人類の再興と新魔法 その二
低位の体内に刻まれた法脈が整っていなくても、低位のうちは何の問題も見えず、基礎魔法の行使にも差し支えない。
しかし高位になると、法脈どうしの長さの違いや、二つの法脈のあいだに新たな法脈を刻もうとしたときの交差が干渉を生む。
魔力を巡らせたときに干渉と衝突が起これば、関連する複数の法脈がそのまま破壊されてしまう。
新手が高等法脈を刻録した後は、数時間以内に師匠が法脈の整い具合を観察する必要がある。
もちろん高等な家族では、年長者が子弟の骨格や筋肉を測定し、自分の法脈を子弟の体に対応させる重要なポイントを作り出す。
子弟がそのポイントを頼りに法脈を導引し、さらに年長者の指導を受ければ、下位職業者への昇格は七~八割の効果が得られる。
中位職業者となるには、より緻密な導引が必要だ。
この時代、職業者の数は完全に資源の多寡によって決まるわけではない。
師匠の導き、それも優れた師匠の指導が必要なのである。
この世界で貴族が貴族たり得るのは、大多数の貴族の法脈体系が数千年にわたって伝承されてきたからだ。
すべては師匠が手取り足取り教えてきたものだ。
どんなに忍耐強い師匠でも、その精力と心血には限界がある。
……
銃焰家の主法脈体系は機械師であり、法脈体系の最高位も機械制御者である。
これは帝国全体の六十四大貴族の圏内(伯爵以上の爵位)では、非常に見劣りするものだ。
多くの老舗貴族の法脈が延伸する中階職位には複数の種類があり、単なる騎士という中級職業でも、一部の家族では複数の法脈を持つ騎士がいる。ある魔法体系の下での騎士職業は速度型もあれば、防御型もある。そして多くの家族は、騎士という職業だけでなく、医師や射手といった中級職業も持っている。
聖ソーク帝国の四大頂点家族は、高階職業の法脈体系を握っている。
帝国全土の高階職位を数え上げても、十六を超えない。
彼らこそ帝国の最高戦力である。
上古時代の魔法使いは威風堂々としていて、大規模な魔法で千人規模の精鋭兵団を壊滅させた。
それに対し、現代の高位職者が用いる手段は直接的なエネルギー破壊ではない。
だが、この時代における抑止力は上古の魔法使いよりも強い。
神賜時代以降、人類は没落したとはいえ、依然として火薬兵器を製造できるからだ。
最も原始的な前装式大砲でも、射程は二キロメートルある。
この時代の軍団が手にする熱兵器の威力は、上古時代の弓矢や刀剣とは比べものにならない。
高位職業は、一個軍団にとって極めて重要な支援能力を提供できる。
……
視点を教室に戻せば、「完成しました」という誇らしげな声が上がった。
「アーベルトが一番だ」とボルー教官が宣言した。
「私も終わりました!」
もう一人が、焦った声を上げた。
「アクル第二」と博陸が告げた。
……
数秒後、カチリと音がして、秉核は机の上の部品の分類を終えた。秉核が声を上げようとした瞬間、博陸教官が先に言い渡した。「秉核第七。以降は順位を発表しない。最後の十名は掃除に残れ」
博陸は秉核に笑いかけ、うなずいた。秉核は安堵の息をついた。ふう、こうした競争の空気は、銃焰秉核にとって久しぶりだった。
遙か昔、試験の空気もこんな感じだったと、懐かしく思い出した。
……
三十分後、終業のベルが鳴った。警備員が駆け寄ってきて、秉核に告げた。「秉核さん、ご家族が校門までお迎えに来ています」
秉核は校門へ走り出した。
学校の門は大理石のアーチで、その前には馬車用の駐車スペースが並んでいた。
ここは領地の貴族学校で、通っているのも領地の上流階級の子弟たちだった。
今日は正門が少し騒がしかった。秉核が目を向けると、校門の秩序は保たれていた。
五メートルほどの機械体が厳かに立っている。
領地の治安部隊とはまるで違う服装の将校たちが、門の前で一人を取り囲んで話し込んでいた。
その人物が突然振り返り、校内の秉核を見て目を細めて手を振った。「秉核、こっちだよ!帝国四号装甲機を運転してきたんだ。ドライブに連れて行ってやる」声をかけたのは輕鈞のエロット、秉核の異母兄だった。傍らの戦友たちは秉核を見るなり、口を滑らせる。「エロット、これが弟か?言われなきゃ妹だと思ったぞ」――だが距離があったため、秉核は聞こえないふりをした。
次兄が自分を呼ぶのを見て、秉核はうれしそうな顔で素早く駆け寄った。そのころには、周囲の少年たちも秉核に羨望の眼差しを向けていた。
地球であれ、この世界であれ。
少年たち、いや男たちのロマンとは、機械体に乗ることである。




