野良育ち その二
騎士という職業に比べれば、探検者の各種の感知能力は強い。
だが筋肉骨格の蓄力術の法脈は、次第に爆発力へと偏っていき、耐久力ではなくなっていた。
防御系の術法である気甲術や液甲術は習得していないが、周囲の屈折率を歪ませて光学的に身を隠すことはできる。注。この種の光学的な歪みは昼間は非常に目立つ。なにしろあれほど大きな歪みなのだから、射手とて目が見えないわけではない。しかし夜間なら効果は極めて良い。
騎士が正規軍の戦時要員だとすれば、探検者は戦争における斥候に近い存在だ。
探検者が非主流なのは、社会の権力体系から孤立しているからだ。
この時代、社会の権力は軍隊と工場にあった。重要な役職は騎士が握っている。
機械制御者はここ数百年の産業革命で利益を得ており、医牧師も治療という職業を通じて権力に食い込んでいた。
探検者は社会の権力においてひどく孤立している。
法脈の難易度では騎士に劣らないのに、より良い権力と結びつくことができない。だから人気のない職業なのである。
……
そして現在、白琳湿地のような環境のために、秉核は「装備選択」「成長」「スキルポイント配分」をこの職業へ特化させていた。
秉核は風に向かい、大きな動作を避けながら、子虎のように静かに湖の中を進んでいった。
竹竿と鉄片をつなぎ合わせて組んだ長槍を握り、絶えず目標へと近づいていった。
二十メートルまで近づいたとき、秉核の獲物が警戒した。美しい雄鹿(地球の鹿に似ている)で、見事に枝分かれした角を持っていた。帝国の閲兵式で高等将校が馬に乗る際、鎧の背に付ける羽根飾りは、この鹿の角で支えられている。秉核は自宅の応接間(銃焰家の荘園)にも同じような飾りがあるのを見たことがあった。
さらに重要なのは、秉核がこの鹿肉は非常に美味だと聞いていたことだ。
白琳沼地の特別な白果調味料と合わせれば、帝国の上等な食材になる。
鹿の群れを見張るリーダーの雄鹿が機敏に頭を上げたのを見て取ると、秉核はためらわずに手の槍を握り締め、勢いよく投げつけた。
雄鹿が悲鳴を上げると同時に、五十キロもある体が跳び上がった。
そこへ槍が首を貫通し、鹿は地面に横転して、痙攣しながら蹄をばたつかせた。
これは今月、秉核が仕留めた四頭目の鹿だった。
つまり、広大な沼地に住む四つの鹿の群れが、この一ヶ月でそろってリーダーを失ったことになる。
御苑家の鹿を狩ることについて、秉核はまったく罪悪感を抱いていなかった。帝国で働く御苑家に向けて、秉核はいかにもキーボードウォリアーらしいコメントを残した。
「お前ら(御苑家)は馬や鳩を飼うことに専念しろ。こんな派手なものに手を出すな」
……
鹿狩りは一連の作業の始まりにすぎない。鹿を仕留めたあとは血を採り、続いて四本の脚を解体する。一連の作業で最も貴重な鹿角を秉核は持ち去らず、代わりに二キロ離れた湿地帯に住む犬の群れの縄張りまで引きずり込み、彼らに罪を着せて証拠隠滅を任せた。
その後は戦利品を携えて数キロ上流の、安全で人目につかない土塚へ移った。火を起こし、鹿肉を葦の葉で包んで調理する。
一部は食べ、あとは主に、木製の壺に入れた血の処理に回した。
残りは燻製にし、葉で包んで泥を塗り、焼いて乾かした。
最後に手ごろな大木を選んで登り、残った肉を木の洞に吊るした。
その後、川を下り、小川で魚を一匹釣ってから帰宅した。
夜の外出のカモフラージュである。
この手慣れた犯罪手順を、秉核は二ヶ月間続けていた。怪しい痕跡は一切残していない。唯一怪しいと言えば、周囲の青白く痩せた人々の中で、秉核の顔色だけがますます血色よく白くなっていくことくらいだった。
老漁師は、夜中に魚釣りに出かけるこの子供を数回注意しただけである。
……
秉核がこの夜の仕事を終えた翌朝、空を舞う一羽の鷹が、湿地の端にある鹿の残骸を見つけた。
鹿はすでに齧り尽くされ、ピンクがかった骨格だけが残っていた。
骨のあちこちには、犬歯で齧られた痕があった。
そして三十分後、馬の一団が水しぶきを上げて駆けつけてきた。先頭には西苑家が特別に育てた細犬がいる。
一行は猟銃を手に、中央の金髪の少女を護衛していた。
少女は鹿の姿を見るなり飛び降りた。ひどく胸を痛めた様子で白い手を伸ばし、枝分かれした鹿の角を握る。家の刻印が入ったそれを眺め、ため息をついた。
ここの鹿の群れはすべて御苑家が放し飼いにしているもので、放牧の際にはすべての雄鹿に印が打たれていた。
少女が立ち上がると、名残を惜しむような目つきは一瞬で冷たいものに変わった。
彼女は振り返り、背後にいる者たちへ言い放った。
「一ヶ月前から、犬の群れが鹿を襲う事件が起きていた。そのとき私は言ったわね。機会を与えるから、この問題はあなたたちに片づけさせると。それなのにこの一ヶ月で、同じことが四度も続いた。家は、皇室に献上するはずだった鹿の王の角を四本も失った。これからどうするつもり?」
少女の言葉を聞くと、鹿の群れを管理していた下僕が慌てて馬から飛び降りた。
普段は白琳湿原の外で威張り散らしている腰巾着が、冷や汗をかきながら跪いて言った。
「お嬢様、このところ鹿苑周辺の犬の群れを大々的に駆除しておりまして、犬の活動跡はすでに大幅に減っております。今日の一件は、おそらく最後の事例かと」
御苑綺絢の目は依然として冷ややかだった。
哀れみを込めた口調で言った。
「最後の状況ですって?私、四度も信じてしまったわ。私があまりにも愚かだったのかしら。」
少女が手を振ると、背後にいた二人の武士がすぐさま鹿苑の管理者を取り押さえ、下へと引きずり下ろした。
凄まじい叫び声のあと、二分ほどして、木の盆に載った切り落とされた指が運ばれてきた。
御苑家のこの少女は、何でもないという顔で一瞥し、こう言った。
「返してやりなさい。思い出に残るように、そして教訓として刻み込ませるためよ。」




