内通する守護騎士 その一
帝都の上流地区は整然としている。
ガス灯とコンクリートの道路が、この地をいくつかの機能区域に分けていた。
上流地区は帝国の貴族が集まる場所だが、そこには贅沢という概念がまったく存在しない。
なぜなら、大公爵でさえここで家を一軒購入することも、建物を一つ改築することもできない。
上流地区のすべての土地と建物は、皇室の審査と承認によってのみ与えられる。
誰がどの建物に住むかも、すべて皇室が決めている。
軍事区、医牧区、機械区。
これらの塀に囲まれた建物は、学校、図書館、大型体育館、行政棟、機械実験室、あるいは軍政決策ビルとして使用されていた。
これらすべてを定めたのは聖ソーク皇室であり、数世代、数十世代にわたる決定の積み重ねだった。
聖ソーク皇室が上城区の各建物の用途を決めるのは、一般人が家庭内の家具の配置を決めるようなものだった。
ほとんどの者は、上城区で共同体のような暮らしを送ることしかできない。
ここで家を買うための一握りの土地すら手に入らず、娯楽施設も何一つない。
それなのに、帝国各地の小貴族たちは上城区に出入りし、そこに住む権利を得たいと願っていた。
上城区は権力者の社交界の象徴であり、権力は人を惹きつけてやまないからだ。
しかし秉核にとって、この上流地区の厳格な審査は実に疲れるものだった。
……
利便性を考えて、秉核は下町の富裕層地区に家を買った。値段は四百五十リラ。この小さな建物を手に入れると、秉核は三階建ての部屋という部屋の窓をすべて鉄柵で塞いだ。玄関はパスワード式の機械錠に改造している(これは秉核が下町の治安を考えて行った改装だった)。
この家には高価な宝石も財産もなかったが、秉核は一室に一連の大型機器を据え付けた。市場価値は三千リラを超える。鉄骨の支柱なら材料費はたった百リラで済んだかもしれない。だがその上に載った高精度の電子機器と計測システムには、秉核の二十日分の工数が費やされていた。
それは精密な目盛りと光センサーを備えた訓練装置だった。十二歳の秉核にとって定体術の修行はすでにあまりに遅いスタートであり、初期の身体調整には器具の助けが必要だった。
……
定体術のほとんどは、穏やかな動作と激しい動作に分かれる。
穏やかな動作はヨガのようであり、激しい動作は体操のようだ。
ふつうは、穏やかな動作が数十に、激しい動作がひとつ組み合わされる。
穏やかな動作は効果が低い。激しい動作は効果が高いかわりに、怪我をしやすい。
電子測定システムが並ぶ機器の前。
器具の中で揺れる平均台を見て、秉核は恐怖と躊躇を覚えた。深く息を吸い込み、小声で自分に言い聞かせた。
「挑戦だ、これは挑戦なんだ。前世では命がけの仕事をしたが、今生では命を懸けて遊ぶんだ」
揺れる丸太を数分見つめた末、秉核はついに勇気を振り絞り、呼吸を整えて飛び乗った。だが直後、物音が立て続けに響く。秉核が痛みに喘ぐ声が聞こえてきた。
……
平らな地面での宙返りなど、秉核ぐらいの年の若者には難しくない。
平均台での宙返りは、体操選手が少年時代に身につける技だ。
だが、揺れる丸太の上で三百六十度回転の宙返りをするのは、骨折しかねない危険な行為だ。
そのせいで、秉核はすぐに激しく転んだ。
秉核は脚を押さえて、部屋の隅に縮こまった。
雪のように白い脚には、赤く腫れた跡ができていた。
秉核は痛みに息を吸い込みながら、自分を励ますように言った。
「バランス、ヒッ、バランスを保たなきゃ、うう、ええ(深く息を吐く)自転車に乗る練習でも何度も転んだけど、大丈夫、ケガが早く治れば問題ない。うう、本当に痛い。まだ終わらないのか」
このとき、秉核の膝の赤みはすでに引き、傷ついた靭帯も元通りになっていた。
だが、痛みの伝達には遅れがある。
つまり、脚は消しゴム能力の作用で元に戻っても、痛みの情報はなお神経を通って脳へ届き続ける。
その記憶は、しばらく脳裏に残っていた。
一分後、秉核は歯を食いしばり、再びぐらつく平均台の上に立った。
……
練習を始めて五分後、秉核はまた転落した。傷を癒すと、秉核は部屋の床に柔らかいシーツを敷いた。
十分後、秉核はジャンプを止めきれずに数歩前に進み、部屋の本棚に頭をぶつけた。
棚の模型や本が落ちてきた。数分後には本棚の雑貨は片付けられ、本棚の前にワイヤーマットが立てかけられた。
二十分後、地面には折れた乳歯が転がっていた。秉核が拾い上げる。水がめを取ってくると、秉核は血の混じった水を吐き出し始めた。
折れた乳歯は体外のもので、体内ではないため回復できない。
三十分後、表情の崩れた秉核は地面にへたり込み、揺れる丸太を見上げる目には怯えが浮かんでいた。
秉核はがっかりした目で運動器具を見つめ、心の折れたような声でつぶやいた。
「ふふ、もう練習しなくていいよね。うん、練習したって意味ないよね。僕は、僕は……」
声は次第に小さくなっていった。
秉核は思わず小さな手帳を取り出し、ページをめくって体術の計画のところまで来る。
すると突然カッとなって跳ね上がり、手帳を地面に叩きつけた。
そして足で何度も踏みつけた。
そしてしおれた白菜のように隅にうずくまり、膝に顔を埋めた。そのまま三十分が過ぎ、再び顔を上げたとき、秉核は目の端の涙をぬぐった。この世界に来てから、幼くて物事を考えられなかった時期を除けば、秉核が他人の前で泣いたり涙を見せたりしたことはない。
どうしても我慢できなくなったときは、一人で自分の空間に閉じこもって悔しさを吐き出すのだった。
……
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