弱気な機械師、行き詰まる その四
秉核は素っ頓狂な声を上げた。
「はぁ?!」
秉核の的外れな反応を見て、
コフィーの瞳から一筋の光が放たれた。
射手職の視覚標定系魔法だった。
秉核は目を刺すような痛みを感じ、慌てて頷いた。秉核は、今の自分が兵士系法脈に切り替えたとしても、下位職業者の中でも高段階にあるこの公女には勝てないと踏んでいた。
コフィーは問い詰めた。
「試練を通過したあと、どうして私を探さなかったの?」
秉核は呆然とコフィーを見つめ、何と言えばよいか分からなかった。実は秉核は言いたいことが山ほどあったが、口に出す勇気がなかった。
秉核はついにその迫る視線に負け、照れくさそうに言った。
「あなたの輝きは眩しすぎて、近寄れません」
この返答を聞いたコフィは秉核と目を合わせ、秉核の視線が泳いでいるのを見ると、軽く笑って、秉核への圧迫を解いた。
……
数秒後、コフィは自分の席に戻った。紅茶を手に取り、蓋をつまみ上げる。帝国の名媛らしい端正さを取り戻した。先ほどの貞子的な暗い雰囲気とはまるで違う様子だった。
秉核は慎重に言った。
「私はこれからどうすればいいんです?今はカジェットと協力していて、彼には約束してしまったのですが」
コフィは秉核を一瞥し、むっとした口調で言った。
「今回だけよ、次は駄目。同じロケット弾で、彼が注文する誘導弾の分を私にも作ってくれればいい。あとは気にしなくていいわ」
コフィは秉核とカジェットの誘導弾取引の詳細を尋ねた。老舗貴族の家柄である彼女は、カジェットと秉核の取り決めが貴族間の合理的な協定であることを理解する。無理に干渉すれば、ドラゴンファング家が理不尽に騒ぎ立てているように見えてしまう。そこでコフィは次善の策として、秉核に同等の供給を要求した。
学院内でカジェットとの均衡を保ち、双方が誘導ロケット弾を使わない状態を保とうとしたのだ。
秉核は彼女が態度を軟化させたのを聞いて、安堵のため息をついた。
しかしコフィは続けて、命令口調で言った。
「あなたは私の騎士よ。今後は軍事地区の他の者と接触する前に、必ず私を通しなさい。勝手に他人と協定を結ばないで」
これこそがコフィーが今回やってきた最大の目的だった。軍事学院の陣営争いにおいて、彼女は秉核をしっかりと握り、他の争いごとに引き込まれないようにする必要があった。今の秉核は、彼女にとって単なる高価な引き立て役の緑葉ではなく、極めて有用な同盟者となっていた。
秉核は素直にうなずいた。軍事学院での交際について、今回の教訓から秉核は「武器を売ることが他の大貴族の子弟たちの政治的干渉を招く」ということを痛いほど実感していた。秉核は心の中で、帝国内の軍事家族の横暴なやり方にため息をついた。
帝国領内の軍需産業家族の権利は、結局のところ軍事家族の武力の庇護のもとに与えられるものだった。
秉核は心の中の反抗心を隠し、従順な口調で言った。
「姫殿下、今後はすべてあなたのご指示に従います」
コフィーは少し躊躇した。
「それと」
自分が身につけていたペンダントを外しながら言った。「これはあなたへの形見です。軍事学院にはいつでも私を訪ねてきていいですよ」
そう言うとき、コフィの視線が一瞬動いた。
……
六分後、コフィは時計店を後にした。
秉核はほっと一息つき、店の主人を見た。
店主の時間を奪って何も買わないのは申し訳なく思い、時計を選ぼうとした。
しかし時計店のカウンターにいた主人は、秉核が近づくのを見た。
首を横に振り、舌を鳴らした。
「ああ、実に惜しい」
秉核は頭を掻きながら、申し訳なさそうに言った。
「お店の静けさを乱してしまい、本当にすみません」
時計店の主人は言った。
「君が今すべきなのは、求婚の言葉を考えて、その娘さんを早く追いかけることだ。この老人と雑談している場合じゃない」
秉核はばかばかしさを感じながら、笑って言った。
「おじいさん、あなたは何か誤解しているようですよ?」
店の老人は秉核が持っているペンダントを指差した。
「女の子が自ら身につけていた装飾品を男の子に渡すなんて、その意味が分からないのか?」
秉核は言った。
「あなたは誤解しています。彼女にそんなつもりはありません」
「フン」店内の老人は視線をそらし、小声だがわざと秉核に聞こえるように言った。
「役に立たない石は彫れない(つまり、朽ち木は彫れぬ)」
軽蔑されたと感じた秉核は、すぐに店を後にした。
あの娘の真意は、一体何だったのか。
秉核は声を潜めて自分に言い聞かせた。
「憶測するな。憶測しすぎれば、それは自意識過剰というものだ」




