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帰向  作者: 凛光穂
第二巻 機械師の心

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三大上位職業 その三

 二、将軍。

 権柄が少数の中位職業者を掌握して権力集団を形成するものなら、将軍職は軍団をしっかりと掌握する。


 職業者の法脈において、新たな魔法を解放する個々のサブ魔法システムには、主脈からの安定した正確な魔力供給が欠かせない。

 下位職業者の大半は、それを安定して行うことができない。


 しかし彼らが将軍の麾下に入ると、将軍は彼らの法脈を測定し、サブシステム法脈に小さな基準点を残して制御を助ける。

 この基準構造は、将軍の体内の法脈にある導引点と同期する。


 将軍の法脈内には、数千、時には数万の導引点が存在する。

 これらを麾下の兵士たちに接続し、戦場で軍団の戦士が微弱な魔法を発動する際の補助とする。


 たとえば集中術、動体視力術、遠視術(眼球の上の液体を凹レンズ状に形成する)など。

 これらは新法術体系の中で最も簡単で、魔力消費も最小の法術である。


 しかし戦場では、魔術師の能力しか持たない兵士たちは、通常の術式を構築するのに一~二分を要する。

 その間、動きは止まってしまう。

 戦場において、彼らの未熟な新術式はほとんど役に立たない。


 だが将軍が提供する照準補助制御機構の支援があれば、彼らはプロの術者のようには長時間にわたって精密な新術式を連発できない。

 それでも、戦場で必要な瞬間に数秒で術式を完成させることができる。


 この銃砲の時代において、魔法は主要な攻撃力ではない。

 しかし新魔法がもたらす感知情報が、戦場での打撃精度を決定づける。


 北方の龍牙大公(リュウガ大公)は将軍である。蒼月大公(ソーゲツ大公)もまた将軍だ。

 彼らは帝国の重要な支柱だが、帝国は彼らに依存しつつも、常に軍内での彼らの力を警戒している。


 将軍の法脈体系には、数千から数万もの空隙があらかじめ設けられていた。秉核(ヘイカク)はこれを見て、炎日(エンジツ)と皎月(コウゲツ)がどのような上位職業者なのかを理解した。


 まとめ。

 将軍は古の死霊術系を参考にしている。

 ただし、死霊術系が関わるウイルスや生物改造の要素は一切継承していない。

 現在の将軍という上位職業が受け継いでいるのは、調和と制御である。

 軍の兵士たちは自発的に従っている。


 三、要塞。

 権柄と将軍が作用する対象は人間だが、要塞は環境の制御を司る。——領域。


 この領域の効果は伝説のものには及ばない。伝説の領域は光線を屈折させ、温度に干渉して風の場を作り、煙塵を巻き上げて遮蔽することができる。

 ほとんどの要塞領域は五百メートルから千五百メートルの範囲しかない。

 だが、領域内の複数の地点から同時に外部を観測することが可能だ。

 十キロメートル先の砲弾の弾道を判断し、砲弾がまだ空にあるうちに、領域内の兵士たちへどの地域が落下点かを示す。

 数秒前に最適な避弾壕を見つけ出せる。


 数百メートルから千メートル余りに及ぶ要塞領域は、一つの部隊に絶妙な戦場把握をもたらす。

 防御戦では、要塞に守られた兵士は地形の優位を二百%活用できる。——少なくとも千年前の要塞はそうだった。


 要塞を担う家系がいくつかある。

 これらの家系は現在では小国となっている。

 数千年の歳月と鉄道の発展、そして一連の大規模戦争で火砲の規模がますます大きくなるにつれ、要塞も三大上位職の中でますます衰退していく職業となった。


 要塞の法脈体系は、身体に隙間を残さない。

 魔力の原点を定め、全身の対称的な法脈へ安定して魔力を供給し、バランスの取れた共振を形成する。


 まとめ。

 要塞は一種の場である。

 立体的な角度から場を観察でき、場内の光線や温度、音などのエネルギーに少量の干渉を加えることができる。

 旧魔法時代の領域魔導師の体系から着想を得ている。


  ……


 秉核(ヘイカク)は本を閉じた。満足げに息を吐く。

 この世界に来てから今日までで、ようやくこの世界の核心となる力の体系を視野に収めることができた。

 一種の満足感が胸に溢れた。

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