皇帝の承認 その三
数時間後。
揺れる飛行艇が再び機械塔に戻り、機械塔の滑り棒に沿って一路下って行く。寮へ戻る途中、秉核の興奮は睡魔に襲われた。
今にも崩れ落ちそうだった。
洗面を済ませた秉核は、全身の疲れが山崩れのように押し寄せるのを感じた。
朦朧とした意識のままベッドに這い上がり、どさりと倒れ込む。
意識は深い眠りへ沈んでいった。
眠っているうちに、ぼんやりとドアをノックする音が聞こえた。
そして、激しくドアを蹴る音。半分寝ぼけていた秉核は手を上げ、ベッド横のボタンを押した。部屋の二本のレール上にあった二つのキャビネットが、ドアの前へ滑っていく。(注、スコットのオフィスのドアには機械的なロック構造があり、秉核はそれを真似て簡易版を作った。)
ドアを塞ぐ作業を終えると、
秉核は枕を抱き、再びぐっすりと眠り始めた。
四十分後。ドアの外では、怒りに満ちた璃韻が白いストッキングの脚と青い革靴の足を振り上げていた。
憤慨しながらドアを蹴る。
ドアに施された銅メッキの歯車の浮き彫りには、蹴られた跡がついていた。
「秉核、中にいるのは分かってるわ。ドアを開けなさい。十秒待ってあげる。さあ、開けなさい」
周囲で見物する人々の中から、重隆が慎重に近づいて説明した。「銃焰お嬢様、秉核組長は試練で十日間もろくに眠れず、今は休息中なのかもしれません」
しかし、気流術が直撃してきた。
威力は大きくない。だが顔面に向かって放たれたため、数歩後退させられた。
璃韻お嬢様は完全に癇癪を爆発させた。「銃焰家の内輪の問題に、他人が口を挟むんじゃないわ」と叱りつける。
その時。
「そうか?それなら私も関与できないというのか?」スコットの声が人々の後方から響き、璃韻はすぐに足を止めた。
スコットは周りを見回し、眉をひそめた。「みんな、ここで何をしているんだ?そんなに暇なのか?帰れ」見物人たちはすぐに散っていく。璃韻もその隙に逃げようとした。
スコットは振り返った。「璃韻、お前は戻ってこい」
璃韻はもじもじしながら近づいた。
「先生、私ですか?!」
スコットはこの少女を見て、ため息をつき、軽く叱った。「秉核が試練を無事に乗り越えた。何か問題でもあるのか?」
璃韻はもじもじしながら言う。
「先生?あの人を見てください。試練の前にわざと試練の難しさを愚痴って、自分には試練を突破する能力があるのに、あんなふりをしていました。あの人は、わざと私たちに誤解させたんです」
話しているうちに、思わず自分の指をもみしだいていた。明らかに後ろめたい様子だった。
幼い頃から秉核と遊び仲間だった璃韻は、明らかな敗北を感じたことがなかった。璃韻は決して負けず、秉核を遊び相手と見なしていたからだ。秉核はいつも勝てず、そのことについてはまた別の見方をしていた。
しかしこの試練で、璃韻は明らかな挫折を感じた。この挫折が胸の詰まるような症状を引き起こす。璃韻は、バランスを崩した不快感を解消するには、早く会って喧嘩をするしかないと考えた。
これを聞いたスコットは、三分の怒りと三分の面白さを覚え、厳しい表情で言った。「いい加減にしなさい。自分の失敗を他人に八つ当たりするんじゃない。秉核が目を覚ましたら、きちんと態度を改めて教えを請いなさい」
璃韻はピンクのスカートを握りしめ、ひどく悔しそうにうつむいた。
もし秉核がこの光景を見ていたら、決してベッドに横たわってなどいなかっただろう。
きっと起き上がり、自分が家族の後輩を抑えつけた歴史的瞬間を目の当たりにしたに違いない。
驚いた小鳥のように逃げていく璃韻を見て、スコットは仕方ないと首を振った。それから秉核の部屋の前に来て、屈折視角の魔法を発動する。この屈折魔法はドアの隙間から部屋の中を覗き見ることができ、機械制御者の魔法(複雑な機械構造の内部動作を観察するための魔法)に属するものだった。
秉核がベッドで枕を抱えてぐっすり眠っているのを確認すると、スコットは安心してうなずいた。
そして廊下の脇へ移動し、壁にかかった絵のような金属製の扉を開ける。
金属の扉の内側には、いくつものパイプ口があった。
船舶でよく見られる通話管で、それぞれが階層ごとの管理者室に通じている。
この時代、電話はまだ実験室の装備にすぎなかった。
通話管を通じて、スコットは管理者に秉核へ三日間の休息を与えるよう指示した。




