
もし秉核が今、強硬に百リラを要求し、それを釣り針爺さんに渡させたら、この土地のボスは秉核には報復できないまでも、百リラの刺激もあって、あらゆる手段を使って釣り針爺さんをここから出て行けなくするだろう。
もちろん、このボスが他の者にやらせるとなれば、自分の百リラを手助けする者に分け与えねばならない。
秉核がわざと「二ヶ月後に百五十リラ」と言ったのは、この腰巾着に甘い期待を抱かせ、決断を鈍らせるためだった。金を使って人を雇うのを躊躇わせ、さらには秉核の報復を恐れて、人を探す勇気まで失わせるためである。
……




