機械師への道 その一
「機械とは、多様なエネルギーを利用可能にする構造体である。この世界の他の生物がまだ肉体の力に酔いしれていたとき、人類はすでに視野をさらに広い場所へ向けていたのだ」
広い階段教室。髪が枯れ草色に衰えた顔つきの教官が、新入りの学生たちに機械の素晴らしさを説いていた。
彼は話に熱中すると、教壇の上の箱を軽く指差した。
箱はたちまち機械人形に変形した。
多くの少年たちが、驚きの目を向ける。
スコットが言った。
「これはg-787号機械人形で、機械師職階の試験基準の一つだ。千三百二十七個の部品からなり、アルコール燃料で動く。四百二十七個の立方体状電気部品で制御されている」
……
傍観者の目から見れば、この製品は地球の電動リモコン製品によく似ている。
伝動機械の部品も、その多くは地球の類似製品と変わらない。
だが、電気部品だけは違っていた。
地球では、機械の導電構造はゴムの皮で包まれた回路だった。
分解も、取り付けも、容易だった。
この世界の機械技師たちの発想は独特だった。
誰も、単独で電線回路を作ったりはしない。
外殻や伝動部品の内部に、微細な回路を析出させるのだ。
この世界の電動伝達機械を切断してみると、回路そのものは見えない。
だが、断ち割った外殻や伝動軸の断面には、酸化セラミックで隔てられた金属線が内部に埋まっているのが見える。
翡翠を切り開いたときに見える、繊細な筋目のようだった。
これは特殊な機械技師職業魔法――析金術によるものだ。
魔法の力で、外殻構造や大きな伝動構造の内部に、酸化絶縁膜と回路を直接析出させる。
この世界にも同様のチップ技術は存在する。
だが、地球のチップがシリコンウェハーの平面上に加工されるのに対し、この世界の機械制御者は立体構造の内部に直接、三次元半導体を生成できる。
……
大陸における機械師の職業伝承の歴史は、騎士職と同じく古い。
だが、機械師の地位が上がったのは蒸気暦以降のことである。
御獣暦の時代、機械師の地位は三流の盗賊よりわずかに高い程度に過ぎなかった。
ここ千年ほどで、ようやく騎士や狙撃者といった重要職と肩を並べるまでになる。
機械師と機械制御者も、帝国上層から爵位を授けられるようになった。
スコット先生は厳しい口調で言った。「電子傀儡には析金術が必要だ。帝国内では輕鈞家が電子傀儡の分野を専門とし、銃焰家がこれに次ぐ。波輪家は大型船舶用機械の製造を専門とし、円歯家は重鋼砲を生産している。いずれも帝国内における、特色ある機械師一族の優位分野だ。お前たちの多くは家学の伝統が足りないのだから、高望みはするな。地に足をつけて基礎を固めろ」
ここで教師は、学生たちの機械学への情熱を掻き立てておいて、一転して冷水を浴びせた。
教壇の教師が学生を叱責している間、壇下の秉核は教科書をめくりながら指を噛んでいた。教科書には大量の数学公式やモーメント構造が記されている。それらの物理学と機械学は、まるで鍵のように秉核の記憶の多くを解き放った。
回路、機械伝達――そうした複雑な構造を思い出すたび、戦争中のいくつかの場面が鮮明に脳裏をよぎる。
自分はその場面でこの知識を応用し、いくつかの機械を修理したことがあるのだった。
二十一世紀の戦争は全民戦争であり、その各段階を支えるために大量の人員が必要だった。秉核の現在の記憶には、戦争中に自動車やトラック、レーダー、さらには飛行機まで整備した場面が浮かんでくる。だが理性は秉核に告げる。前世の自分が、これほど多くの職場に同時に存在できるはずがない、と。しかし今、浮かんでくる記憶のどれが自分のものなのか。秉核は少しぼんやりしていた。
このとき秉核は、絶えず本をめくり、歯車やスイッチ、回路を見つめていた。
より多くの記憶を呼び起こし、いったいどういうことなのかを突き止めようとしたのだ。
だが、考えれば考えるほど事態は悪くなるばかりだった。
「秉核、秉核」と教師の声が、秉核の思索を遮った。
秉核は教師のやや鋭い声にはっと我に返った。すぐに立ち上がった。教師は秉核が立つのを見て、問いただした。
「今、何をしていた?」
秉核は本を立てて答えた。
「本に書かれていることが多くて、つい夢中になっていました」
スコットは叱りつけた。
「本は自分の時間に読みなさい。授業中に私が言ったことを、二度言わせるな」
秉核は申し訳なさそうな顔をした。
教師はそれからうなずいて言った。
「あなたが――第三組の組長だ」
(この教師はクラスをグループ分けしていた。)
秉核が第三組のメンバーに視線を向けると、クラスメートたちは明らかに秉核の能力を疑っていた。秉核がどこか天然ボケに見えたからだ。もちろん、秉核は教師の任命にそのままうなずいて受け入れ、席に着いた。
……
授業が終わると、璃韻が秉核のそばへ駆け寄ってきた。
「ねえ、私と勝負しない?どっちが先に正式な機械技師になれるか!」
秉核はノートに一連の計画で使う物を書き込みながら、頭も上げずに答えた。
「ごめん、遠慮しておくよ」
璃韻は挑発するように声を張り上げた。
「第三組のリーダーとして、そんなに自信がないの?」
その瞬間、周囲の注目が一気に集まった。
特に第三組のメンバーは、次々とこちらへ目を向けた。璃韻の後ろには第二組のメンバーが現れる。一人の少年が璃韻の背後に立った。第二組のリーダーにして、南方の地中海港にある侯爵家の分家の子弟、カイスである。彼は璃韻の勢い込んだ様子を見て、衝突を避けさせようと璃韻を説得しにかかった。
……
秉核は呆れて自分のノートを閉じた。ここ数年、何度も自分を踏みつけては成功してきた姪に対してである。秉核は思う。
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