皇帝の承認 その一
燦鴻が馬を駆って試練場の中央に着いたとき、恐怖に駆られて逃げ出そうとする秉核の姿が目に入った。
一方、戦車から飛び降りて逃げ惑っていた秉核は、冷たい表情で駆けつけた皇子を見て、まるでネズミが猫を見たかのように顔色を失った。
すぐさま、土塁の方にある戦車へと逆走し始める。
もちろんこの皇子は馬の速度を上げ、秉核の横を通り過ぎざまに手を伸ばしてひょいと掴み上げ、腰に挟んだまま馬で引き返した。
その手慣れた様子は、まるでひよこを掴むように軽々しい。
これには秉核も参った。燦鴻は全身を騎士鎧に包み、腕には鋼の装甲を装着していた。その腕がちょうど秉核の腹を締め付ける格好になっていたのだ。
さらに秉核は顔を真下に向けていた。
目を開けても、疾走する馬に急速に後退していく地面が見えるだけだった。
激しい揺れによるめまいと落馬の恐怖が、秉核に生理的にも心理的にも不快感をもたらした。
両手で鞍を必死に掴み、落ちはしないかと怯えていた。
一方、帝国の六皇子も秉核を観察していた。
この帝国六皇子は、秉核が試練でいきなり双足機甲に突っ込んだ動機に疑いを抱いていたからだ。
試練場で戦車を操縦し、帝国の現役装甲に向かって突進するなど、誰が聞いても疑うような荒唐無稽な出来事だった。
しかし今、この皇子は自らの疑いを捨て去った。
これは単なる事故だったのだ。
聖ソークの燦鴻は腕の中の秉核をちらりと見下ろした。子猫のように震える秉核を見て、この皇子殿下は、秉核がこの事故を故意に仕組む胆力など全くないと確信する。
この種の恐怖を偽装するのは難しい。
しかし燦鴻は、今になって少し意外に思っていた。
それほど恐れているのに、秉核はどうやって先ほどの戦車操縦をやってのけたのか?
つい先ほど試練場で帝国の装甲を迎え撃ち、高速走行しながら二発の砲撃で二足機甲の戦闘能力を奪ったのは、単なる運だったのか。
当時の状況を振り返れば、戦車の中で秉核が巨大な危険を感じたとき、パニックになる暇などなかった。
帝国装甲の機動力を撃破して完全に安全を確保した後になって初めて、遅れて襲ってくる恐怖が全身に広がるのを抑えられなかったのだ。
十五分後。
観閲用の砦に着いた秉核は、揺さぶられて七転八倒し、地面に尻餅をついたまま一時的に平衡感覚を失って立ち上がれなくなった。
数秒して、ようやく震えながら立ち上がる。
ずっと傍で待っていた皇子が、冷ややかに言った。
「来い。陛下がお待ちだ」
秉核は呆然として尋ねた。
「陛下?」
「陛下がここに?」
燦鴻が言った。
「君が眠っている間も、陛下は君を見守っていた」
秉核の顔が一瞬曇り、小声で言い訳する。「寝てません、ちょっと目を閉じただけです」その言葉を口にした途端、秉核は、この言い訳がどこかで聞いた覚えがあり、しかも少し馬鹿げていると自分でも感じた。
しかし燦鴻はまっすぐ前へ進むだけで、秉核の説明など全く気に留めなかった。秉核もすぐに口を閉ざし、それ以上馬鹿なことを言うのをやめた。
【|聖ソーク・權柄・嘉龍《聖ソーク・ケンペイ・カリュウ》。聖ソーク帝国の現皇帝。この皇帝は78年前に即位した。】
旧魔法時代の魔導師が現代の職業者に残した数少ない特徴がある。
新魔法の高位職業者は、寿命が二百年に達することができるのだ。
燦鴻は、二十五年前に老いてますます盛んな皇帝陛下が生み出した結晶である。
このような貴族の大名家では、法脈が第一であり、血統もまた重要な要素である。燦鴻は嫡出で、母は帝国南方大公の姉、すなわち現在の皇后だった。燦鴻は今は騎士だが、単なる騎士ではない。将軍への昇格の可能性を秘めた中位職業者なのだ。
上位職業を持つ家系の間では、彼は有望株と見なされていた。
この皇子は秉核を要塞に連れ込むと、まっすぐ皇帝の右側に立った。左側には蘇哈元帥がいる。
帝国六皇子は見事に騎士階級にあり、将軍へと成長する可能性を秘めている。
これは、この世代の皇室がなおも成長を続けている証しと言えた。
演習場の傍らの観察城の中で、秉核はこの威厳ある皇帝を前に、記憶にある家族の教えのままに、慌てて間違いだらけの挨拶をした。その堅苦しい様子が周囲の笑いを誘う。秉核の顔は我慢できずに真っ赤になった。(この赤面については、秉核は年のせいだと思っていた。大人になって皮が厚くなれば血が上りにくくなり、赤くならなくなるだろう)
そして皇帝は秉核を見て、笑顔で言った。「君が銃焰家の子供か?」
秉核は答えた。
「はい、陛下」
皇帝が訊いた。
「試練の前に、皆にこの試練を気にするなと勧めたと聞いているが?」
うつむいていた秉核は身の毛もよだつ思いで数秒間黙り、それから言い始めた。
「陛下、当時、私はこう考えておりました。我々の能力は浅く、視野も狭い。帝国の機械院には我々よりはるかに成熟した考え方があり、先人たちの教えには謙虚に、慎重に向き合う必要がある。失敗は我々にとって必修の課程である、と」
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