内通する守護騎士 その二
数分後。
感情を吐き出した秉核は立ち上がり、ホールの中央へ歩み寄る。地面に落ちて何度も踏みつけられた小さなノートを慎重に拾い上げ、元の場所に戻した。
そして再び揺れ木に乗り、今度はまず簡単な動作から始めた。
揺れ木の上を歩いたり跳んだりするところからである。
秉核は心の中で自分に言い聞かせた。
「世の中には困難なことがたくさんある。だがその多くは、成功を急ぎすぎて、成功に至るまでの多くの努力を過小評価しているからだ」
午後いっぱい、秉核はぎこちなく、苦痛に満ちた練習を続けた。
自分の弱い姿は、自分だけが知っていればよかった。
……
秉核が自分の計画を一つずつこなすのに忙しいころ、外の世界でも物事は進み続けていた。
二十日後、よく晴れた日の午後だった。
帝都の北方六十キロにある大演習場。最新の小隊演習評価が終わったあと、龍牙大公の愛娘コフィは、演習場から二百メートル離れたカジェットのチームをじっと見つめていた。
演習が終わったばかりのカジェットのチームは、浮き立つような気分に包まれていた。
一方、コフィの背後では、彼女のチームの生徒兵たちがカジェットの部隊に憤慨した目を向けていた。
直近の軍事演習評価が、よほど納得いかないのだろう。
コフィは両手で馬銃を握りしめ、指の関節を白くしていた。鍛え上げた脚で鐙を強く蹴り、馬から飛び降りる。踵の拍車が地面の小石に当たり、火花を散らした。一年前に比べ、この公爵令嬢は優しさが少し減り、野性的な美しさが増していた。
三十分前。演習場の訓練で、カジェット率いる部隊がコフィー隊の防御陣地へ突撃する訓練を行った。
訓練中、カジェットの騎兵隊は二十発の誘導ロケット弾で進路を開いた。
(演習場の誘導ロケット弾には弾頭が付いておらず、実体弾である。演習後は、実弾爆発のデータに基づいて評価が行われる)
カジェットの隊列は前線に模擬された一連の阻止火力を圧倒し、続いて騎兵が怒涛の勢いで突撃した。見事な戦術的衝撃だった。この突撃での損失兵数も、勝利までの所要時間も、コフィーの部隊を遥かに下回っていた。
……
乗馬用の鞭を手に、コフィーはまっすぐ士官学校の後方支援部へ向かった。
「長官、蒼月上士(カジェット)の武器の出所を知りたいのですが」
彼女は教官に敬礼した。
声を張り上げて尋ねた。
騎兵突撃戦術では、これまでコフィーが優勢を保ってきた。だが今日、この攻撃項目で最高得点を取ったのは間違いなくカジェットだ。コフィーがそれを面白く思っていないのは明らかだった。
そのとき、コフィーの胸には不満の言葉が渦巻いていた。「高価な誘導弾で最高点を取ったところで、何の自慢にもならないだろう?金をかけて装備を競う勝負なら、ドラゴンファング家はブルームーン家の挑戦など恐れない」
士官学校の後方支援部の下士官が、机に向かっていた。新年の財務報告書を作成している最中だった。不穏な気配を感じて顔を上げると、そこにコフィーが立っていた。
コフィーがカジェットの武器の出所を問いただすと、この兵站官は納得したような表情を浮かべ、こう語った。「赤龍上士、学校の各グループの装備は二つのロットに分けて供給されます。一つは学校からの供給。もう一つは、隊長が帝都内で独自にルートを確保して調達するものです」
コフィーはさらに追及した。
「帝都内で、いったいどの部門が帝国軍事学院の学生に誘導弾を追加で供給し始めたのか、知りたい」
兵站を担当する士官は、表情を硬くしながらも目に怒りを秘めたコフィーを見た。意味深な笑みを浮かべて言った。「蒼月上士の誘導弾のルートについては、赤龍上士の方が私より詳しいと思っていました」
コフィーは即座に腹立たしげに反論した。コフィーとカジェットの噂は、軍事学院では広く知られていた。コフィーは、この兵站士官がその話題で冗談を言っているのだと誤解した。
「長官、くだらない話題と厳粛な軍事考査を混同しないでください」
軍需官は困ったような笑みを浮かべた。手を広げ、首を振ってみせる。
それを見てコフィーは眉をひそめ、目の前の将校を再び見た。
聡明な彼女は、ある可能性にふと気づいた。
コフィーは探るような口調で尋ねた。
「カジェットに武具を供給しているのは、私の知り合いですか?」
兵站将校は肯定も否定もせず、書類を整理しながらうつむいた。
だが、書類の一枚をめくって、机の端から覗かせた。
その紙には「一ヶ月前、とある人物が軍事学院を訪れ、カジェットと酒を酌み交わした会合」と記されていた。
コフィはその紙をちらりと見た。
だが、表情は動かなかった。
彼女は再び敬礼し、その場を去った。
だが、背を向けて立ち去るとき、その顔は霜のように冷たく険しかった。
ふくらんだ頬の下で、歯をぎゅっと噛みしめていた。
裏切りの守護騎士によって、コフィのもとからあった憤懣の炎は、火薬庫の爆発へと変わったのだった。
これには秉核も、きっと冤罪だと叫ぶだろう。
「あと数年もすれば、あなたたちは婚約して同じベッドを共にする仲じゃないか。軍事学院でこんなに激しい競争をしていたなんて、知るわけがないだろう」




