優等生の競い合い その一
秉核が初めて下町で仕事を探した経験は、それほど楽しいものではなかったかもしれないが、それでも順調だった。その後数ヶ月の間に、秉核は下町でいくつかの機械メンテナンスの仕事を請け負うことに成功した。そして下町の傭兵小隊の職業者たちとも知り合った(注、これが秉核の主な目的であった。)
傭兵協会に出入りする時間が長くなるにつれ、秉核はあの傷痕のある会長の笑顔がますます優しくなっていくことに気づいた。
協会の管理者たちも、自分に対してどんどん丁寧になっていく。
秉核はついに、家族が自分を守る力があることを実感した。
そして初めて「自分は実は若様だったのか」と感じた。
秉核は幼い頃から一族の機械技師たちに人形のように扱われ、さらに姪に振り回されていた。
そのため、貴族が支配するこの世界で自分が権力のピラミッドの頂点にいることを、ほとんど忘れかけていた。
それに気づき始めてから、秉核はこの数ヶ月で次第に気を許すようになった。
歩き方も変わり、座り方もずっと気楽になったが、知らず知らずのうちに少し緩みすぎていた。
……
蒸気暦千二十五年二月、北半球に北方から寒波が襲いかかった。
厳寒のため、両軍は軍事要塞地域へ撤退した。
軍事衝突の危険は薄れ、この大寒波は帝国北方の軍事的な圧力を和らげた。
一方、帝都は雪に覆われた中で、緊迫した日々を迎えていた。
機械ビルから鐘の音が響き渡った。
学生たちは急ぎ足で二十七階の機械教学ホールへ向かった。
冬の最中だったが、蒸気ボイラーが動いているため、機械ホールは蒸し暑かった。
各学生の前には、金属工具が並べられていた。
今日の雰囲気は少し違っていた。四人の帝国高級将校が教室に入ってくると、一言も発せず教室の後方に座り、近寄りがたい様子でいた。
彼らの服にははっきりした階級章がなく、この無階級の状態にはいくつかの可能性があった。
帝国中央情報局の軍事メンバーである可能性。中佐クラスの高級将校が簡素な服装をしている可能性。あるいは、きわめて高レベルの非軍事任務の執行中である可能性。
……
数人の将校が後方に座っていることで、教室のほとんどの学生は背中に棘を感じていた。天体区の学生にはすごい後ろ盾を持つ者が多いが、天体区の中でも貴族の学生たちが大人しくせざるを得ない状況はいくらでもある。しかし大雑把な秉核は、後ろにいる連中を単に帝国軍将校のカテゴリーに分類していた。(下位の職業者はすべて帝国軍将校であり、将校には高級と下級がある。秉核は普段軍隊の事情を研究していないので、今は節穴の目で、その深刻さに気づいていない。)
数分後、スコットが入ってきた。
今日は普段の機械技師の作業服ではなく、殺伐とした軍服姿だった。
黒く光る革靴が教壇の中央を踏んだ。スコットは鷹が子兎を見下ろすような目で教室中の学生を見回し、感情のこもらない声で言った。
「静粛に」
ホールが静まり返ると、スコットは背後の機械式折りたたみドアを開けた。
金属ギアがきしむ音とともに、リベットだらけの機械車両が、教室の上にある大型ロボットアームに吊られて、ゆっくりと演壇の前へ下りてくる。
……
金属戦車がロボットアームに吊られてゆっくり降りてくる登場は、非常にインパクトがあった。だが秉核は首をかしげた。登場の仕方はクールだが、車体を見た秉核が思い浮かべたのは「豆戦車」という言葉だった。第二次世界大戦時の日本九四式戦車は重量3.4トン。この小型の金属缶もそれくらいのものだ。秉核は記憶を探ったが、北方にこんな兵器があったとは聞いたことがない。どうやらこの世界の新兵器らしい。
……
秉核が首を伸ばして覗き込むと、どうやら注目を集めてしまったらしい。
(先生が授業で質問したとき、みんなが下を向いている中で頭を上げれば、間違いなく指名される。)
「秉核、前に出なさい」
スコットが言った。
秉核は一瞬ぼうっとしたが、すぐに前に進み出た。
するとスコットが手ぶりをした。
機械技師が別の機械技師に、機械の中を開けずに特定の部分を検査するよう指示する合図である。
……
秉核は手を伸ばした。掌の法脈の線条が蛍光の光路を一瞬浮かび上がらせる(これは法脈を起動する様子)。
超音波の振動が掌から放たれた。
測金術で金属の内部の状態を検査する。秉核が前後左右に触れて調べていると、わずか一、二分でスコットが突然「やめろ」と叫んだ。
彼は次々と組長を呼んで台に上げ、同じように一、二分間触れさせた。
すべてのグループリーダーが壇に上がったあと、スコットは壇下の全員を見回して言った。
「他に上がりたい者はいるか」
璃韻が手を挙げ、彼女も前に進み出た。
念入りに触ってみた。
もちろん、その後は誰も進み出ようとはしなかった。
……
学生たちが落ち着くのを見て、スコットは言った。
「よし、壇に上がって触った者は、明日三号機械区域に行け。この機械(サンプル車を指差して)が、君たちが模造するテンプレートだ」
言葉が終わるやいなや、教室から驚きの声が上がった。
やがてひそひそ話が始まった。
「まさか」
「僕は単に外装を調べただけで、中身は何も知らないんだ」
選ばれた者たちは、次々と小さな不平を漏らした。
「よし」
スコットは雷鳴のように学生たちの囁きを遮った。
「壇に上がる者は互いに組んでもいいし、自分のグループの中から他のメンバーを選んでも構わない」
そして懐中時計を見下ろしながら言った。
「組を決めるのに五分やる。工房に入ったら完全に隔離されるぞ」
……
カイスが言った。
「教官、これは今年の試練ですか?」
スコットが答えた。
「その通り、これが試練だ。お前たちの今年の優等枠はここで決まる」
カイスは即座に言った。
「教官、試練は事前に知らせるべきではなかったのですか?」
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