生態圏、蔑みの連鎖 その一
白琳沼沢の東側四キロ、川中の島で、秉核は精霊のようなレンジャーさながらに木の梢に座っていた。実際、上古魔法時代の職業者評価基準に照らせば、現在の探検者職業もレンジャーと認定できる。しかも秉核のように定体術を修得し、全身のバランスが極めて優れた存在となれば、トップクラスのレンジャーと言えた。
このとき秉核は木板を手に、炭筆で沼沢地全体の様子を描いていた。
描き終えると、秉核はこの言葉を心の中で繰り返した。
「生態系か?」
同時に、御苑家が沼沢地を管理する手法を理解した。
……
秉核は見て取った。白琳のこの土地で、御苑家は最高管理者として生態系の法則を利用し、数百年にわたって調整を重ねることで、非常に効果的な仕組みを形づくっている。
たとえば鹿の群れの周りにいる野犬の群れは、鹿の群れを調整し、老いたり弱ったり病んだりした個体を淘汰するために使われる。
犬の群れもまた、野外の残酷な競争の中で良種が形づくられ、御苑家の細犬と交配することで、細犬の血統の優良さが保たれていた。
もちろん、この理屈を御苑家の管理者の全世代が理解しているわけではない。
当然ながら継承者ともなれば、無学で、深く理解しようとしない場合も多い。
そのため、多くの世代を経るうちに、先祖伝来の制度として受け継がれるようになった。
これらの先祖伝来の制度は一つ一つが厳格に執行され、それぞれの役割が互いに関連し合って、一つの体系を形づくっている。
人間の立ち入りを禁じる白琳沼沢の条項も含め、それらはすべて、人間の都合によるこの自然育種の生態系への干渉を防ぐためのものだった。
「人類の干渉を排除する」というこの条項を、御苑家はきわめて断固として、かつ残酷に実行していた。
……
もちろん、今の秉核はこう考えていた。御苑家が今、沼地周辺の住民を追い払う目的は、もはや沼の生態を維持するためではなく、この地域で貴族の威信を示すためなのだ、と。
彼らのやり方が強引で愚かだからである。
なぜなら秉核は、この目的を果たすのにもっと良い手段があると感じていたからだ。
たとえば、山の入り組んだ場所に小さな薬草栽培地を残し、地元の一部の人々にそこで薬を採る特権を与えれば、その土地の人々は利益のために団結し、よそ者が領地に入るのを追い払うだろう。
最も素朴な山の民も、金に目がくらむ悪党に変わるのである。
白琳湿地でもまったく同じ手法が使える。ほんの少し利益を誘導するだけでいい。
たとえば領地の一%を野生水産物や家禽の養殖地として開放すれば、周辺の平民は利益のために進んで協力するようになる。
農民は鶏を盗まれるのを恐れるから、毎晩進んで見張りを組織するのだ。
しかもこの湿地は帝都から非常に近い。
領主が買い取りを仕切り、都市の貴族たちの食卓へ運べば、利益を得るのはこの領主ではないか?
今のように潜在的な労働力を強引に追い払うのは、評判を落とすだけでなく、手下を養う資源も無駄にしている。
……
秉核は御苑家に、ひどく軽蔑した評価を下した。
「まったくの田舎者だな」
思考は保守的で虚栄心に満ち、貴族の体面という制度を頑なに守りながらも、その背後にある本質を再三無視している。
管理は粗雑で硬直的、問題の処理は横暴で、自分の行動が引き起こす危機に対しては、僥倖を抱いている。
もし聖ソーク帝国において銃焰家が上昇期の貴族だとすれば、御苑家は没落の道を歩む典型的な代表である。
ただ、この世界では上昇にも没落にも長い時間がかかる。
帝国内では、守旧派の貴族と新興貴族の間の矛盾に対して、皇室は常にバランサーの役割を果たしてきた。
……
すべての没落勢力には、次の二つの特徴が現れる。
1、頑固派は祖先の制度を頑なに守る。
特に、一部の祖法だけを重点的に守ろうとする。
2、若年層は、伝統を遠慮なく破壊する。
特に、守る者がおらず壊しやすい伝統となればなおさらで、自己の個性を示すために破壊に走る。
自分たちに便利さと威厳をもたらす祖先の制度には、一切手を付けない。
……
このとき、御園家の内部では、調査もせずに一つの伝統を破壊していた。
白琳沼沢、湿地と牧場が入り混じる地域。
硬い帆を掲げた竹の筏の列が、長い竹竿を操り、銃を手に、沼地へと進んでいく。
白琳家が雇った者たちは湿地に入るなり、牙を持つ肉食動物の大規模な狩りを始めた。
今では昼間の銃声が、夜の蛙の鳴き声と張り合うほどである。
次々と肉食動物が虐殺され、小さな野生動物の毛皮が竹の筏の掛け架にぶら下げられていた。
この状況に秉核は呆れ返った。よそ者として、自分が広大な御苑の領地に与える影響はごくわずかだと思っていたのだ。せいぜい数頭の雄鹿で、大した被害にはなるまいと。
しかし今、彼らはその雄鹿の角の損失を取り返すために、野犬の群れを根絶やしにしてしまった。
……
木の梢を風が吹き抜け、次第に伸びてきた秉核の髪が揺れて肩の後ろへ流れた。秉核は枝の上に立ち上がり、皮肉な調子で悪意のある推測を口にした。
「この代の御苑家は、近親婚で知恵遅れになったのか、それともしつけに問題があったのか?」
その後、秉核は座り直し、軽薄に口笛を吹いた。
「俺に関係ねえよ!俺の家族じゃねえし!」
秉核には御苑家の心配をしてやるつもりなど毛頭なかった。
むしろ木の梢に登って御苑家の船団を観察し、四日後に再び入る予定の沼沢牧場へ向かう準備をしていた。
今のうちに連中の習慣的な行動経路を観察しておけば、自分の行動に役立つ。
秉核は言った。
「御園家がどう騒ごうと、俺は肉を食う。肉を食わなきゃ、背が伸びねえからな」
……
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