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帰向  作者: 凛光穂
第二巻 機械師の心

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魔鉱獣 その二

 現在の状況では、駅の高級将校は手軽に十分な数の機械技師を引き連れ、後方支援を行うことができる。しかも、機械院のなかでも最も優秀な機械技師を引っ張っていく。秉核(ヘイカク)は人狩りを免れられなかった。


 駅のホールに到着すると、先導役のアンクラ教師(機械制御者)はすでに来ていた。

 この教官は帝国海軍の大佐と、状況について話し合っていた。

 海軍将校が鉄道警備隊を指揮するのは体裁が悪い。だが、正規軍が到着する前は、最高位の軍人がここの主導者となる。


 大佐は一行が入ってくるのを見ると、航從(コウジュウ)に軽く頷いた。秉核(ヘイカク)はその細かい動作に気づく。この大佐もおそらく波輪(ポーレン)家の人間だろう。

 数人の機械技師が近づいて端に立つと、車長室の会話は相変わらず、今回の引率者であるアンクラ教官と大佐の二人の間で交わされていた。


  ……


 アンクラが言った。

「高階魔鉱獣だ。これは千年ぶりの新種の魔獣で、全身が精鉄と磁土の粒子からなる重合体で構成されている。内部には強力な磁力が働いている。もちろん、魔核内部の状態にもよるがね」


 大佐が問い返した。

「魔核にどんな状態があるんだ?」


 アンクラが続けた。

「彼らは記憶を持っている。人間の機械を組み立てることもある。これほど大きな魔鉱獣の体内には蒸気機関があるが、銃身や火薬があるかどうかは、現時点では不明だ」


 大佐が言った。

「もしこの魔鉱獣が体内に軍用兵器を持っているなら、なぜ今使わなかったのか?」(使っていれば、偵察兵たちに逃げ出す機会もなかっただろうに)


 アンクラが言った。「大佐、魔鉱獣は大きいほど複雑な行動がとれる。この種の魔獣は非常に珍しく、しかも京畿地帯に突然現れた。背後にはおそらく、帝国を狙った何らかの陰謀があるのだろう」


  ……


 魔鉱獣は、この千年ほどの間に機械文明が再発展を遂げたことで、月隠山脈地域に現れた新種の魔獣だ。

 この新種の魔獣は上古の魔獣とは顕著に異なる。上古魔獣の代表である疾風狼、烈焰獅、大地熊の巨大な骨格は、現在帝国博物館で見ることができる。

 もちろん、今では人間に捕獲され尽くして絶滅した。上古の魔獣はすべて自然進化の産物だった。


 新たな魔獣の起源については、二万年前に存在したことを証明する化石証拠はない。だが、すべての学者が、魔鉱獣の起源は人類の神賜時代の活動に関係していると考えている。


 現在は月隕山脈の鉱洞に巣食っている。

 人間がある鉱洞でしばらく採掘を続けると、その鉱洞は魔鉱獣に占拠されるようになる。

 最初は無害な魔鉱獣で、わずか数キログラムの粒状流体にすぎない。だが、数が増えるにつれて主客は転倒し、人間を追い出そうとする。

 たとえばガスを発生させたり、崩落を引き起こしたりする。

 もちろん、それでも人間が去らない場合、魔鉱獣はさらに変化を遂げる。


 ここで触れておくが、この時代、普通のガス爆発や部分的な崩落で人間を鉱山から追い払うことはできない。

 帝国の鉱業は残酷な奴隷制度であり、働く者は鉱夫ではなく鉱奴と呼ばれている。

 帝国の監獄警察システムが支配する国家は、暗黒の恐怖に満ちている。

 東へ延びる鉄道の大動脈は、毎年数万人の囚人を月墜山脈へと送り込む。戻ってくる者はごく稀だ。

 帝国は月墜山脈に常に十七個師団を駐留させている。これらの師団の最も日常的な任務は、暴動への対応である。

 そして月墜山脈では毎年暴動が起きている。


 話を戻すと、さらに進化した新たな魔獣は、まさに赤裸々な戦闘形態となる。水流のように、鉱山のあらゆる隙間から湧き出てくる。

 鉱獣類は採掘用具のすべてを貪り食い、内部に蒸気機関を包み込み、金属を研磨して伝動構造を形作り、一種の奇妙な金属機械怪物となる。

 この段階にまで発展すると、帝国が取れる唯一の方法は、鉱山を封鎖し、この鉱区を放棄することだった。


 しかし、多くの専門家や学者の研究によれば、魔鉱獣は月隠山脈の鉱物再生と関係している。月隠山脈では数千年にわたり、鉱物が枯渇することなく採掘され続けてきたという。

 数百年後に廃坑を開けると、内部に再び鉱物の沈殿が形成されているのが確認される。

 また月隠山脈では、地表で微細な粒子の流れが枯れ枝や腐葉を巻き上げ、地下へと引き込む光景がしばしば見られる。

 この地域の地下には、石炭の生成の兆候も確認されている。


 こうした発見もあり、人類は新魔獣というシステムに対して、敵対ではなく制御する姿勢をとっている。


 人類は、自らに利益をもたらす可能性のあるものには寛容である。

 たとえば、蚊が血を吸って病気を媒介するのは害虫だが、トンボが蚊を食べるのは益虫とみなされる。

 人類は旧魔獣を滅ぼした際、この鉱物生物種に対しては網の目を開けて逃がしたのである。


  ……


 この時、秉核(ヘイカク)は彼らの会話を聞いて、思わず二つの疑問が浮かんだ。


 まず、魔鉱獣は東部・月隠山脈の魔獣である。

 どうやって四百キロもの距離を越え、帝国領内の数々の関所を通り抜けて、ここまで来られたのか?


 次に、これほど巨大な魔鉱獣が帝都に現れた。これを引き起こした者の目的は、一体何なのか?

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