欠陥のある法脈 その一
機械区域の歯車ビルの三階にある図書ホールで、秉核は本を抱えて読んでいた。
法脈システムについて記された本である。
本には、騎士、照準者、機械制御者、医牧師、造糧師、船長といった中位職業の法脈システムが詳細に記されていた。
もちろん、記録があるからといって、その伝承が書かれているわけではない。
紙の媒体で記録できる情報には限りがあり、紙には概略しか記せない。
法脈の細部の多く、法脈上で間違いやすい点は記録されえない。
そして法脈の伝承とは、まさに誤りを許さないものなのだ。
絶え間ない試行錯誤の機会がなければ、概要だけから一連の法脈体系を模索するなど不可能だ――そう、銃焰秉核は今、『チート』があることの素晴らしさをしみじみと実感している。
銃焰秉核にとって、この本に記された概要はどれも宝の山だった。これらの体系的なまとめのおかげで、秉核は独自の法脈を創り出すという方向性を得て、ようやく以前のような暗中模索の状態から抜け出した。
……
しかし秉核は本の解説を読みながら、思わず眉をひそめた。
概要の記述によれば、家伝の法脈もそれほど優れたものではないらしかったからだ。
秉核は、自分たち一族の法脈構造にいくつか明らかな空隙があることに気づいた。
中位職業の法脈の品質は、主脈が同時にいくつの新魔法を支えられるかで決まる。
そして、新魔法が作動するとき、関連する法脈が互いに干渉せず、安定を保てるかどうか。
秉核がオリジナルのメインマジックパスを設計したときには、魔法パスを可能な限り密集させ、互いに干渉しないように配置していた。
ところが今の一族の魔法パスには、そうした不自然な隙間が存在しており、明らかに問題がある。
家伝の初期の実験者たちがメインパスを設計する際に、こんな不必要な隙間をわざと残す理由はない。
散在するこれらの隙間は、どれ一つ取っても新たな魔法パスを追加できるとは保証できない。だが全体として見れば、大きな無駄になっている。
……
二時間の読書時間は、あっという間に過ぎた。
チリン、チリン――
磁器と青銅器がぶつかり合うような音が、歯車ビルの頂上に鳴り響いた。
秉核は図書ホールの左側にある機械時計を見て、深く息を吐いた。
それから消しゴム魔法パスを使い、腕の兵士階級魔法パスを機械師の魔法パスへ戻して、本の整理を始める。
バルコニーに出ると、秉核はバックパックからリモコン式のプロペラ機を取り出した。秉核がここ大半年をかけて作り上げた、ささやかな成果物である。これを手に入れるために、秉核は析金術と魔訊術(電磁波を発する)という二つの魔法に大きな力を注いだ。もちろん、合格品のダイオードリレーを作るために、秉核は多くの特別な設備を買い込んだ。
小遣いをほとんど使い果たしてしまった。
このリモコン飛行機を作った唯一の目的は、自分の時間を節約することだった。
たとえば今も、プロペラ機は向こう側へ飛んで行き、ロープを向こう側の手すりに固定して戻ってきたところだ。
秉核はロープを引いて確かに固定されているのを確かめると、階段の手すりに結びつけ、バックパックからロープを出し、そのままロープを伝って向かい側へ滑り降りた。
この滑走は、明らかに何度も繰り返している。
リモコン飛行機でロープをかけ、滑走して着地するまで、二分もかからなかった。
秉核にとって、首都圏の各区には高層ビルが多すぎて、一つのビルから別のビルへ移るのは非常に面倒であり、エレベーターもない。
彼は腕も足も小さく、騎士のような職業のようには走れなかった。
……
この行動を始めた秉核自身の言い訳は、ただ「面倒くさいから」の一言だった。
しかし、若い学生たちの目にはこれが格好いい行動と映ったらしい。
多くの者が真似をして機械式のフックを作り、投げては滑り降りるようになった。
そう、秉核が飛び移ったあと、ビルとビルの間では七、八人もが飛び移り始めた。
中には片手で滑索を持ち、もう片方の手で周りの階の人々に手を振る者さえいる。
ここが盗賊の養成所かと勘違いしそうなほどだ。
階上からこの光景を見た秉核は、思わず首を振ってつぶやいた。
「達人は民間に、失敗者はあの世に。なぜもっと慎重になれないのだろう」
……
秉核が階上に上がると、コフィーとその取り巻きたち、そして見知らぬ男性が自分を待っていた。秉核はすぐに近寄り、丁寧な口調で腰を折った。
「殿下、何かご用でしょうか」
絶対的な力で規則に挑めるようになるまでは、上位の貴族には腰を折り、頭を下げるべきだ。それは秉核が、他人から向けられる恭しい態度から学んだことだった。
……
コフィは振り向いて秉核を見ると、浅く笑った。
「最近、機械学院で流行っている活動があるそうだよ」
秉核は答えた。
「うん、最近はずっと本を読んでいて、詳しいことは知らないんだ」
コフィは、階上から素早く滑り降りてきた人物を指さした。
「例えば、これ」
秉核は顔を上げ、非常に、非常に『真剣に』階上の跳躍者を見つめた。
そして言う。
「これは、おそらく、私もやったことがあるかもしれません」
コフィは笑いながら頭を振った。
「もういい、君の飛行機械を出してちょうだい」
秉核は一瞬ためらいながら、この少女の情報通ぶりに感心しつつ、バックパックから機械体を取り出した。
コフィは興味深そうにその機械体を眺めた。
「これは機械の鷹だと聞いたわ」
秉核は答えた。
「三つの形態があります。一つはホバリング、一つは飛行、もう一つは二足立ち(鶴のように立つ)の状態です。切り替えはすべて魔訊術に頼っています」
「試してみてもいいですか?」コフィーのそばにいた男性が尋ねた。
秉核はこの紳士的な貴族の少年を見上げた。コフィーがゆっくりと紹介する。「こちらはカジェット世子です」コフィーはその名前を口にしたきり、それ以上は何も語らなかった。
秉核はその名前を聞いて、内心ぎくりとした。帝国の地中海地域にあるブルームーン公爵家の長男で、地中海の小さくない島を治めているという。身分の高さを知り、秉核はすぐに一礼した。
しかし秉核は、コフィーが今ここで自分と並んで立っている理由が何なのか、心の内でははっきりと分かっていた。秉核は心の中で嘆く。
「(私は)恋心が芽生える年齢になったのか?」
それらの美しいものが、バキッと折れるのを感じた。
秉核が自分の恋路の先行きのなさを嘆いていると、前世の学校の記憶や教師たちの諭しが次々に浮かんできた。
そしてまたしても抑えきれず、心の中で「勉強に集中しろ、早すぎる恋愛はするな」と自嘲する。
その滑稽な感覚が、失意の感情を吹き飛ばした。
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