弱気な機械師、行き詰まる その二
外部からの反撃はなくなるが、その代わりに内部の危険を抱え込むことになる。
しかもこうした弊害は長期的なものだ。
こうした純粋な利食い階層を受け入れても、最初は問題ない。だが貪欲が膨らむにつれ、まず工場の最下層の従業員の福利を圧迫し、限界まで搾り取る。
その結果、工場内の人間関係の軋轢が増え、仕組みの運営に損害が出る。さらに技術階層の管理権まで圧迫されていく。
地球上の二十一世紀にも、同じような状況はある。
しかし地球では合理的に対処できる。
工業企業が硬直化したあとは、破産保護を申請し、資産再編を行い、利食い株主をすべて追い出して、残すべきでない者を一掃できる。
残すべき者、たとえば技術階層や主要な管理層といった中核資産は残す。負担と抵抗を減らした企業は息を吹き返す。
しかしここは封建社会であり、破産保護などない。この自動車工場が硬直化したときには――
帝国のやり方は、資金を乱暴に注ぎ込んで無理やり支えるしかない。
腐敗した経営層や利権層を一掃するわけではない。
利権株主を一掃して資産再編?――不可能だ。この自動車業界が生み出した利益の連鎖の大きさを思えば、封建的な帝国グループが一つの事業を改革するなど、できるはずがない。
この事業の利益の連鎖が大きければ大きいほど、抵抗もそれだけ大きくなる。
(明帝国後期、各階級の官僚が予算から上前をはねる慣例を参照せよ。大明帝国は滅ぶまで彼らに血を吸われ続けた)
封建体制のもとでは、自動車業界が利権層に食い物にされる病根が取り除かれない限り、業界の消耗はますます進む。
最終的には、帝国上層の官僚たちがこの業界を完全に放棄することを決めるに至る。
この業界の技術者や管理者は、巨大な利権集団もろとも、あっさり解散させられる。
双方とも失う。
帝国にできるのは、それだけだ。
恩と威で統治する帝国では、完全に公正な賞罰を行うことはできない。
そして双方とも失うときには、見せしめに鶏を殺して猿を威す。
帝国はこの見せしめの殺しを行わなければ、巨大な利益の連鎖を伴う産業を廃止することはできない。
殺される鶏とは、実際には封建的権力のなかで重要ではない存在のことだ。
この産業で発言権の弱い小さな機械師の一族は、利益の連鎖に巻き込まれたとして皇帝からすべての罪を着せられ、見せしめの見本として引き出される。
一方、腹いっぱい利益を貪った大族は罰せられることもない。
帝国上層部の威嚇のもと、未練たらしくこの血を吸えるゾンビ産業を手放す。
……
以上のような事柄こそが、封建帝国の原生的な光景である。
秉核の機械店での小遣い稼ぎの仕事は、すでに片づいた。だが今、気にかかるのは、自分がこの業界に引き込んだ同級生たちのことだった。秉核は、彼らの背後にいる工場主階級のためにも何か考えねばならないと感じていた。
……
四人の同級生に説教しながら、上司にどう対応すべきかを説いた。
上司の面子をどう利用して、産業への無駄な干渉を防ぐか。
産業の主導権を手放さざるを得ない状況をどう作り出すか。
それも説いた。
しかしそこまで説教したあと、秉核は同級生たちの将来の運命を憂慮せずにはいられなかった。(秉核の家系は伯爵家で、帝国のほとんどの貴族家の難題にも余裕で対応できる立場だった)
馬車の中の秉核は、しばらく躊躇した。
秉核は車内の同級生たちを見た。
口調を変えて説明した。
「皆さん、家柄の問題については、私はずっと避けてきました。人の生まれを評論するのは、とても失礼な行為だと思っていたからです。しかし今は現実的で、避けられません。帝国の現在の基準に照らせば、諸君の生まれはあまり良くなく、いくつかの利益を守るのは難しいでしょう」
秉核は、馬車内の同級生たちが憤慨した表情を見せるだろうと思っていた。
彼らの生まれをけなすつもりはないと謝って説明する準備までしていた。
しかし秉核の予想に反し、同級生たちは『身分に注意せよ』という指摘を聞くと、態度を改めた。
下位者の様子を見せ、まるで元から下位者であったかのようだった。
実のところ、秉核こそが最も生まれを気にせず、大貴族に対しても心ここにあらずといった風で、普通の同級生や平民に対してもにこやかだった。この馬車の全員が、そして帝国機械学院の全員が、秉核よりも階級と身分を重んじていた。秉核の助言は余計なものだった。
しかし馬車の中で秉核の隣に座っていた白簾は、同じく従順な態度を示しながらも、瞳のとても深いところで一瞬の失望を素早く走らせた。
……
機械区の正門前。
金属の鎧と戦靴を身にまとい、刺突防止の面兜を被ったコフィーが、椅子を持ち込んでそこに座り込んでいた。
待ちくたびれた彼女は、手にした長槍で地面を叩き、リズムを刻んだ。
帝国の小銃は全長一・四メートル。銃剣を装着すれば、一・八メートルに達する。
堅木の銃床が地面を打つたび、舗石の隙間から埃が舞い上がった。
その背後には、士官学校の若者たちがこの公爵令嬢に付き従っていた。
そのとき、彼女の部下である学生兵の一人が交差点から駆け寄った。
敬礼して報告した。
「隊長、彼の馬車が交差点に到着しました」
コフィーは立ち上がった。
笑みのない口元を歪めた。
「ふん」
皮肉っぽく吐き捨てた。
そして城門の中央へ進み出ると、一騎当千の構えを見せた。
……
秉核の馬車が、この部隊に遮られた。
秉核は、自分の馬車が若い顔の学生兵たちに銃剣を突きつけられているのを見た。
思わず「二・二六事件」「馬糞暴動」といった言葉が浮かんだ。
もちろん、それらの黒々とした銃口や、きらめく銃剣に弾丸は込められていない。
連中の後方には正規の将校が遠くに立ち、事態の激化を厳重に警戒していた。
コフィーは優雅に秉核の前へ歩み寄り、手を上げて白い手袋を外すと、それを直接秉核の懐に放り投げた。そして数人の兵士が両側から秉核を押さえつけた。
馬車から引きずり下ろした。
秉核はため息をついた。
振り向いて、馬車の同級生たちに言った。
「大丈夫、すぐに戻るから、夜は寮の教官に休みを取っておいてくれ」
……




