体術の確立、貴族の縁組、旅立ち その一
蒸気千二十五年五月末。
初夏の熱気がしだいに現れ、まるで都市のヒートアイランド現象のようだった。
帝都全体が格別に暑くなった。
扇風機もエアコンもない各高塔の内部は、非常に耐え難い気候となっていた。
秉核は窓の外の歪んだ熱気を見て、思わず愚痴った。
「発電システムがないのに、こんな高いビルを建てるのは少し馬鹿げていないか?」
秉核はつい、北方の家族領地で過ごした爽やかな夏を思い出した。
今はただ、水がめに浸かりたい。
……
酷暑を解決する方法は、もう一つある。
機械制御者段階の中堅系新魔法、温度制御術である。
導温術とも呼ばれる。
本質は、非常に微細な導温光条を構築し、網目のように密集させて、部屋全体の分子を素早く低温側へ導くことにある。
金属の熱伝導は最も優れた部類だ。
一端を火に入れれば、反対側はすぐに熱くて触れなくなる。
導温術の光条による温度伝導は、金属の数百倍にも達する。
機械制御者が特定の装置を製作する際には、恒温制御が欠かせない。
例えばスコットの部屋は、秉核が何度か訪れたが、心地よい涼しさに満ちていた。
だが指導教官の部屋はひどく冷たい。
――二万年前にはもっと直接的な冷却魔法が存在し、当時の魔法師には氷系という分類もあった。
場内の熱エネルギーを光スペクトルエネルギーに変換する効果を持つ魔法だった。
だが現在の職業者の魔力総量ではとても発動できず、失伝してしまった。
バランスを取った丸太の上で流れるような宙返りを二つ決めたあと、秉核はつぶやいた。
「圧縮機、フロン」
しかし、つぶやくだけだった。
電力がなければ、圧縮機を作ったところで使えないのだ。
……
梅を見て渇きを癒すような気分の秉核は、蒸し暑い部屋で定体術の練習を続けた。
秉核の定体術は、初めはよろめいて何度も転び、やがて脳がようやく動きを覚え、傷つくことなく高度な運動のなかでも正確なバランスを保てるようになった。
定体術が始まったと言えるのは、この時からである。
体操の動きを正確にこなせるようになったことなど、ただの前提条件にすぎない。
(仙術を修める前提は、静かに座禅を組んで修練することにある。)
……
定体術で網状定位の法脈を形成するには、正確で激しい運動が前提となる。
正確な運動をしながら、同時に網状の法脈を形作り、すでに形成された身体の法脈を制御するのだ。
現代の新魔法の体系は、旧魔法の体系よりも柔軟である。
その柔軟さは、さまざまな限界動作の下でも法脈の出力を安定かつ正確に保つことを要求する。
だからこれは、動的な体系の下で鍛えなければならない。
旧魔法は静的な状態で、静かに瞑想して魔力の総量を拡張することを求める。
だから定体術のように活発に踊ることはできない。
……
したがって、これもまた魔法修練に必要な前提の一つである。
新魔法の上位職業では、修練状態に入ることのハードルが非常に高い。
旧魔法ではそのハードルが見えにくい。
静座瞑想の状態は、動的な極限運動でバランスを保つよりはるかに容易である。
しかし古い魔法には才能の制限があった。
それは入門者を次第に絶望させるハードル(新魔法時代の学術用語で、細胞富エネルギー度)でもあった。
数万年前には、一生を初級魔法使いで終える者も大勢いた。
古い魔法はこうだった。
「血統が良くない、魔法の才能がない。残念だが、君には向いていない」
新しい魔法はこうだ。
「家庭環境が悪く、幼少期から訓練を受けていない。残念だが、次世代でまた挑戦してくれ」
……
二万年前、高科技文明がまだ興る前。大陸に複数の種族がいた時代である。
人類は才能の平凡な種族だった。
人類はそうした高エネルギー種族に憧れ、当時の貴族階級は広く他の魔法種族の血を引いていた。
そしてそれらの高エネルギー種族も、人類の貴族との通婚を続けていた。
神賜時代が突如として興り、権力は再編された。
古い魔法は衰退したが、消滅はしなかった。
社会の上流階級の一部では、古い魔法の伝統が守られていた。
人間は衣食足りると郷愁を覚えるものだ。
ただ、この伝統はすでに、武力の裏づけを失った発言権でしかなかった。
二万年後、高度な科学文明が突如滅びた時。
魔法エネルギー量が概して高エネルギー種族に及ばなかった人類は、動的鍛錬による敏捷性の体系を選んだ。
のちに秩序が乱れた時代、富への憎悪に駆られた群衆は、古い魔法を継承していた家系を徹底的に抹消した。
さらにはその後の数千年の間に、他の高エネルギー種族もすべて滅ぼし尽くした。
神賜時代の科学技術文明が崩壊しても、残された人類は依然として大陸で優勢な種族だった。
文明崩壊後、社会の新たな指導者たちは再び社会を統合するため、まず憎悪を固定化した。
神賜時代終焉後の種族虐殺や絶滅政策は、この星の長い歴史のなかでも最も残忍な虐殺の一つだった可能性が高い。
……
血統に依存した継承は、基本的に消滅した(注、この世界にはまだ真の血統貴族が存在する)。
だが「社会的上位者」の存在は、根絶しがたい社会心理である。
新たな貴族の魔法体系である純粋な継承系は、もはや血統を必要としない。
そのため「ある貴族に捨てられた私生子が、非凡な才能を認められて家系に召還される」といった物語は、もう存在しない。
現在の帝国内の各大貴族は、多かれ少なかれ私生子を抱えている。
たとえば現在の皇帝にも、確実に私生子がいる。
たとえば何人かの子爵のような小貴族が、いま帝国内で優れた地位を握り、上流社会で活躍している。
この背景に、いったい何があるのか。
帝国上流社会の貴族たちは、心のなかでよく分かっている。
しかしこれらの私生子が庇護を受けられるのは、せいぜい一代か二代までにすぎない。
庶子はあくまで庶子であり、嫡流こそが真実である。
嫡女であれ嫡子であれ、私生子よりは家伝を受け継ぐことができる。
帝国内の婚姻は身分相応で、中位職業者の家系は中位職業者の家系と結ばれる。
上位職業者は上位職業者の家系と結ばれる。
貴女が身分を下げて嫁ぐこともある。
そうした貴女はそもそも、法脈が家系で最も優れた基準に達しておらず、同レベルの家系との婚姻を見つけられなかった場合である。
最高位の家族では、上位職業を持つ女性が適切な上位職業者と結婚できない場合、家族内で婚姻を結ぶ。
つまり近親婚配である。
……
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